「AERA(3月28日号)」の「マーサ牢獄からの復活」という記事と、「週刊現代(4月2日号)」の「桑田真澄〈後編〉『借金17億円』を背に投げ続けた」という記事を読んだのだが、マスコミ対策の如何でどうにでも世論は誘導出来るのだなあと改めて思った。
マーサ・スチュワート女史は料理やガーデニング、家具、ファッション等様々な分野に於いて、全米の主婦に「理想のライフスタイル」を提案し続け、自らの名を冠したブランド(マーサ・ブランド)を、自身が経営するマーサ・スチュワート・リビング・オムニメディア社で通信販売する等して大成功を収めた。カリスマ主婦なる称号も得、米国主婦の憧れに登りつめた彼女だったが、投資していた製薬会社の持ち株約450万円分をインサイダー取引にて売却した事で、一転転落の道を歩む事になる。インサイダー取引だけならば罰金刑で済んだのだが、イメージダウンを恐れた彼女が揉み消し工作を図った事も発覚し、罪状は虚偽供述、共謀、司法妨害に迄膨れ上がり、5ヶ月の実刑判決を受けるに到った。出演番組は打ち切られる等し、オムニメディア社の昨年の損失は60億円にも上ったという。億万長者の彼女が、僅か約450万円の為に莫大な金銭的損失と共に、名声すらも失ってしまった訳だ。
しかし、事件発覚直後に危機管理専門家を雇い入れた彼女は、ここから復活に転じる策に打って出る。上告すれば実刑を回避出来るにも拘らず、敢えて自ら牢獄の身になったのだ。この事で、それ迄彼女に吹きまくったバッシングの嵐が止み、一転「彼女は潔い!」と賞賛の声が上がり始めた。刑務所でトイレ掃除をしたり、他の囚人にヨガを教えたりする彼女の姿はマスコミによって逐一報道され、彼女への評価は鰻登りして行く事となる。
出所する彼女の姿は全米にTV中継され、オムニメディア社の株価は有罪判決が出た当時の4倍、上場以来最高値を記録したのだとか。元々アメリカ人は「挫折から這い上がる話が好き。」という傾向が在るのだが、今回の巧妙なマスコミ対策で、それ迄「気取ったイメージが鼻に付く。」と彼女に嫌悪感を持っていた層迄も見方に付けてしまったという。
逆のケースが、ジャイアンツの元球団代表補佐の武石啓之助氏の場合かもしれない。この人物に関しては、自分も含め多くのジャイアンツ・ファンは良いイメージを持っていないのではないだろうか?マスメディアから報じられる彼に関する事柄は、立場を利用した傲慢で公私混同とも思える振る舞いばかりだったからだ。しかし、今回の記事に拠ると様相は一変する。
昨年一気に火を噴いた球界のゴタゴタ劇。プロ野球人気低迷の波は、ジャイアンツも例外なく襲った。遅きに失した感は否めないが、ジャイアンツもやっとファン・サービスの重要性に気付き、積極的に行い始めたのは報道等でも知る所だろう。だが、もっと早い段階の今から十数年前、球団代表補佐に就任した武石氏はファン・サービスの重要性を認識し、積極的に球団改革を行なおうとしていたのだという。
当時の彼は、近しい記者に次の様に語っていたのだという。
「俺が巨人に来てビックリしたのは、兎に角余りに社会常識から掛け離れた事が罷り通ってる事だった。広報のXXにしてから、何様のつもりだって態度を取っていやがる。先ず、あいつの頭に鉄槌を食らわせる事から、俺の仕事は始まったんだ。」
球団の幹部連も然る事ながら、選手達の非常識度も凄まじかったという。それ迄全てに於いて”ごっつぁん体質”が当然と思い上がっていた選手達を前にして、「ユニフォームとボール以外全ての用具を、自弁で賄って貰う。」と宣言する武石氏に対して、多くの選手達から不満の声が上がったのだとか。
「巨人軍の選手だからって、踏ん反り返ってちゃあ駄目だ。サインをする暇が無いなら、選手とファンが直接触れ合える機会を作るんだよ。」と訴え、ロゴ・マークの入ったボールペンを大量に発注し、自らファンの一人一人に配って廻った彼。時には、球場の前で列を成しているファンに迄手渡した事も在ったのだそうだ。そんな彼に対して、球団内部から「みっともない!」とか「やり過ぎだ!」という声が上がり、選手達からも「どうして俺達がこんな事をしないといけないんだ!」と猛反発を食らったという。そして、彼等の中から番記者に「あのおっさんを何とかしてくれ。」という”要望”を耳打ちする者が続出、彼等の”意向”を受けた番記者の何人かが、ナベツネに抗議の投書を送り付けたのだとか。その中身は、武石氏に関する誹謗中傷に溢れており、彼は左遷の憂き目に遭う。
今回の記事はあくまでも一方的な見方で在り、真偽の程は定かではない。しかし、もし事実で在るならば、余りにも強行に球団改革を推し進めようとしていた彼が、それ迄既得権益を享受していた球団幹部や選手達、そして記者達の恨みを買ってしまったという事になるだろう。マスコミ対策が上手くなかったとも言える。
球団改革を断行しようとしただけではなく、桑田投手の借金返済にも奔走した彼は、1999年に63歳で脳出血でこの世を去る。最後の職分は大阪に在る読売ゴルフ社長だったのだとか。無念の内に球団を去らなければならなかった彼は、今回の記事を書いた記者に対して、結果的に最後となる年賀状をその年に送っている。其処には唯一言書かれていたのだという。
「頑張れ、正義の味方」
ずっと彼に対してマイナス・イメージを持っていた事も在って、この言葉は逆に切なさを覚える。マスメディアの世論誘導の怖さも改めて思わされた。
優れた才能と行動力を持ちながら、余りにも度の過ぎた発言で猛反発も食らっているホリエモン。自分に素直と言えるのかもしれないが、マスコミ対策の下手さをどうしても感じてしまう。マスメディアに迎合する必要は全く無いが、或る程度のマスコミ対策、と言うよりもコミュニケーション能力アップを図るべきではないだろうか。
マーサ・スチュワート女史は料理やガーデニング、家具、ファッション等様々な分野に於いて、全米の主婦に「理想のライフスタイル」を提案し続け、自らの名を冠したブランド(マーサ・ブランド)を、自身が経営するマーサ・スチュワート・リビング・オムニメディア社で通信販売する等して大成功を収めた。カリスマ主婦なる称号も得、米国主婦の憧れに登りつめた彼女だったが、投資していた製薬会社の持ち株約450万円分をインサイダー取引にて売却した事で、一転転落の道を歩む事になる。インサイダー取引だけならば罰金刑で済んだのだが、イメージダウンを恐れた彼女が揉み消し工作を図った事も発覚し、罪状は虚偽供述、共謀、司法妨害に迄膨れ上がり、5ヶ月の実刑判決を受けるに到った。出演番組は打ち切られる等し、オムニメディア社の昨年の損失は60億円にも上ったという。億万長者の彼女が、僅か約450万円の為に莫大な金銭的損失と共に、名声すらも失ってしまった訳だ。
しかし、事件発覚直後に危機管理専門家を雇い入れた彼女は、ここから復活に転じる策に打って出る。上告すれば実刑を回避出来るにも拘らず、敢えて自ら牢獄の身になったのだ。この事で、それ迄彼女に吹きまくったバッシングの嵐が止み、一転「彼女は潔い!」と賞賛の声が上がり始めた。刑務所でトイレ掃除をしたり、他の囚人にヨガを教えたりする彼女の姿はマスコミによって逐一報道され、彼女への評価は鰻登りして行く事となる。
出所する彼女の姿は全米にTV中継され、オムニメディア社の株価は有罪判決が出た当時の4倍、上場以来最高値を記録したのだとか。元々アメリカ人は「挫折から這い上がる話が好き。」という傾向が在るのだが、今回の巧妙なマスコミ対策で、それ迄「気取ったイメージが鼻に付く。」と彼女に嫌悪感を持っていた層迄も見方に付けてしまったという。
逆のケースが、ジャイアンツの元球団代表補佐の武石啓之助氏の場合かもしれない。この人物に関しては、自分も含め多くのジャイアンツ・ファンは良いイメージを持っていないのではないだろうか?マスメディアから報じられる彼に関する事柄は、立場を利用した傲慢で公私混同とも思える振る舞いばかりだったからだ。しかし、今回の記事に拠ると様相は一変する。
昨年一気に火を噴いた球界のゴタゴタ劇。プロ野球人気低迷の波は、ジャイアンツも例外なく襲った。遅きに失した感は否めないが、ジャイアンツもやっとファン・サービスの重要性に気付き、積極的に行い始めたのは報道等でも知る所だろう。だが、もっと早い段階の今から十数年前、球団代表補佐に就任した武石氏はファン・サービスの重要性を認識し、積極的に球団改革を行なおうとしていたのだという。
当時の彼は、近しい記者に次の様に語っていたのだという。
「俺が巨人に来てビックリしたのは、兎に角余りに社会常識から掛け離れた事が罷り通ってる事だった。広報のXXにしてから、何様のつもりだって態度を取っていやがる。先ず、あいつの頭に鉄槌を食らわせる事から、俺の仕事は始まったんだ。」
球団の幹部連も然る事ながら、選手達の非常識度も凄まじかったという。それ迄全てに於いて”ごっつぁん体質”が当然と思い上がっていた選手達を前にして、「ユニフォームとボール以外全ての用具を、自弁で賄って貰う。」と宣言する武石氏に対して、多くの選手達から不満の声が上がったのだとか。
「巨人軍の選手だからって、踏ん反り返ってちゃあ駄目だ。サインをする暇が無いなら、選手とファンが直接触れ合える機会を作るんだよ。」と訴え、ロゴ・マークの入ったボールペンを大量に発注し、自らファンの一人一人に配って廻った彼。時には、球場の前で列を成しているファンに迄手渡した事も在ったのだそうだ。そんな彼に対して、球団内部から「みっともない!」とか「やり過ぎだ!」という声が上がり、選手達からも「どうして俺達がこんな事をしないといけないんだ!」と猛反発を食らったという。そして、彼等の中から番記者に「あのおっさんを何とかしてくれ。」という”要望”を耳打ちする者が続出、彼等の”意向”を受けた番記者の何人かが、ナベツネに抗議の投書を送り付けたのだとか。その中身は、武石氏に関する誹謗中傷に溢れており、彼は左遷の憂き目に遭う。
今回の記事はあくまでも一方的な見方で在り、真偽の程は定かではない。しかし、もし事実で在るならば、余りにも強行に球団改革を推し進めようとしていた彼が、それ迄既得権益を享受していた球団幹部や選手達、そして記者達の恨みを買ってしまったという事になるだろう。マスコミ対策が上手くなかったとも言える。
球団改革を断行しようとしただけではなく、桑田投手の借金返済にも奔走した彼は、1999年に63歳で脳出血でこの世を去る。最後の職分は大阪に在る読売ゴルフ社長だったのだとか。無念の内に球団を去らなければならなかった彼は、今回の記事を書いた記者に対して、結果的に最後となる年賀状をその年に送っている。其処には唯一言書かれていたのだという。
「頑張れ、正義の味方」
ずっと彼に対してマイナス・イメージを持っていた事も在って、この言葉は逆に切なさを覚える。マスメディアの世論誘導の怖さも改めて思わされた。
優れた才能と行動力を持ちながら、余りにも度の過ぎた発言で猛反発も食らっているホリエモン。自分に素直と言えるのかもしれないが、マスコミ対策の下手さをどうしても感じてしまう。マスメディアに迎合する必要は全く無いが、或る程度のマスコミ対策、と言うよりもコミュニケーション能力アップを図るべきではないだろうか。
だから、Gの選手もみんなそうかと思っていました。
巨人の選手が「どうして俺達がこんな事をしないといけないんだ!」と言った、という、今回の記事にびっくりしています。
昔は巨人の帽子をよくかぶっている少年がいっぱいいました。仮面ライダーのエキストラの子のほとんどが巨人の帽子をかぶっていたんです。だから、巨人のスゴさを感じました。
過去のことかもしれませんが、選手のこの言葉に震えがきました。すごく、悲しかったです。
帽子をかぶった子供たちや、ドームにいったときにスタンドで見た、一生懸命にラッパを吹いたりしている人たちがいるから、あんたたちがやれるんだ!って思いましたよ。
新庄くらい、ファンサービスしたら!過去のつくないも含めてって思いました。
ベイスターズも球場を改造して、選手により近づけるようにしたみたいですね。
ファンがあってのプロ野球ですもんね。ほんと。
武石氏の話は知りませんでした。ファンサービスについての考え方はこれでいいと思うんです。マスコミ対策以前に球団内部のコミュニケーションがとれてなかったのかなという気も。。