ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「スケルトン・キー」

2018年10月14日 | 書籍関連

 

上のAとBは、鏡像で在る。Aを鏡に映した場合Bとなり、Bを鏡に映した場合はAとなる。で、パッと2つの絵を見ると、殆どの人は「Bの方が幸せそう。」と感じるのだそうだ。此れシュードネグレクト(疑似無視)」と呼ばれる現象で、「概して“左の視野許り認識して、“右の視野”が無視される。」事から来る。「向かって左側が微笑んでいる(様に見える)Bの方が、より幸せそうに感じられる。」という訳だ。だから、他人に対する自分の印象を良くし様と思ったら、化粧とか髪型等は、顔の右側、相手からすると左側を特に気を付けた方が良いと。

 

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週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也(さかき じょうや)。此の仕事を選んだのは、スリルの在る環境に身を置いて心拍数を高める事で、“もう一人の僕”に成らずに済むからだ。昔、児童養護施設<青光園>で共に育ったひかりさんが教えてくれた。僕の様な人間を、サイコパス(精神病質者)と言うらしい。

 

或る日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話が掛かって来て、平穏な日常が変わり始めた。此れ必死に守って来た平穏が、壊れてしまう。

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道尾秀介氏の小説スケルトン・キー」は、シュードネグレクトやサイコパス等、心理面に関する事柄が盛り込まれていて、興味深い内容だった。歴史的な成功者や、大企業を興した人の中には、『サイコパスがたくさんいる。』のだという。心の痛みを感じにくいので、余計な感情を挟まずに物事を考えられる。だから、普通の人よりも上手く損得勘定ができ、自分が損になることをしないでいられる。歴史上の人物や大企業の社長以外にも、自分の特徴を社会に役立つ方向に利用してる人はたくさんいて、たとえば爆発物を解体する専門家や、大手術を成功させる医者などは、心拍数を計ってみると、すごく低いことが多いのだという。なんていうのは、「へー。」という感じだったし。

 

、気になった点も在る。「“一般的な傾向”を“全ての傾向”と捉えてしまう人ならば、児童養護施設や精神病等に対する偏見を持つ様になるのではないか?」と。小説の中の記述とはいえ、気になる点だ。

 

ストーリーが約6割進んだ所(164)で、どんでん返しが在った。設定としては珍しく無い物だが、今回の小説では想定していなかった。こういう場合、最後は“入れ替わり”というどんでん返しが在る物だけれど、今回は・・・。最悪な終わり方で無くて、個人的に「良かった。」と思う。

 

総合評価は、星3つとする。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2018-10-15 20:42:56
こんばんは
サイコパスというと、いわゆる精神異常者という捉え方をしていましたが、ちょっとニュアンスが違うのですね。
勉強になります。

そうえば発明王エジソンもライバルを蹴落とすことに異常な執着があったようで、いわゆる善良な発明家のイメージと現実はちょっと違ったよう。
また、手塚治虫も他人のアイデアなりを遠慮なく拝借して作品にする一方、名声を不動のものにしてからでも、新たな才能の出現には異常なほど対抗心を燃やしていたと聞きます。
だからこそあれだけのものを残せたのでしょうね。

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>悠々遊様 (giants-55)
2018-10-16 01:04:06
書き込み有り難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

サイコパス、自分も悠々遊様と同じ認識を持っていました。ですので、此の小説を読んで「へー。」という思いが。

「サイコパス的気質を有している。」と推測される著名人の中に、マザー・テレサ女史の名前が挙がっていたのは非常に驚きだったのですが、手塚治虫氏にもそういう気質が在ったのかも知れませんね。と言うか、“常人と同じ気質”だと、途轍も無い業績を残すというのは難しいのかも。
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