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横浜の老舗商店街・伊勢佐木町に、ひっそりと事務所を構える私立探偵・桂木圭一(かつらぎ けいいち)。 時代遅れなスカジャンを愛用する舎弟・黛真琴(まゆずみ まこと)を引き連れて、港町で起きる重大(?)事件の調査を生業にしている。 或る日、知らぬ間に再婚していた母親の新居を訪ねると、其処は山手の大豪邸。母の御相手は何と神奈川県警本部長で、然も 其の息子・一之脩(いちのせ しゅう)は伊勢佐木署のいけ好かないエリート刑事だった。矢鱈と現場で鉢合わせする義兄弟、此の微妙な関係、一体どうなる!?
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「『謎解きはディナーのあとで』シリーズ」等で有名な東川篤哉氏の小説「伊勢佐木町探偵ブルース」。伊勢佐木町と言えば、デビュー前のゆずが路上ライヴを行っていた場所としても知られているが、自分の世代だと「青江三奈さんの名曲『伊勢佐木町ブルース』【動画】の舞台。」としてのイメージが強い。(大好きな曲の1つなので、伊勢佐木町に在る同曲の歌碑を目にした際は、とても感動したっけ。)此の曲が発売された年・1968年に生まれた東川氏にとっても印象深い曲という事で、恐らくは捩ったタイトルにしたのだろう。
私立探偵の桂木圭一には、“血の全く繋がらない弟”が2人居る。見た目&言動共にヤンキーの黛真琴は探偵助手で、可愛い“舎弟”という存在。そして、いけ好かないエリート刑事・一之瀬脩は、母の再婚相手の連れ子で在り、圭一にとっては義弟という事になる。見た目も性格も正反対の2人の“弟”と共に、圭一が事件を解決するというストーリー。
子供の頃、夢中になって読み漁った赤川次郎氏の作風と、似た雰囲気の在る東川作品。収録されている4つの短編小説は、ユーモア・ミステリーとして読み易い内容では在るけれど、「ストーリー展開でも謎解きの面でも、非常に“浅い”。」感じは否めない。恐らくはシリーズ化して行く事になるのだろうが、ストーリー展開及び謎解きの面でもっと深みが増す事を期待する。
総合評価は星3つ。