ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「日本列島 いきものたちの物語」

2012年02月19日 | 映画関連

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四方を海に囲まれ、6,800もの島々が東西3,100km、南北3,000kmに亘っ点在している日本列島此の国には、約9万種類の生き物が存在している。北海道知床半島には、の母子が暮らしている。彼等は森や川で遊び乍ら、生きるを学んで行く。

 

青森県下北半島には世界で最も北に生息するニホンザル居る。母親を亡くした子猿は、生まれて初めての冬を孤独に迎えようとしていた。

 

カメラは北から南日本の各地で暮らす生き物達を追う。

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ドキュメンタリー映画「日本列島 いきものたちの物語」は、観応えの在る作品だった。初っ端から映像に惹き込まれ、気付いたらエンディング・クレジットが流れていたという感じで、非常に濃密な95分間。年を重ねるに「長時間の映画を見続ける気力」が衰えて来ている気がするけれど、長くても2時間程度の作品がベター。此の作品程の濃密さなら、もっと長い時間でも良かった。

 

カクレクマノミは小魚から成熟した段階で先ず』となり、其の雄の集団の中で一番身体が大きいのが『』に変わる。」や「植物的性質と動物的性質を併せ持つ生物の『粘菌』は、味覚も知性も有している。」、「基本的には、自ら痕跡が残らない様に川等で排尿する。」等々は知識としては在ったものの、実際に映像として目にすると「凄いなあ!」と感動してしまった。

 

同じ猿でも「雌が雄を奪い合っている地域」が在れば、逆に「雄が雌を奪い合っている地域」が在る等、生息している地域によって状況が全く異なっているのが興味深い。又、「羆の雄は自らのテリトリー有し侵入して来た相手を力付くで排除する。」というのは頭で理解していても、子供の頃から仲が良かった兄弟熊が、親から独立してから自らのテリトリーを主張し合い、そして別れて行くシーンには複雑な思いが。

 

一番胸を打たれたのは、下北半島のニホンザルの子猿「メダカ」が母猿を失い、厳しい冬を乗り越え様としている姿。気弱で不器用なメダカは、母猿と一緒の時から仲間達に虐められたりしていたのだが、母猿を失って以降は完全に“仲間外れ”にされてしまう。「猿は『家族』の面倒を一生懸命看る一方で、『家族』以外の猿の面倒は基本的に看ない。」のだとか。氷点下になる激烈な寒さの中、集団で温めあわないと生命を失い兼ねず独りぼっちのメダカは必死になって温め合える仲間を捜すのだが、何処に行っても排除されてしまう。餌を捜すのも一苦労。母猿を失った子猿で、一冬を無事に過ごせる確率は3分の1程度。という事で、春を迎えて行方が判らなくなってしまったメダカの事を思うと、涙が零れてしまった。(「火垂るの墓」等に登場する戦災孤児達と、メダカの姿がオーバーラップした事も在る。)「生と死」が隣り合わせで在る事を、此の作品は改めて教えてくれる。

 

エンディング・クレジットも一見の価値在り。日本を代表する動物カメラマン達が、日本全国30ヶ所以上で2年半に亘って、具体的に何の様な形で撮影していたのかが紹介されているのだ。「こんなに大変だったんだ。」という驚きが。

 

総合評価は星4つ


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2 コメント

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Unknown (マヌケ)
2012-02-20 12:49:32
粘菌は生息する環境があまりにも苛酷になるとみんな?で高いやぐらを組んで、その先端の1個が風に乗って別の豊かな地へと飛び立ったら、残りの土台となったものたちは全部死ぬのだそうです。 これには驚きです。 知能のあるものとしての振る舞いと自己犠牲の心まであるやに。 命そのものが神なのかもしれませんね。
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>マヌケ様 (giants-55)
2012-02-20 13:46:33
書き込み有り難う御座いました。

粘菌の其の特性は知りませんでした。「“子孫”を残す為には、“個”を犠牲にするのも厭わず。」という事なのでしょうね。

第三者からすると「不条理」と感じてしまう事柄が、自然界には結構在ります。アメリカ北部には「17年蝉」と称される蝉が生息していますが、17年間も幼虫のとして地中に暮らし、成虫としてやっと地上に出たと思ったら、約1週間で生を終えてしまう。生物個々に平均寿命が異なるのは仕方無いのだろうけれど、「何の為に生まれて来たのだろうか?」と切なさを感じてしまいます。

我々人間は得てして、「人間こそが、地上で最も優れた生物なのだ。」という思い違いをしてしまい勝ち。でも、其の他の生物達の暮らしを見ていると、人間以上に優れた部分を感じる事が珍しくない。
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