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「サッカー選手、認知症リスク1.6倍 ヘディング影響?キーパーと差」(4月9日、朝日新聞)
「トップ・レヴェルの男性サッカー選手は、一般男性に比べて認知症を発症するリスクが1.6倍に高まっていた。」事が、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究で判った。「ヘディング等で、頭部に衝撃を繰り返し受ける事が影響している可能性が在る。」と言う。ヘディングの少ないゴールキーパーでは、一般人とリスクに差は出なかった。
ボールを頭で跳ね返すヘディングでは、長年の繰り返しによって認知症等の神経変性疾患のリスクが高まる恐れが、近年指摘されている。日本サッカー協会は2021年に、「小学1~2年生は、風船や新聞ボール等を使用。」等、頭の負担を軽減する指針を出している。
カロリンスカ研究所の上田ピーター助教(疫学、東京大学客員研究員)等のチームは、スウェーデンの男子サッカー・トップ・リーグで1924年~2019年に1試合以上出場し、同国の国民健康登録制度にデータの在った6,007人の選手を特定。診断や死亡、薬の使用記録から537人(8.9%)が、パーキンソン病等を含む神経変性疾患になったと確認した。又、491人(8.2%)の選手がアルツハイマー病を含む認知症になっていた。
一方、同年代の一般男性約5万6千人では、神経変性疾患は6.2%、認知症は5.1%が発症していた。トップ・サッカー選手が一般人に比べて認知症になるリスクは、1.6倍高い計算になる。
一方、「ヘディングの機会が多く無いゴールキーパー510人と、キーパー以外のポジションの5,497人を比べると、キーパー以外の選手が認知症になるリスクが1.4倍高かった。キーパーと一般人の認知症リスクには、統計的な差が無かった。」と言う。
こうした結果からチームは、「繰り返しヘディングをする事による頭部への衝撃が、サッカー選手の認知症リスクを高めている可能性が在る。」と結論付けた。
論文は3月、ランセット・パブリックヘルス誌に掲載された。
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野球が大好きな自分だが、実はボクシングも結構好きだったりする。多くの名ボクサーを見て来たが、中には“パンチドランカー”となってしまった者も居る。「相手にパンチを貰い過ぎるとなってしまう症状で、頭痛や物忘れ、身体の痺れ、身体の震え、バランス感覚の喪失、認知障害、鬱、攻撃性、呂律が回らない等がパンチドランカーの症状。」とされている。其れだけ、「頭部に衝撃を繰り返し受ける。」という事は危険なのだ。今回の研究結果からも、其の事は立証されたと言って良い。