「ブルンジ」という国を御存知だろうか?「東アフリカの内陸に位置し、ルワンダやコンゴ民主共和国、タンザニアと国境を接している国。多数派のフツと少数派のツチの間で対立が在り、1993年には内戦が起きている。現在の大統領はピエール・ンクルンジザ氏(55歳)で、2005年に就任して以降、独裁者として君臨している。」という事だが、一般的な知名度はそう高く無いだろう。
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「教科書の大統領の顔に落書き、女生徒3人に禁錮刑の恐れと人権団体 ブルンジ」(3月23日、CNN.co.jp)
アフリカ中部のブルンジで、教科書に載っている同国大統領の顔に落書きしたとして未成年の女生徒3人が逮捕・起訴され、裁判を受ける見通しで在る事が、22日迄に判った。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)がCNNに明らかにした。有罪になれば、禁錮5年の刑を言い渡される可能性が在ると言う。
3人は先週、授業中に教科書のンクルンジザ大統領の顔に悪戯書きをしたとして逮捕された。週を跨いでの勾留の後、18日に「国家元首を侮辱した罪。」で起訴されたと、HRWは説明している。
3人と共に逮捕された複数の生徒は既に釈放されたが、3人に付いては勾留が延長され、裁判へ進む見通しだと言う。
HRWのアフリカ中部担当責任者によると、ブルンジの学校では教科書をクラス間で使い回す為、誰が最初に大統領の顔に落書きをしたのかを特定するのは困難だ。女生徒が勾留中という事態に付いて、此の責任者は「口にすることさえ、馬鹿げている。」と非難した。
CNNは現時点でブルンジ政府から、此の件に関するコメントを得られていない。
ブルンジでは2016年にも、教科書の大統領の顔に批判的な文言を書き込んで侮辱したとして、中等学校の生徒8人が逮捕された他、同様の行為で複数の学校の生徒数百人が、退学処分を受けていた。
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学校の教科書に悪戯書きをするという行為は、決して褒められた事では無いけれど、「自国の大統領の顔に悪戯書きをした事は侮辱行為で在り、禁固刑の恐れが在る。」というのは、非常に恐ろしい事。独裁国家ならではの話と言えるだろう。
ピエール・ンクルンジザ大統領の来歴を見ると、彼は或る日突然“独裁者”になった訳では無い。「選挙によって勢力を拡大。→法律等によって権力を増し、反対勢力を“排除”して行く。→気付いた時には、強大な独裁体制が確立。」という経緯を辿っており、此れはアドルフ・ヒトラー総統を始めとする、過去の独裁者達が辿って来た道でも在る。
振り返れば我が国でも「天皇の写真が印刷された新聞紙で物を包んだのは不敬行為だ!」として、厳しく責め立てられた時代が在ったと言う。個人崇拝が突き進んで行った先に、国民の幸福は存在しないのだ。
「選挙によって勢力を拡大。→法律等によって権力を増し、反対勢力を“排除”して行く。→気付いた時には、強大な独裁体制が確立。」というプロセスを書いたが、“幼稚な指導者が君臨する何処ぞの国”では、「気付いた時には、強大な独裁体制が確立。」の手前迄、状況は到っている様な気が・・・。
戦後のGHQもマッカーサーによる独裁で、MPなどは、権力拡大に必須だったのでしょうね。それは、アメリカ本国が自由主義だったのに対して、マージナルへの軍隊権力の集中にあり、それだけ、古い日本の再興を警戒していたのでしょう。禁欲や国家神道を、対立要因として危惧していたのだと思います。
独裁者の権力基盤は、国民ではなく、軍隊であり、先軍政治ではないですか。ナチドイツも、国民の男性の軍人化、女性は労働者として、軍国化を進め、その共同体である企業権力の統率、公共事業や財政介入など、疲弊する国家再建を目指したもので、必ずしも、劣化した民主主義が、もともとは異端者であったヒトラーを総統に押し上げた、生んだとは言えない、と思います。その変体型ですね。
「独裁者の権力基盤は、国民では無く、軍隊で在り、先軍政治。」、此れは独裁政治が完成する終盤に於いて、そうだと思います。でも、独裁政治の萌芽期に在っては、国民の後押しというのが重要な要素。そういう国民の後押しが在るからこそ、軍隊も日和見主義的な考えも在って、独裁者に擦り寄る。日和見主義だからこそ、独裁政権に揺らぎが見えると、“国民第一主義”を掲げ、独裁者を裏切るのが軍隊。そんな気がします。