ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「レフトハンド・ブラザーフッド」

2019年06月09日 | 書籍関連

古谷三敏氏の作品に「手っちゃん」というのが在る。(切り落とされた?)右手が、自分の意思で話したり動いたりするというギャグ漫画だ。又、手塚治虫氏の作品に「鉄の旋律」というのが在る。此方は非常にシリアスな作品で、「マフィアによって両腕を奪われた男が、鋼鉄義手を手に入れ、復讐を果たそうとする。」という内容。念力によって義手を動かしていたのだが、軈て義手は自らの意思を持ち、勝手に動き出すという展開だったと記憶している。“自らの意思を持つ手”というと、此の2つの作品が思い浮かぶ。

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左手に宿る“兄”と俺。奇妙な2人の逃避行が始まる。

或る事故以来、左手から死んだ兄・風間海斗(かざま かいと)の声が聞こえる様になった岳士(たけし)。家出した2人は、殺人事件に巻き込まれ、容疑者として追われる羽目に。濡れ衣を晴らそうと奔走する岳士と海斗だが、怪しいドラッグサファイヤ」、そして美しい桑島彩夏(くわしま あやか)との出会いで“兄弟”の思惑擦れ違い出す。
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現役の医師でも在る小説家知念実希人氏の作品「レフトハンド・ブラザーフッド」。交通事故によって兄・風間海斗を死なせてしまった岳士は、軈て自分の左手から兄の声が聞こえる様になる。声が聞こえるだけでは無く、左手は時折、自分の意思を離れ、兄の意思によって動き出す様に。「手っちゃん」や「鉄の旋律」を思い起こさせる設定だ。

設定自体は悪く無いのだけれど、全体的に感じるのは“安っぽさ”キャラクター設定が如何にもという感じだし、彼等の“次の動き”が簡単に読めてしまうストーリー展開(最後に“兄”が変貌した理由も、少なからずの人は読めてしまいそう。)も、安っぽさを増させている。

知念氏自身、「こういう作品を書きたい!」という強い思いが在ったのだろうか?彼が書いて来た作品は悪く無い物が多かっただけに、遣っ付け仕事の様な感じがして、凄く残念。彼の作品のファンで在れば、失望感は大きい事だろう。

総合評価は、星2.5個とする。


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