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「警視庁本部が患っているという事ですか?」。
警察官による暴力や淫らな行為・・・警視庁内で非違行為が相次ぐ。常時では在り得ない不祥事の原因とは?
事態の悪化を恐れた警視庁生活安全部少年事件課の巡査部長・富野輝彦(とみの てるひこ)は、旧知の御祓い師・鬼龍光一(きりゅう こういち)を呼び出す。其の結果、警視庁を守る結界が破られており、此の儘では警察組織は崩壊する
一方、富野は小松川署で傷害事件を起こした少年の送検に立ち会い、半グレ集団による少女売春の情報を掴む。一見無関係な2つの出来事は、軈て奇妙に絡み合う。
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警察小説を多く著している今野敏氏だが、此方を見て戴いたら御判りの様に、幅広い分野の作品を手掛けている。中にはオカルト系の物も在り、今回読んだ「脈動」が当該する。
「脈動」は、御祓い師・鬼龍光一を主人公とした「鬼龍光一シリーズ」の第6弾に当たる。と言っても、今回の作品では鬼龍は脇役的な扱いで、主役は警視庁生活安全部少年事件課の巡査部長・富野輝彦だ。
自分は、オカルト系の話が嫌いでは無い。でも、「そういう話を信じている。」というのでは無く、概して「『そんな馬鹿な。』という感じで捉えるのが楽しい。」という面が強い。だから、御祓いを扱った「脈動」も、そんな感じで読み通した。
現実味を感じられるストーリー展開では無いのだけれど、“物語”としては読める内容。読み終えた後、心に何かが残る様な作品では無いが・・・。
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「明治政府によって作られた警察組織は、薩長閥なんだ。警察は薩摩閥で、その上にあった内務省は長州閥だ。」。
(中略)
「警察庁のことを、サッチョウって呼ぶだろう。」。「はい、言いますね。」。「あれって、ただ略しただけじゃない。薩摩・長州の薩長とかけているんだ。」。
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総合評価は、星3つとする。