1962年7月、アメリカから1人の投手が大毎オリオンズに移籍したのだが、其の登録名を巡って問題が発生。彼の名前は「フランク・マンコヴィッチ」で、日本では「女性器」を意味する単語が含まれている事から、「此の儘では、放送コードに引っ掛かってしまうかもしれない。」と懸念されたのだ。結局、愛称の「マニー」が登録名となったのだが、彼は此の年で退団してしまった。
或る国では「全く普通の名称」なのに、別の国では「顔を赤らめてしまう様な恥ずかしい発音」というケースは結構在る。「ヤキマンコ」とか「チンポー湖」、「キンタマーニ高原」、「レマン湖」、「チンコ川」等々は、日本人が其の発音を見聞すると、何とも言えない気まずさを感じてしまう事だろう。
湾岸戦争が勃発した際には、「オマーン港」をアナウンサーが「おまーんみなと」と発音していた。「横浜港」は「よこはまこう」、「釜山港」は「ぷさんこう」等、普通は「~こう」と発音するのだから、「オマーン港」は「おまーんこう」と発音するのが本当なのだろうが、「流石に其れでは不味い。」という事なのだろうけれど、「おまーんみなと」や「おまーんのみなと」という発音には無理無理さを感じたもの。
日本の名称でも、発音に困ってしまう物は在る。「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件」の加害者が、逃走中に寝泊まりしていた沖縄の公園名が「漫湖(まんこ)公園」だったのは、記憶に新しい所だろう。
5月19日付けの東京新聞(朝刊)に、「仏新首相名 アラビア語で珍名 - 『エロー』に赤面」という記事が載っていた。此の程フランスの首相に就任したジャン=マルク・エロー氏だが、「名前の『エロー(Ayrault)』の発音が、アラビア語の一部方言では『男性器』を意味する。」として、中東 メディアでは発音を変えて「アロ」と呼んでみる等、失礼な連想をさせない様に四苦八苦したそうだ。
其処でフランス外務省は、フランスでは発音しない語尾の「l」と「t」に当たる文字を明記したアラビア語での公式な綴りを発表し、本来の発音に似せない方法で解決したと言う。
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「レバノンでは『アユル』、シリアだと『エール』、イラクは喉の奥を鳴らす様な『アイル』と、発音は地域によって少しずつ違うが、女性の前では口にし難い。実は中世の詩でも使われている古い言葉で、アラビア語圏で広く通用している。」(シリア出身のジャーナリスト、ナジーブ・エルカシュ氏)
「確かに不穏当な言葉と発音が似ているが、良く聞くと違う。航空会社のエール・フランスの方が限り無く近く、良く冗談にも登場している。」(日本人のアラビア語翻訳者)
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「エロー」から「エロ」を連想する事は在っても、日本人なら赤面する事は無いで在ろうジャン=マルク・エロー氏の名前。でも、一部方言では「男性器」を意味する発音という事で在れば、中東のメディアが報道に四苦八苦するのは判る。
元記事では「アラビア語圏で珍名に聞える有名人」の例として、アルジェリアのアブデルアジズ・ブーテフリカ大統領を挙げている。アラビア語の発音だと「ブーテフリカ」は「御尻」に近い言葉で、「所構わず用を足す子供」を連想させるのだとか。
アラビア語で「ナカ」というのは「性行為」を意味するそうで、日本人の苗字「ナカヤマ」は「毎日セックス」、「ナカムラ」は「セックス女性」と聞こえてしまうというから困ったもの。
結構有名な話だが、嘗て日本のプロレス界で活躍したボボ・ブラジル氏は、九州地方の方言で「ボボ」が「女性器」や「性行為」を意味するという事で、九州地方の人は赤面したと言う。