ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

貰い火

2018年04月21日 | 其の他

知人の家が、火災被害に遭った。と言っても、自らが火を出した訳では無い。隣家の人間が焼身自殺し、其の火で家屋が燃えた。自身が加入していた火災保険会社からは、「半焼という扱いになります。」と言われたそうだ。確かに見た目だけで言えば全焼では無く、半焼という事になるのだろうけれど、消火活動時の放水で家の中は水浸しとなり、とても住める状態では無く、借家暮らしを余儀無くされている。「家を建て替えなければならないだろうけれど、其の費用をどうしようか悩んでいる。」と彼は言っていた。

 

火災保険会社によって全焼と認められるのは、消失や流出、損壊した部分が、延べ床面積の80%以上の場合。というのが一般的だと言う。全焼と認められれば“全損扱い”になる訳だが、だからと言って「保険金額の全額(契約した補償額の上限)」を“無条件で”貰える訳では無い。契約した補償額の上限とし、“実際に家屋を再調達するのに掛かった費用”しか払われない。そうだ。詰まり契約した補償額の上限が3千万で、全損扱いとなったとしても、実際に家屋の再調達に掛かった費用が2千万円だったら、保険で支払われるのは3千万円では無く、2千万円という事らしい。

 

今回の場合、知人は隣家からの火事による被害、所謂貰い火”の被害に遭った訳だが、我が国では“原則的”に「貰い火の補償や弁済を、隣家に求められない。」事になっている。明治32年に制定された「失火責任法」という法律が在るからだ。「制定された当時は木造家屋、其れ長屋建てが多く、火を出した際には近隣に大きな被害を与えてしまう可能性が高く、其れを個人に全額負担させるのは無理。」という考えが、失火責任法には反映されている。詰まり、火を出した家が火災保険に入っていても、貰い火された側は原則的に、其の火災保険から補償を求められない訳で、自身が加入している火災保険で対応しなければならないという事。自身かが火災保険に加入していなかったら、泣き寝入りになる。

 

但し、「原則的に」と書いた様に、「例外」は存在する。火を出した家に“重大な過失”が在ると判断された場合は、損害賠償責任が発生するのだ。「漏電の危険性を指摘され続けていたのに放置し続け、火を出した場合。」や「焜炉の火を点けっ放しで其の場を離れ、火を出した場合。」等が重大な過失と認められる様だが、火を出した家に支払い能力が無ければ、結局は泣き寝入りになってしまう。「被災者生活再建支援法」が適用されたとしても、家を建て直す事になれば到底足りる額では無い。

 

で、話を戻すが、全損扱いになるのは「消失や流出、損壊した部分が、延べ床面積の80%以上の場合。」という“物理的被害に基づく基準”以外にも在る。家屋の損害額が、再取得するのに掛かる費用の80%以上の場合。という“経済的被害に基づく基準”だ。

 

知人の場合、此の“経済的被害に基づく基準”が適用されるかどうかが問題になって来るが、非常に厳しい様だ。隣家は火災保険に加入しておらず、又、大きな借金を抱えている様で、重大な過失が認められたとしても、損害賠償を求めるのは無理だとか。泣き寝入りになりそうで、本当に気の毒な話で在る。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2018-04-21 11:51:37
こんにちは。
補償のあるなしにかかわらず、大事な財産の消失や一時的にせよ避難生活を強いられるわけですから、本当にお気の毒でしたね。
火事には自身の過失以外に、giants-55さんの知人の方のように「もらい火」や天災による自然火災もあるわけで、他人ごとではありません。
火災保険には他にも、時価評価額の範囲内、という縛りがあったように思います。
たとえ新築時に3000万円だったとしても、家屋は土地と違って年々評価が下がっていくので、火事にあった時点での(固定資産税に基づいた)評価額が1000万円であれば、たとえ3000万円の保険に入っていても1000万円しか支払われない、という風に聞いたことがありますが・・・。
いずれにしても保険会社にとって不利になるような契約にはなっていないはずで、結局のところ「無いよりはまし」程度に思っておく方がショックが少ないのかもしれません。
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>悠々遊様 (giants-55)
2018-04-21 21:31:38
書き込み有難う御座いました。 今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

「火災保険」と「時価評価額」に付いては全く知識が在りませんでしたので調べてみた所、損保ジャパン日本興亜のサイトに以下の説明が載っていました。
https://www.sjnk.co.jp/knowledge/basic/life/contents2/

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・保険を付けた物を金銭に評価した額を、「保険価額」と言う。

・万が一、火災が発生した場合に支払われる損害保険金は、「保健価額」を元にして契約時に設定した「保険金額」が限度となる。

・保険価額には、「新価」と「時価」という2通りの考え方が在る。新価は「同等の物を新たに建築、或いは購入するのに必要な金額。」、又、時価は「 同等の物を新たに建築、或いは購入するのに必要な金額から、『経過年数による価値の減少と使用による消耗分』を差し引いた金額。」を指す。
******************

契約時、「新価」で契約したのか「時価」で契約したのかによって、貰える金額が大きく変るようですね。新価で契約した場合は、物価上昇分を加味した保険金額の設定なので、対象家屋が全焼した際、同等の家を新築するのに必要な保険金額が丸々貰えるけれど、時価での契約だと同等の家を新築するには、自らの持ち出しが必要という事の様です。勉強になりました。
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