ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「静おばあちゃんと要介護探偵」

2019年02月01日 | 書籍関連

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「静おばあちゃん」高遠寺静(こうえんじ しずか)は、日本で20人目の女性裁判官で、80歳となった今も信望が厚く、孫で大学生の円(まどか)と様々な事件を解決して来た。

 

今回、静おばあちゃんとコンビを組むのは、「要介護探偵」事香月玄太郎(こうづき げんたろう)不動産会社「香月地所」を一代で築き上げた玄太郎は、名古屋では「立志伝中の人物」と言われ、口が悪いが、皆から慕われてる。

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小説さよならドビュッシー」で、第8回(2009年)「『このミステリーがすごい!』大賞」を受賞し、文壇デビューを果たした中山七里氏。以降、「さよならドビュッシー」は「岬洋介シリーズ」の第1弾という事になるのだが、其のスピンオフ作品として2012年に上梓されたのが「さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿」。

 

猛々しい気性”で“粗野”、“傍若無人”だけれど、正義感の強い老人・香月玄太郎は、脳梗塞罹患した事で、車椅子生活を送る事になる。そんな玄太郎が、“要介護探偵”として事件を解決するのが“要介護探偵シリーズ”。「部屋から出る事無く、或いは現場を訪れる事無く、事件を推理する探偵。」の事を“安楽椅子探偵”と呼んだりするが、玄太郎の場合は部屋から出るどころか、事件現場もどんどん訪れ、“立場”を利用して警察顎で使う

 

又、中山氏には、「静おばあちゃんにおまかせ」という作品が在る。元裁判官の高遠寺静が謎を解く内容だが、「静おばあちゃんにおまかせ」では、静は安楽椅子探偵の役割。即ち、静自身は家から出る事無く、孫の円から事件に関する報告を得る事で、謎を解くのだ。

 

今回読了した「静おばあちゃんと要介護探偵」、“静おばあちゃんシリーズ”としては第2弾という事になるが、シリーズの枠を超えて、玄太郎と“共演”。高齢者コンビで謎を解くのだけれど、アクティヴな玄太郎に影響され、静もばんばん事件現場を訪れる事に。

 

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いったい、いつからこの国は老いること、弱くなることを悪徳捉えるようになったのか。以前であれば老いることは成熟であり、弱くなることは庇護の対象になったはずだ。それがここ十年の間にすっかり様相が変わってしまった。弱肉強食ではあるまいし、経済力や地位の後ろ盾がなければ、おちおちを取ることも病気になることもできなくなってしまった。

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登場人物には高齢者が少なく無い。高齢者を邪魔者扱いしたり、食い物にする連中が増えている現実を、作品に投影させているのだろう。

 

「『常識体裁なんぞは糞食らえ!』といった感じで、自身のスタイルを押し通して暴走する玄太郎。」と、「『情念よりも論理。』という考えで自ら律し不承不承乍らも玄太郎の“御目付け役”となる静。」という組み合わせは悪くは無いのだが、如何せん玄太郎の“灰汁”が強過ぎて、個人的にはうんざりさせられた。

 

又、肝心の“犯人”及び“トリック”に意外性が余り感じられなかったのも、失望感を高める事に。

 

総合評価は、星3つという感じか。


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