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「<センター試験>国語の平均点は過去最低 小林秀雄で苦戦」(2月7日、毎日新聞)
先月実施された大学入試センター試験で、国語の平均点が過去最低になった事が判った。此れ迄の最低点は2003年の101.08点(200点満点)だったが、今回は101.04点。昨年の平均点は117.95点で約17点も下がった事になる。近年で異例の低さになった理由を、予備校関係者は、例年出題される「評論」とは異なり、批評家・小林秀雄の随筆的な文章が出題された事を挙げている。
国語は例年、評論、小説、古文、漢文の順で1問ずつという問題構成。其の第1問に小林秀雄の「鐔」が出題された。刀剣の鍔を題材にした文章で、文の趣旨や筆者の考えを答えさせる問題だった。
代々木ゼミナールの土生昌彦(はぶ まさひこ)・教材研究センター本部長によると、論理構成が明快な「評論」というよりは、私的な想像も含めた随筆的な文章で、読み辛く感じた受験生が多かったと言う。文章の末尾に付ける注釈も、例年は5個以内だが、今回は21個も。本文の分量も、前年比で約600字増えた。
小林秀雄は、昭和を代表する批評家。難解な文章で知られ、「批評の神様」とされる。30年程前には大学入試で良く出題されたが、近年は少なく、センター試験で出題されるのは初めてだ。
昨年と比べて17点も平均点が下がり、土生さんは「受験生からは『少しパニックになった。』、『想定と違う文章で驚いた。』等の声が聞かれた。極端に難しくなった訳では無いが、過去問と全く違う文章だったのが影響した。」と分析する。ベネッセ岡山本社高校事業部の松永和喜(まつなが かずき)さんも、「論理性より、感覚的に理解する事が求められた。受験生は様々な文章を読み慣れておく必要が在る。」と説明。大学入試センターは、例年6月に発表する報告書で分析結果を示すと言う。
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今回、此の記事を取り上げたのは、「小林秀雄」という懐かしい人名が在ったからだ。
自分は「大学共通第1次学力試験」、所謂「共通一次試験」を受けた世代。もうウン十年前の話になるが、当時の“現国”の試験では、国公立大学&私立大学を問わず、小林秀雄氏の文章を取り上げる所が本当に多かった。「国語」は最も得意な科目だったけれど、そんな自分でも小林氏の文章には苦戦させられた。当時も「難解な文章の書き手」という事で知られていたし、塾や“ラ講”でも現国の講義では、“小林秀雄対策”がしばしば成されたもの。
彼の著作で言えば「様々なる意匠」に「Xへの手紙」、「無常といふ事」、そして「考へるヒント」は“試験対策”で購入し、何度も読んだ。難解で理解出来ない部分が在るものだから、悔しくて今でも手元に置いている位。
「現国の試験と言えば小林秀雄。」というイメージが専らな自分からすれば、「彼の文章がセンター試験で出題されるのは初めての事。」というのが信じられなかったりもする。
「現国の試験で、小林秀雄氏の文章に散々苦しまされた世代が、大学入試の問題を中心になって作る様になったのかな?」と今回のニュースを、ボロボロになった小林氏の文庫本を開き乍ら、想像する夜半。
そうそう、マークシートを塗る練習ってさせられましたね。当時は既に「授業で使う筆記用具」と言えばシャーペンでしたが、共通一次試験の為“だけ”に鉛筆、其れも「HB」を購入し、「食み出さないで、きちんと塗り潰す様に。」等と言われ乍ら塗る練習をしたもの。本当に間抜けでしたね。
学校の定期試験では“山掛け”(http://kotobank.jp/word/%E5%B1%B1%E3%82%92%E6%8E%9B%E3%81%91%E3%82%8B)が結構的中したものですが、受験に関しては全く駄目。特に数学は散々な出来でした。昔は疲労困憊の状態で寝た際、「試験終了迄残り数分と言われ、答案用紙を見ると全くの白紙で焦り捲る。」という悪夢を見たものですが、大概は数学の試験時という内容でした。流石にこんな経験を実際にした事は無いのだけれど、何度か悪夢で見ましたね。
昔は現国の教科書や試験では、本当に良く小林秀雄氏の文章が使われていましたよね。ですから、近年は余り使われていないという事が、凄く意外でした。
数学が得意で、現国が好きじゃないという知人が良く口にするのは、「数学はバチッと答えが1つ出るけれど、現国は色んな答えが在り得る感じで、どうも好きじゃない。」と。彼が言わんとしている事、良く判ります。
(ぷりな様の)国語の先生が言われている様に、「評論や随筆、小説に関する問題は、自分がどう思うか?では無く、筆者の考えを汲み取らなければいけない。」というのは事実ですね。「国語」は得意科目では在ったけれど、当時の塾や“ラ講”等では、所謂「解法テクニック」を伝授する事が多く、其の事に虚しさを覚えた事も在りました。例えば選択肢から正解を選ぶ問題では、「特定のキーワードが重複して含まれている場合、重複数が多いのが正解の可能性が高い。」といった感じで、酷い場合には「選択肢1番が正解のケースは余り無い。」なんていうのも。
小説の場合、出題によっては正解率に性差が出ることもあるようです。私の高校は女子高だったのですが、センター対策の模擬試験を受けて授業で答え合わせをやったところ、小説の問題のうちのある設問について、正解したのはクラス40人中数人のみでした。誤答だったうちの1人が述べた解答の根拠を聞いた先生(男性)がひとこと、「そういう考えだと男に騙されるんです」 ちなみに私はその小説はただひとり全問正解でした。男の心を持つ女