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「コンビニ、ファミレスで何を・・・社員をアプリ監視」(4月9日、読売新聞)
スマートフォンに位置情報アプリを入れて営業マンの回り先を調べたり、生体認証で出退勤を確認したり。
IT技術の発達で、会社が従業員の行動を簡単且つ正確に管理出来る時代になった。プライヴァシー侵害に当たるかどうかを巡り、訴訟に発展したケースも在る。「喫茶店でサボリーマン」は絶滅してしまうのか。
「御前、昨日の1時頃、コンビニに居ただろ。」、「其の後、ファミレスに入ったよな。何に食べたんだ?」。セルフ式ガソリンスタンドを管理する東京都内の会社役員(28歳)は時々、社員にこんな風に話し掛ける。
同社は今年1月、外回りの社員20人にスマートフォン(スマホ)を支給。スマホには、全地球測位システム(GPS)を使って位置情報を指定の端末に送信するアプリが入っている。会社のパソコンを開けば、其れ其れの社員が何時に何処に居るか、建物名迄地図で確認出来るのだ。
同社では自宅から現場に向かい、直接帰宅する社員が多く、此れ迄勤務状況の把握は自己申告に頼って来た。「当初は『自分達を信用しないのか。』、『監視されているみたいで嫌だ。』との反発も在ったが、最近は慣れた様だ。」と役員。アプリ代は1人僅か月1,000円。「サボりの抑止力になる」とメリットを強調する。
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「『上司がGPS機能を利用して、部下の居場所を逐一チェックする。』というのが、行われる様になるんだろうなあ。」とは思っていただけに、「矢張りなあ。」という感じが。小心者故、「勤務時間中、何処かでサボる。」というのを余りした事が無いけれど、明らかにサボっているサラリーマンの姿は、しばしば見掛けた事が在る。サボる気持ちは良く判るが、上司としては「許さん!」となるのも、又、判らないでも無い。
何処の証券会社の社長だったか忘れてしまったが、夕刊紙で話していた内容が面白かった。社長に就任した際、真っ先に打ち出したのが「社員は、定時に退社する。」という事。しかし、「朝早くから夜中迄働くのが、証券マンの常識。」という意識が強い管理職以上を中心に、大反対の声が上がったそうだ。
其の社長自身も若い頃は「朝早くから夜中迄働くのが、証券マンの常識。」という意識が強く、連日、遅く迄オフィスに残って働いていた。しかし或る時、「非常に無駄な残業をしている。」事に気付く。「『こんなにも頑張ってるんだ。』というのを上司にアピールしたいが為に、朝早くから夜遅く迄オフィスに居座っているのではないか?夜遅く迄オフィスに残る為、外出先でサボったりして、時間を潰してるのは無駄だなあ。」と思い至ったのだ。で、自身が社長に就任した事で、「定時退社」を宣言。
最初は猛反発を食らったものの、其の社長は自身の考えを曲げず、結局は「定時退社」の環境を構築。売上は、大幅にアップしたとか。「『無駄な残業をしなければいけない。』という環境を無くす事で、社員の中に効率良く仕事を熟すという意識が高まる。早く家に帰って家族サービスをするなり、趣味の時間を持つなり、又、自己研鑽の時間に当てたりすれば、気分転換や客への話題作りの種になるだろうし。」といった趣旨の発言に、「其の通りだよなあ。」と思ったもの。
「上司がGPS機能を利用して、部下の居場所を逐一チェックする。」という会社のトップは、「我が社には、無駄な残業時間を奨励する様な環境がないか?」を、先ずは自問自答した方が良いのかもしれない。
上司が“真剣に”部下の居場所管理をしようと思ったら、其れこそ四六時中端末に張り付いていないといけないでしょうね。其の時間を、もっと有益な事柄に向けた方が、遥かに良い。
何事も「ON」と「OFF」でメリハリを付けないと、良い成果は表れないもの。サボりと一括りにしてしまい勝ちだけれど、メリハリを付ける為に必要な「間」というのも在ると思うし、余りガチガチに管理してしまうのは、色んな意味で「潤い」を無くし、延いては組織を硬直化&縮小化させるだけな気もします。