“時代”の移り変わりに伴い、変わって行く“物”も少なく無い。“健康意識の高まり”というのもそうで、大昔に比べたら雲泥の差が在る。「健康情報に触れる機会が格段に増えた。」というのが大きいのだろう。自分が子供の頃は“医療番組”なんて余り見掛けなかったけれど、今は毎日の様に放送されていたりするし。市井の人が当たり前の様に、腸内フローラだオメガ3脂肪酸だといった用語を使うなんて、大昔の人が知ったら驚く事だろう。
時代の移り変わりに伴い、新たな指標が生まれる。“寿命”と言えば、昔は“平均寿命”しか思い浮かばなかったが、今は“健康寿命”という概念が存在する。
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平均寿命:0歳時に於ける平均余命。
健康寿命:日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活が出来る生存期間。
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日本の場合、2016年に於ける平均寿命と健康寿命の差は「男性:8.84年、女性:12.35年」となっている。“平均寿命と健康寿命の差”は“介護期間”を意味していると言っても良く、如何に此の差を短くするかが、今後はより重要になって行くだろう。
先日、日本銀行の関根敏隆調査統計局長が“生物学的年齢”を使っていた。“年齢”と言えば“生まれてからの年数”、即ち“暦年齢”が一般的で、“生物学的年齢”なる指標を、自分は初めて知った。
生物学的年齢は、「加齢に伴う種々の臓器の機能の低下過程を反映し,身体機能低下から推定される年齢。」を意味し、生物学的年齢を測る最も単純な指標は“死亡率(人口100人に占める、其の年の死亡者の割合。)”なのだとか。
9年前の記事「バカボンのパパと福山雅治氏の共通点」で触れたが、「サザエさん」は福岡の地方新聞「夕刊フクニチ」で1946年から連載が開始となったが、磯野波平の年齢設定は以降ずっと「54歳」となっている。見た目からは70代という感じなので、54歳という年齢設定は驚きだが、自分が子供の頃を思えば、50代というのは結構なおっさんという感じだったので、昔と比べると今の人達は、“見た目”も含めて非常に若くなっている。
「サザエさん」の連載が開始となった翌年の1947年、統計では54歳の死亡率が「1.7%」となっている。2016年の統計で言えば、同じ死亡率なのは「74歳」との事。なので、「1947年の磯野波平と2016年の74歳は、生物学的年齢が一緒という事になる。」と、関根局長は語っていた。