
「世代がばれる」や「『死語』だと言われたらショックな言葉」等、“死語”に関する記事を過去に幾つか書いて来た。AERA(11月23日号)に載っていた記事「10代にはもう通じない『巻き戻し』『ダイヤル回して』『レンジでチン』」では、ジェネレーション・ギャップから来る死語等を紹介している。
小林明子さんの名曲「恋に落ちて ‐Fall in love-」【動画】の歌詞に、「ダイヤル回して 手を止めた♪」というのが在る。33歳の女性会社員は此の曲が十八番で、カラオケで良く歌っていたのだが、昨年、職場の懇親会でも歌った所、10代の新人社員が「ダイヤル回して 手を止めた♪」という歌詞の部分で呟いた言葉に、愕然としたそうだ。
「『ダイヤルを回す』って、電話の事なんだ!」。
カラオケの背景映像では、女性が受話器を手に取り、電話機のダイヤルを回していた。其れを見て初めて、電話の事を意味していると知ったのだと言う。
「恋に落ちて ‐Fall in love-」が発売されたのは1985年8月で、丁度此の年に“電電公社”がNTTへと民営化され、其れ迄レンタルだった電話機をユーザーが自由に購入出来る様になった。此れを機にプッシュ式の電話機が普及し始め、所謂“黒電話”(回転ダイヤル式電話)は急速に姿を消して行った。件の新人社員は、「ダイヤルを回して、電話を掛ける。」という経験が無かったのだ。
「其れでも、電話の事だと当たり前に理解していたし、疑問を感じた事も無かった。此の表現が通じないのかと、常識を覆された様な衝撃でした。」と33歳の女性会社員は語ったそうだが、全く同感だ。
そんな状況なので、昔は“電話マーク”と言えば“黒電話マーク”が普通に使われていたが、今では“受話器マーク”を使うのが一般的なのだとか。そう言われてみれば、確かにそうだ。
他にも色々「へー。」と思わされる死語が紹介されていたけれど、一番印象に残ったのは、38歳の男性会社員の話。彼が後輩に話した内容が、全く通じなかったと言う。
「『昨日、久々にダブル・ヘッダーでさ。』と言ったら、ポカンとされた。何を意味するかだけで無く、ダブル・ヘッダーという言葉自体知らない様でした。」。
「主に野球の試合で、同じチーム同士が1日に2試合を行う事。」をダブル・ヘッダー、又、「相手を替えて、2戦する場合。」は変則ダブル・ヘッダーと呼ぶのは、“昭和のプロ野球ファン”にとっては常識と言って良いだろう。転じて、「同じ行為を、1日に2度繰り返す事。」を、良く“ダブル・ヘッダー”と表現していた。
昔は盛んにダブル・ヘッダーが組まれていた日本のプロ野球だが、近年は全く行われていないと言う。そう言われてみれば、確かに見なくなった。記事によれば、最後に行われたのは22年前の1998年。「セ・リーグ:1998年10月10日に行われた『ベイスターズvs.ドラゴンズ』のダブル・ヘッダー、パ・リーグ:1998年10月9日に行われた『ライオンズvs.オリックス・ブルーウェーブ』のダブルヘッダー。」がそう。
因みに、“自分にとって最も印象深いダブル・ヘッダー”と言えば、「1988年10月19日に行われた『ロッテオリオンズvs.近鉄バファローズ』のダブル・ヘッダー。」で在る。