AERA(11月23日号)に、「東京女子医大『学費1,200万円値上げ』の衝撃」という記事が載っていた。「東京女子医大は2021年度の入学生から、6年間の学費を約1,200万円値上げし、総額で4,621万4千円にする。」のだとか。「1年間では、約200万円の値上げ。」という事になり、貧乏人の自分にとっては考えられない値上げ幅だ。
「医学部の学費は高い。」というのは、多くの人のコンセンサスと言って良いだろう。AERAの記事によると、国立大学医学部の学費は6年間で約350万円なのに対し、私立大学では最も安い国際医療福祉大が1,850万円、最も高額なのは岡山県の川崎医科大で4,736万5千円。国立大学の学費は4年間で約242万円と言われているので、国立大学医学部の6年間の学費が約350万円というのは「思っていたよりも安いな。」と感じるが、私立大学の場合は思っていたよりも遥かに高いイメージ。
学費を大幅アップする具体的な理由を、東京女子医は説明していない。同大では否定しているものの、「新型コロナウイルス感染症大流行による病院経営の悪化。」も、値上げの理由の1つだろう。治療には感染対策の費用が少なからず発生する他、感染を恐れた患者が一時、大学病院での受診を控えた。全国の大学病院の医業収入は、コロナ禍の4~5月に前年同月比で約1割減少。東京女子医大では6月、「コロナによる収入減で、夏のボーナスを支給出来ない。」と職員に通達したが、程なくして病院は一転、「資金調達の目途が付いた。」として、ボーナスを支給。其の直後、学費の大幅アップが明らかとなった。
唯、東京都内の医学部では、新型コロナウイルス感染症が流行する前から、学費アップの動きは始まっていたと言う。昭和大は約500万円、そして帝京大は約180万円、6年間の学費を2020年度からアップしている。「医師の長時間労働に加え、2018年に明らかとなった『医学部不正入試問題』等から、医学部人気が翳っている。」事も、学費アップの背景に在りそうだ。
医学部の学費アップが続けば、“一般家庭の受験生”は減り、“金持ち家庭の受験生”の割合が増える事だろう。そうなれば、医師の世襲化が進む。高い能力や人間性を有していれば、世襲も問題は無いけれど、裕福な医師の家庭に生まれたというだけで、能力も人間性も劣る人間が世襲医師になって行ったら、医療の質は下がってしまう。