ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「真夏の方程式」

2011年10月26日 | 書籍関連

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夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごす事になった少年・柄崎恭平(えさき きょうへい)。仕事で訪れた天才物理学者・湯川学も、其の宿に滞在する事を決めた。

 

翌朝、もう一人の宿泊客・塚原正次が変死体で見付かった。其の男は定年退職した元警視庁の刑事だと言う。彼は何故、此の美しい海を誇る町に遣って来たのか?此れは事故か、殺人か?湯川が気付いてしまった真相とは・・・。

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東野圭吾氏が著すガリレオ・シリーズ」の第六弾は、風光明媚なれど、観光客が減った事で寂れ始めている海辺の町を舞台にした作品「真夏の方程式」。天才物理学者にして名探偵の湯川と、小学校5年生の恭平との出会いで物語はスタートしている。子供が苦手な湯川だが、恭平と触れ合う中で徐々に違った面を見せて行くのが新鮮。

 

寂れ始めている町に、突如降って湧いた「海底鉱物資源開発」の話。「開発によって町の復興を図りたい人々」と「開発による自然破壊を憂う人々」の対立というのは良く見られる構図だが、湯川は開発側のアドバイザーとして此の町を訪れている。しかし開発側のアドバイザーという立場では在るけれど、「開発先ず在りき。」というのでは無く、飽く迄も「適っているかか?」という観点から思考し、冷静に判断しているのが「湯川らしいな。」とニヤッとしてしまう。

 

献身」という用語が文章内に用いられていたが、テーマ的にガリレオ・シリーズの第三弾で在る「容疑者Xの献身」と非常に近い感じがしている。一般的に高評価だった「容疑者Xの献身」だが、個人的には「動機に、やや無理が在るなあ。」と感じて、高評価は付けられなかった。でも同じ「献身」がテーマならば、今回の作品の方が遥かに共感出来る。

 

或る事件により、トラウマを抱え続けて生きなければならない者達が居る。彼等を守ろうとするがに、“結果として”無関係な人間にトラウマを抱え続けさせる事になったら・・・何とも遣り切れない話だ。

 

“真犯人”を、自分は見抜けなかった。或る設定及び言葉が引っ掛かってはいたが、よもやそういう事だったとは。意外性の在る結末だった。

 

総合評価は星4つ


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