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鎌倉の片隅に在る「ビブリア古書堂」は、其の佇まいに似合わず、様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかな彼の人や、困惑する様な珍客も。
人々は懐かしい本に想いを込める。其れ等は予期せぬ人と人の絆を表出させる事も。美しき女店主・篠川栞子(しのかわ・しおりこ)は頁を捲る様に、古書に秘められた其の「言葉」を読み取って行く。彼女と無骨な青年店員・五浦大輔(ごうら・だいすけ)が、其の妙なる絆を目の当たりにした時に思うのは?絆は、迚も近い所に在るのかもしれない。
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小説「ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」*1(著者:三上延氏)は、1冊の本に秘められた謎や秘密を、其の本を見ただけで解き明かしてしまう栞子が主人公。彼女の「本」に対する造詣の深さが、謎解きの最大の武器となっているのだが、肝心な謎解きも然る事乍ら、本好きな自分としては、様々な本に関する薀蓄に触れられるのが楽しい。
栞子、そして失踪してしまった母・千恵子との関係というのも、此の作品の“鍵”となっているのだが、今回読了した「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」では大輔が或る人物から「あの母娘には、気を許さん方がいい。」、「万が一、あいつらに弱みを握られたら、ろくな目に遭わん・・・俺からの忠告だ。」という言葉を投げ掛けられる。彼女等に関する謎は深まって行く許りで、第4弾の刊行が待たれる。
前2作に比べると、読後の“ほんわか感”は薄いし、謎解きの面でも物足りなさを感じる。本に関する新たな薀蓄に触れられたのは良かったけれど、総合評価としては星3つといった所か。
*1 矢張りと言うべきか、「ビブリア古書堂の事件手帖」はテレヴィ・ドラマ化され、来年1月から放送開始予定とか。栞子役は、剛力彩芽さんが演じるとの事。
昨年辺りから、メディアへの露出度が増えた剛力さん。「ごうりき」という苗字は非常に珍しく、最初に耳にした際には、嘗ての特撮番組「イナズマン」(曲)で、主人公の渡五郎(わたり・ごろう)がサナギマンに変身する際に口にした掛け声「ゴーリキショーライ!」を思い出してしまった。