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容疑者は・・・怨霊!?
警察庁の本庁地下4階に存在する「第二種未解決事件整理係」。怪奇現象めいた未解決事件を再調査する部署で、通称「呪われ係」とも呼ばれる。突然配属されたヴェテラン刑事・只倉恵三(ただくら けいぞう)は、渋々調査を引き受けるが、愛娘の彼氏で在る怪談師が現れて・・・。
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青柳碧人氏の小説「怪談刑事」を読了。青柳作品と言えば「昔ばなしシリーズ」や「赤ずきんシリーズ」がパッと思い浮かぶのだが、「妖怪課シリーズ」というのも在る様で、「怪談刑事」が著される“土壌”自体は在った訳だ。
警察学校卒業後、多摩署の刑事課に配属となり、以降ずっと“刑事畑”を歩んで来た只倉恵三。所轄署の刑事課の一刑事、然も55歳の古株の彼が突然、警察庁の「第二種未解決事件整理係」へ転属となった。第二種未解決事件整理係は「呪いとか心霊とか、そういう怪奇現象が絡んだ未解決事件を再調査する。」という訳の判らない部署で、白髪で右目に黒い眼帯をした牛斧(うしおの)係長を始めとして、係の人間は皆エキセントリックな人物許り。オカルト的な物は一切信じず、嫌悪している只倉にとって、同係に転属となった事は不本意以外の何物でも無かったが、ヴェテラン刑事の意地で未解決事件の再調査に当たる。そんな彼には1人娘の日向(ひなた)が居るのだが、大人しくて真面目な彼女が或る日、彼氏として“関内炎月(せきうち えんげつ)”なる男を自宅に連れて来る。怪し気な雰囲気の彼は自身を「怪談師」、即ち「人前で怪談話を話す事を生業にしている者」と名乗るが、オカルト的な物を嫌悪する只倉は、彼を娘の恋人認め様としない。そんなストーリーだ。
「オカルト的な物を嫌悪する刑事が、怪奇現象が絡んだ未解決事件を再調査する。」という事に加え、「そんな刑事の娘の恋人が怪談師で、2人は共に未解決事件に巻き込まれて行く。」というのは、実に馬鹿々々しい設定で在る。怪奇現象が絡んだ未解決事件は、ヴェテラン刑事の推理によって、怪奇現象なんか無関係の犯罪と判り、見事に解決するのだが、其の後に必ず“新たな怪奇現象”が発生するというのも、此れ又馬鹿々々しい。
・・・と馬鹿々々しさ満点の「怪談刑事」は、「6つの短編小説+エピローグ」で構成されているが、謎解き面で言えばそう悪くは無い。個人的には「第3話 トンネルとマヨイガ」が、“大掛かりなトリック”が駆使されていて、一番面白かった。
総合評価は、星3つとする。