過去に何度か書いているが、自分は手塚治虫氏の大ファンだ。手塚氏が亡くなったのは1989年の事だから、もう25年が経った事になる。「彼の作品に初めて触れてから、彼が亡くなる迄の年月。」を既に超えてしまったのだから、「今の若い子からすれば、手塚治虫氏はもう“歴史上の人物”という感じなんだろうなあ。」と改めて感じる。
因みに、明日「11月3日」は手塚氏の誕生日で、存命ならば86歳を迎えていた事に。86歳でも元気な高齢者が珍しく無い今、60歳で亡くなった事が本当に残念だ。
昨日、「手塚治虫ファン大会2014」というのが開催され、参加して来た。参加者は90人弱位と思われるが、全体を見回せば、自分ですら若い範疇に入る程、御年を召された方が目立った。手塚氏は1946年に漫画家としてデビューしたので、其の当時10代のファンでも今は80歳前後なのだから、当然と言えば当然か。
様々なコーナーが設けられていた中に、トーク・ショーが在った。ゲストとして呼ばれていた1人が、作曲家で在りSF作家でも在る難波弘之氏。非常に恥ずかしい話なのだが、ロックやSF小説に関する知識が非常に乏しい人間なので、彼の事を今回初めて知った。経歴や作品をトーク・ショーの中で知り、「凄い人物だったんだ。」と驚いた次第。実際、彼の話を聞きたいが為だけに、参加された方も居られた様だ。
山下達郎氏等、音楽仲間の話も興味をそそられたが、手塚氏にアルバムのジャケットの絵を描いて貰った経緯等、手塚氏に関する話は面白かった。
彼と漫画評論家・中野晴行氏とのトーク・ショーの中で、強く印象に残った話が在る。中野氏が語った事なのだが、「前(去年?)にアリスのライヴに行ったら、来場者の大半が年配者だった。ロックのライヴに行っても、若い格好はされているけれど、高齢の方が目立つ。」と。
ロックのライヴと言っても、アリスのメンバー達と同年齢以上のグループのライヴだろうし、若いロックバンドのライヴには若いファンが多いのは頭で理解している。でも、ロックのライヴに年配者が多く参加しているというのは、そういう場所に行かない人間からすると、「そういう所にも、高齢化の波は押し寄せているんだなあ。」という思いが。「年を重ねても、ロックが好き。」というのは、個人的に格好良い気がするけれど。
趣味の世界に性別や年齢の垣根なんか必要無いと思うし、そういう意味では年齢を重ねてもロックを愛する人達というのは、凄く良いなあと思います。
記事でも書いたけれど、手塚治虫氏も“歴史上の人物”になりつつ在り、概して若いファンは減っている様にも感じる。だからこそ、古くからのロック・スター達のライヴに集まる“年齢を重ねて来たファン達”の気持ちは理解出来ます。
ロック大好きですよ。
なんせ、エルヴィス・プレスリーでロックに目覚め、ビートルズにメロメロになった世代です。
多分、中高年のロック・ファンのほとんどは、これらの洗礼を受けた人たちだと思います。
やや下がって、マイケル・ジャクソン、といったところでしょうか。
このお三方については、CDも沢山揃えてますし、ビートルズに至ってはLPとCD、それと数年前に出たデジタルリマスタリングCD、いずれも発売されたもの全部持ってるくらいです。他にも主だったロックのCDも多数持ってます。
で、なぜロック・ファンに高齢者が多いかという点で、私なりの見解を述べますと、マイケル・ジャクソンあたりを最後に、本物のロック・シンガーがバッタリ登場しなくなったからでしょう。日本で言うと、サザン・オールスターズが最後でしょう。
90年代以降は、ミュージシャンの質の劣化が甚だしく、とても聴いていられません。無論ニュー・ミュージック系も同様、谷村新司、矢沢永吉、小椋佳、さだまさし、ユーミン、中島みゆき、それにサザン、と、今なんとか聴けるミュージシャンはほとんど80年代までに登場した人たちばかり。
つまり、うんと極端な事を言うと、本物のロック、ポップミュージックは1990年以降、絶滅してしまった、と言っても過言ではありません。
音楽の歴史を塗り替えた、と言えるミュージシャンは、プレスリー、ビートルズ、マイケル・ジャクソンくらいですが、これ以降、そんな天才ミュージシャンはまったく登場していませんし、多分これからも出て来ないでしょう。だから、それらを聴いて育った中高年世代だけが、本物のロックを理解し、それらを聴いて心躍らされるわけです。
私は昨年、ポール・マッカートニーの日本公演に行って来ました。無論、観客のほとんどは60代を中心とした中高年ばかり。そして72歳になったポールはまったく昔と変わらずエネルギッシュなパフォーマンスを披露し、私も含めて酔わされました。
その他でも、やはり70歳前後のローリング・ストーンズ、わが国ではザ・タイガースや加山雄三あたりが今なおロック・ライブ・コンサートをやってますし、今聴いても新鮮で癒されます。
時代を越えても、風化せず、いつまでも古びないこれらの音楽が、それらを聴いて生きて来た高齢者世代のハートにビンビン響き、精神の若さを保つ糧となっているのです。そうした、本物の音楽に出会えなかった若い人たちは、気の毒だなぁ、と同情してしまいます。
私も多分、死ぬまでロックを聴き続けるでしょう。今夜も、ビートルズを聴いて眠りにつきます。ああ幸福(笑)。