ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

言い方

2011年08月05日 | 其の他

先日、タレントの宮尾すすむ氏が亡くなられたが、彼の御子息山口雅史氏が宮尾氏との思い出を週刊誌で語ったおられた。自分と同じダレント業をしている山口氏に対し、宮尾氏が先輩として色々アドヴァイスをされていたそうだが、レポートをする際に留意する点で「成る程。」と思う話が。

 

或る競技を体験レポートした際、山口氏が「此の競技は、思ったよりも面白いですね。」と口にした所、宮尾氏が「『思ったよりも』という言い方は良くない。其れじゃあ『最初は詰まらないと思っていた。』と言っているのと同じで、相手に対して失礼。こういう場合は、『見た目以上に面白いですね。』と言った方が良い。」とアドヴァイスしたのだとか。確かに「思ったよりも」では無く、「見た目以上に」とした方が、其の言葉を受け取った側に不快感(乃至は誤解)を与えないだろう。

 

自身が言わんとしている事を、より正確に相手に伝えるのは非常に難しい事。「言い方というのは、本当に大事なのだな。」と、改めて感じる話だった。

 

プロ野球中継で、レヴェルの低い解説者に当たるとウンザリさせられる。「身内ネタ許りしている。」とか「結果論でしか語らない。」等がそうだが、「プレーなぞるだけ。」という解説者は本当に能が無い。「あ、今ピッチャーが投げましたね。」とか「此れは内野フライですね。」なんて逐一説明されなくても、画面を見ていたら誰でも判るし。

 

ワイドショーコメンテーターヴァラエティー番組のゲストにも、此の手の脳が無い者は少なくない。「画面を見ていれば判る事を、態々なぞる輩。」(橋田壽賀子女史脚本じゃ在るまいし。)というのは駄目な解説者と同じだが、「一般受けしそうな事を、其れも自分の頭で“咀嚼”する事無く口にして、悦に入っている様な輩。」は本当に最悪だ。

 

日本スーパーコンピューターが、計算速度で世界一を達成した。」際、又は、「なでしこジャパンが世界一に輝いた。」際、「矢張り、2位じゃ駄目なんです。」とドヤ顔で言っていたコメンテーターやゲストを何人か見掛けた。2009年の事業仕分けで、スーパーコンピューターに関する要求予算の妥当性に付いて説明を求めた蓮舫行政刷新担当大臣が、「世界一になる理由は何が在るんでしょうか?2位じゃ駄目なんでしょうか?」と発言した事に対する嫌味な訳だが、「矢張り、2位じゃ駄目なんです。」とドヤ顔で言う“だけ”では、「余りに浅い。」と言わざるを得ない。

 

「2位じゃ駄目なんでしょうか?」発言がマスメディアで盛んに批判された当時、当ブログで書いた事では在るが、批判の多く(全部とは言わない。中には是々非々で論じていたメディアも在ったので。)は「言葉尻を捉えただけの、事の本質を全く見ようとしてない浅い批判。」の様に自分は感じた。日本人として、日本に関する事柄が1位になるのは正直嬉しい。1位を目指す事が全てとは思わないけれど、1位を目指して頑張る事は尊いとも思う。しかし考慮しなければいけないのは、其処血税が投入される以上、費用対効果(CP)を無視する訳にはいかないという点だ。

 

なでしこジャパンの選手達の殆どが、非常に劣悪な労働環境で頑張っていると聞く。あんなにも頑張っている彼女達が、そういった環境に置かれているのはとても忍びないし、妥当な労働環境にレヴェルアップして欲しいと思う。けれど従来のスポーツ振興策」と言えば、「箱物を作る。」とか「関連団体を幾つも作って、其処に官僚天下りさせる。」、「無意味な広告を、莫大な資金を掛けて行う。」等がメインではなかったか?構造的には政治家や官僚達を“肥え太らせる”事許りに莫大な血税を突っ込み、肝心な選手達の労働環境向上には余り資されていなかったというのが現実ではないか?

 

「No.1にはならなくても良い 元々特別なOnly one♪」で始まるSMAPの曲「世界に一つだけの花」(動画)を何の疑問も無く(寧ろ好んで)歌っている人が少なくない一方で、「2位じゃ駄目なんでしょうか?」という言葉“だけに”批判する人が少なくない“としたら”、何か不思議な感じがする。

 

物凄く極論なのは判った上で書くけれど、例えば或る事柄に関して「1位にならなければ駄目!」と主張しているとする。でも其の或る事柄を1位にするに莫大な血税が投入され、其の結果として国民1人当たりの税負担率が7割を超えたりしても文句は言わないのだろうか?其れだけの莫大な血税を投入して、其れ以上の“対価”が得られれば良いけれど、全く対価が得られなかったとしても、「1位になったから全く問題無し。」と言えるのだろうか?くどい様だが、自分も日本に関する事柄が1位になって欲しいし、なったら嬉しいのは事実。でも血税を投入する以上は、「何処に、どういう形で投入されるのか?」や「CP」を考慮するのは当然の事で、無条件で「1位になりさえすれば良い。」というのは違うと思う。

 

「矢張り、2位じゃ駄目なんです。」とドヤ顔で言っていたコメンテーターやゲストにはウンザリだったけれど、の「2位じゃ駄目なんでしょうか?」という発言をした蓮舫議員にも問題は在ったと思っている。言わんとしている事は判るのだが、言い方が良くなかった。受け取る側に誤解を与える言い方だったのは確かで、例えば「1位になる為に努力するのは大事だし、1位になって欲しいとも思う。しかし血税を投入する以上は、財源が無尽蔵に在る訳では無い以上は、CPを全く無視する事は出来ない。単なる箱物行政だったり、天下り先を増やす結果になってはいけないし、総合的な判断は必要。そういった事を踏まえて、スーパーコンピューターが世界一になる意味合いは在るのかどうかを知りたい。」とでも言えば、単に「2位じゃ駄目なんでしょうか?」と口にするよりは誤解は無かったろう。

 

「長ったらしい言い方だ。」と思われる方も居られるだろうが、小泉首相御得意のワンフレーズ・ポリティクスは「受け取る側に強いインパクトを与える。」という一方で、「誤解を生み易い。」という危険性を秘めている事を認識しなければいけない。


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4 コメント

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公人と私人 (雫石鉄也)
2011-08-05 13:29:14
レンホウさんがご自分のブログで、なでしこジャパンのこのたびの快挙を称賛したところ、仕分けしてお金をケチったあんたが、何をいう、と、非難する人が多いとか。
こういう人は、公人と私人の区別がつかない人ですね。
レンホウさんは仕分けは、あくまで仕事として行ったわけで、なでしこを称賛したのは、レンホウさん個人私人として、個人的な思いを述べたのです。そのあたりの区別がつかない人が多いです。
かような人は、「仕事」をした経験のない人ではないでしょうか。
社会に出て仕事をしていると、自分の考えとは全く正反対のことをしなければいけないこともあります。
会社の方針、上司の意向は「黒」となれば、いくら自分が「白」と思っていても、「黒」をしなければなりません。
そのあたりのことが判っていない人が、レンホウさんを、非難したのでしょう。
彼女がしたことは、あくまで民主党員、国会議員、大臣としてやったことで、本当のレンホウさんの考えは本人でしか判りません。
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>雫石鉄也様 (giants-55)
2011-08-06 01:29:04
書き込み有り難う御座いました。今回は此方にレスを付けさせて貰います。

「木を見て森を見ず」という諺が在るけれど、「『無駄削減』という御題目先ず在りきで、何でもかんでも『無駄』として蓮舫議員が切り捨てていた。」のだ“としたら”、其れは正に木を見て森を見ずと言えます。だが彼女が発した「2位じゃ駄目なんでしょうか?」発言だけを執拗に取り上げて、何でもかんでも彼女を批判するというのも、矢張り木を見て森を見ずだと思うのです。

国民の生殺与奪件を握る政治家の場合は「公私の別」が一般人よりも可成り曖昧で在り、「公の場ではこう言ったけれど、私人としては違う考えだ。」というのは、個人的に難しいと思うのだけれど、「批判の為の批判」というのはどういう相手で在れ、どういう状況で在れ、説得力を持ち得ないでしょうね。
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「2位じゃ駄目なんでしょうか?」の時 (青空百景)
2011-08-06 15:33:52
どこの放送局だったかは失念しましたが、ニュース番組で「スーパーコンピュータとはどういう分野で使われており、どういう役に立っているものなのか」を詳細に紹介したのを観たことがありました。
その時思ったのが、「このメーカーの開発担当者もしくは広報が事業仕分けの場に行くべきだった!」ということ。
こんなに幅広い分野で必要不可欠な存在になっている機械だというのに、「計算速度世界一を目指す」しか言えないのであれば、そりゃあ予算なんか貰える筈がないだろう!と呆れたものです。
民間企業の人なら、限られた予算を獲得するためのプレゼンで、あんな言い方しかできないということはなかっただろうに……と。
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>青空百景様 (giants-55)
2011-08-07 00:40:22
書き込み有り難う御座いました。今回は此方にレスを付けさせて貰います。

“一般的に”「スーパーコンピューター」と言えば、「計算速度世界一」というイメージ“しかない”という感じではないでしょうか。ですから青空百景様が書かれた様な、具体的に「有益性」を紹介する番組というのは重要ですね。

何しろ莫大な血税を投入する話ですので、「兎に角、1番になれば良い。」といった“精神論的な持って行き方”では駄目。本当に有益ならば具体的な例や、コスト・パフォーマンス等をより詳しく提示しないといけないし、我々国民をそういった物を自分なりに検討した上でああだこうだ言わないといけない。
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