今季、「プロ野球の投高打低傾向」が顕著となった最大要因として、「統一球」導入の影響を多くの人が指摘している。昨年の記事で記した様に、統一球が導入される事でホームラン数激減等の影響が出るのは予想していたけれど、「予想以上に影響を及ぼしたなあ。」というのが正直な気持ち。高がボール、然れどボール。侮ってはいけないのだ。
今季のプロ野球では、バットが矢鱈と真っ二つに折れているらしい。特に気にしてはいなかったが、そう言われてみるとそんな気もする。8月2日付けの東京新聞(朝刊)に「今季良く折れるバット」という記事が載っており、プロ野球関係者の証言が紹介されている。バットが折れ易くなった要因として挙げられているのは、「バットの材質の変化」と「統一球の導入」。
「バットの材質の変化」を指摘しているのは、ファイターズの大村巌・2軍打撃コーチ。日本では2004年頃からメープル(楓)材のバットが使われ始め、多くのプロ野球選手と契約を結んでいるミズノ社の広報担当者によると、今では同社で扱っているバットの約7割がメープル材になっているとか。大村コーチは、「メープル材のバットは硬くて反発力が強いが、芯を外すと折れ易い。」と分析している。
一方で、「統一球の導入」を挙げる関係者は多い。統一球の特徴は、「滑り易い事」と「飛距離を抑える為に反発力を抑えた事」。其の為、特にスライダー等変化球の曲りが大きくなり、又、打者は打った瞬間に重量感を感じる様になっていると言う。
主力に右打者の多いライオンズで用具管理を担当している平浩司氏は、「今季、バットの先端に近い部分が折れるケースが多い。」と証言。右投手のスライダーの変化に右打者が対応出来ず、芯を外す事が多いのだろう。
ファイターズの稲葉篤紀選手は、「スライダーだけでは無く、チェンジアップやツーシームの変化も大きくなった。」と打ち明けている。彼程の好打者でも、バットの芯で捕える事が難しくなったと言うのだ。
「今年はボールの重みを感じる。」(栗原健太選手、カープ)、「(バットが良く折れる要因は)ボールしか無い。」(宮本慎也選手、スワローズ)等、昨年の公式球と比べ、感触の違いを感じている打者は多いとか。
ジャイアンツの江藤智・1軍打撃コーチは、「ボールが重くなった事と、メープル材のバットが増えた事でバットが良く折れている。」とし、「バットの材質の変化」と「統一球の導入」という2つの要素が合わさった上での事ではないかと分析。
「バットが折れ易くなった要因は何なのか?」は非常に興味が在る所だが、ジャイアンツ・ファンとしては江藤コーチに「バットが折れ易くなった要因の分析も良いけれど、其れよりも開幕から絶不調状態が続いているジャイアンツ打線を、1日も早く何とかしてくれ!」と言いたくなる。