バブル景気到来と共に、とんねるずの人気は急上昇して行った。“学生芸”と揶揄されもしたが、彼等にはバブル景気にマッチする“勢い”と“派手さ”が在ったし、“新しい面白さ”が在ったと思う。“時代が生んだ御笑いタレント”と言って良いだろう。そんな彼等を、自分も「面白い。」と思っていた。或る時期迄は・・・。
バブル景気の頃、キー局で最も勢いが在ったのはフジテレビだった。「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズを掲げた同局が、他局に大きく差を付けたのは、「軽チャー路線」と呼ばれる“軽い乗りでの番組制作”で在り、其の延長線上に在ったのは「自社所属の女子アナや番組制作者達を前面に押し出し、彼女達を徹底的に弄るという“内輪ネタのオンパレード”。」だった
番組制作者達を前面に押し出しただけで無く、彼等に扮する事を好むとんねるずが、フジテレビを代表する様な御笑いタレントになったのは、共に求める物が一緒だったからだろう。彼等に扮される番組制作者達は、其の事で局内に於ける“存在感”を増して行き、“権力”を握って行く事で、大出世を遂げて行った。そんな彼等にとってとんねるずは、自分達を上昇させてくれる“最高の術”で在り、「可愛い奴達じゃ。」という思いが在ったで在ろう事は、想像に難くない。
だからこそ出世して行った彼等は、益々とんねるずを重用したし、そんな彼等の思いを知っているからこそ、とんねるずは執拗に内輪ネタを続けて行ったのだと思っている。言ってみれば彼等は、“持ちつ持たれつ”の関係に在ったとも。
元々「内輪ネタが嫌い。」というのも在ったのだけれど、とんねるずの場合は特に其の傾向が強くなって行ったので、1990年代に入った頃には、彼等が出ている番組を見なくなっていた。時折、偶然に彼等が出ている番組を目にする事が在ったけれど、相変わらず“(元)番組関係者”に扮しているのを見ては、「こんなのが面白いって、未だ思ってるんだな。」と呆れ果てるしか無かった。
とんねるずを異常な程重用するフジテレビが、没落の一途を辿っているのは、「“内輪ネタ”が、未だに“一般受け”すると思っている感覚の鈍さ。」が拭い去れないからだろう。
長期に亘ってフジテレビで放送されていたとんねるずの看板番組が、先日、最終回を迎えた。何年か前から“打ち切り”の噂は囁かれていたが、昨年12月に正式に番組内で発表された。自分は其の番組を見ていなかったのだけれど、“(元)番組関係者に扮しての発表”という昔から執拗に行われて来たスタイルで在る事を後で知り、「本当に駄目だなあ。」と感じたもの。そういう内輪ネタのオンパレードが、一般に飽きられているというのに・・・。