「2009年度『週刊文春ミステリーベスト10』国内編」5位、「2010年版『本格ミステリ・ベスト10』」4位、そして「『このミステリーがすごい!』2010年版[国内編]」の4位と、昨年度のミステリー・ランキングで軒並み上位に入った作品「追想五断章」(著者:米澤穂信氏)を読破。彼の作品を読みのは初めてだが、昨年の“このミス”に「秋期限定栗きんとん事件(上)&(下)」も入る(10位)等、ミステリー・ファンの評価が高い作家の様だ。
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独り身の伯父が営む古書店「菅生書店」に居候&アルバイトする大学生・菅生芳光。折からの不景気に加え、1年前に父親を亡くした事で、学費が払えなくなってしまった彼は、現在休学状態に在る。少しでも御金を稼ぎたい彼に、或る日魅力的な報酬の依頼が舞い込む。書店を訪れた北里可南子がその依頼人で、彼女は亡き父・参吾が「叶黒白」というペン・ネームで密かに著した5つの掌編を捜していたのだった。
「ストーリー中で示した“謎”に明確な答えを敢えて記さずに、読者の想像に委ねる。」というリドル・ストーリーの形式を採った5編を追う内に芳光は、1970年にベルギーで起こった未解決の事件「アントワープの銃声」に付いて知る。「一人の日本人女性が首を吊って死に、殺人の可能性も疑われた。」というその事件、被害者の女性は北里斗満子(当時31歳)で可南子(当時4歳)の母親、そして殺人を疑われたのは彼女の父・参吾だったのだ。22年前のその夜何が在ったのか?幾重にも隠された真相は?
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「どちらかが彼女を殺した」及び「私が彼を殺した」と、自分が大好きな作家・東野圭吾氏も著しているリドル・ストーリー。「謎の答えが結局は示されない。」という未消化感が残る一方で、「読者それぞれがその答えを持ち得る。」という自由さも在る。参吾の著した5編は、その答えだけが可南子の手元に残っており、それは全て「1行」という短さ。徐々に発見されて行く5編の何とも不思議な作風に加え、1行の答えが独特の雰囲気をこの作品に与えている。
又、無意識の内に「これとこれとはリンクしている。」と思ってしまった事柄が、「その実はリンクしていなかった。」という意外性も含め、「ミステリー・ランキングの上位に押されたのも判るなあ。」と感じさせる内容だったけれど、終盤にややパンチ力の弱さを感じたのが残念。総合評価は星3.5個とさせて貰う。
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独り身の伯父が営む古書店「菅生書店」に居候&アルバイトする大学生・菅生芳光。折からの不景気に加え、1年前に父親を亡くした事で、学費が払えなくなってしまった彼は、現在休学状態に在る。少しでも御金を稼ぎたい彼に、或る日魅力的な報酬の依頼が舞い込む。書店を訪れた北里可南子がその依頼人で、彼女は亡き父・参吾が「叶黒白」というペン・ネームで密かに著した5つの掌編を捜していたのだった。
「ストーリー中で示した“謎”に明確な答えを敢えて記さずに、読者の想像に委ねる。」というリドル・ストーリーの形式を採った5編を追う内に芳光は、1970年にベルギーで起こった未解決の事件「アントワープの銃声」に付いて知る。「一人の日本人女性が首を吊って死に、殺人の可能性も疑われた。」というその事件、被害者の女性は北里斗満子(当時31歳)で可南子(当時4歳)の母親、そして殺人を疑われたのは彼女の父・参吾だったのだ。22年前のその夜何が在ったのか?幾重にも隠された真相は?
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「どちらかが彼女を殺した」及び「私が彼を殺した」と、自分が大好きな作家・東野圭吾氏も著しているリドル・ストーリー。「謎の答えが結局は示されない。」という未消化感が残る一方で、「読者それぞれがその答えを持ち得る。」という自由さも在る。参吾の著した5編は、その答えだけが可南子の手元に残っており、それは全て「1行」という短さ。徐々に発見されて行く5編の何とも不思議な作風に加え、1行の答えが独特の雰囲気をこの作品に与えている。
又、無意識の内に「これとこれとはリンクしている。」と思ってしまった事柄が、「その実はリンクしていなかった。」という意外性も含め、「ミステリー・ランキングの上位に押されたのも判るなあ。」と感じさせる内容だったけれど、終盤にややパンチ力の弱さを感じたのが残念。総合評価は星3.5個とさせて貰う。