源義経や明智光秀、豊臣秀頼、真田信繁(幸村)、西郷隆盛、アナスタシア・ニコラエヴナ、ジョン・F・ケネディ元大統領、エルヴィス・プレスリー氏等々、歴史に名を刻んだ人達の中には「死んだとされる後も、『実は生きている。』という生存説が流布された。」ケースは結構在る。
判官贔屓的な思いからだったり、「あんなにも凄い人が、そんなにあっさりと死ぬ訳が無い。」という思いだったりと、生存説が生み出される理由は色々。“彼”の場合は、「悍ましい事を余りにも多くして来たので、死んだと見せ掛けて実は生きており、又、悍ましい事を始めるに違い無い。」という恐怖心が、生存説を生み出したのかもしれない。「ベルリンの総統官邸地下壕でピストル自殺した。」とされるも、幾つもの生存説が流布された彼の名前はアドルフ・ヒトラー。
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「『ヒトラー生存説』に新たな鍵 水深134mの海底で潜水艦を発見」(4月19日、ニューズウィーク日本版)
第二次世界大戦末期に於けるドイツ劣勢の中、ナチス崩壊と共にベルリンの総統官邸の地下壕で妻と自殺したとされる独裁者アドルフ・ヒトラー。だが一方で、極秘に南米に逃げ延びたという説も長年囁かれ、戦後ミステリーの1つとして知られている。
戦後73年の今年、其のミステリーを解く重要な鍵が発見された。
デンマークのTV2の報道によると、連合軍の手を逃れたヒトラーを含むナチス幹部が乗っていたと有力視されていたドイツ軍の潜水艦(Uボート)「U-3523」が、デンマーク最北端スケーエンから北に約18.5kmの沖合、深さ134mの海底で見付かった。撃沈された当時の報告から、西に約14.5km離れた地点だった。
「U-3523」発見に繋がったのはTV2が企画した、北海に眠る遺産を捜索するプロジェクト。デンマーク海戦博物館の研究者等が中心となって進めていた。
「U-3523」がヒトラー等の逃走に使われたと考えられたのには、理由が在る。第二次世界大戦末期の1945年5月6日(英メトロ紙)、コペンハーゲンに連合軍が入り、ナチスの占領を解いた。
正に此の日、スエーケン沖で爆撃されたUボートが「U-3523」。長時間の潜水航行(水中で630km)が可能な同艦は連合軍にとって格好の標的だった。イギリスのB-24爆撃機によって撃沈させられ、乗組員58人は全員死亡とされていた。
然し、「U-3523」の残骸の行方が判らなかった為、「実は撃沈は嘘で、ヒトラーを逃走させる極秘任務に当たっていた。」という噂が独り歩きした。
史実上、ヒトラーの命日は1945年4月30日だが、其の死は今日迄多くの謎を秘めた儘だ。遺体に関する証拠も曖昧な物が多いと言われ、生存説が根強く在る。中でも、「南米アルゼンチンに逃げ延び、偽名で長寿を全うした。」という説が真実だと仮定すれば、「行方の判らなくなっていた『U-3523』が、逃亡に一役買った。」というストーリーが有力だった。全長76.7mの「U-3523」が当時最先端の潜水艦だった事も、噂に真実味を加えていた。
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ヒトラー生存説の1つが、どうやら消えた様だ。