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第1章「弓投げの崖を見てはいけない」:自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章「その話を聞かせてはいけない」:友達の居ない少年が目撃した殺人現場は本物か?偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」:宗教団体の幹部女性が、死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き、捜査を進めるが・・・。
何の章にも、最後の1頁を捲ると、物語ががらりと変貌するトリックが。ラスト頁の後に再読すると、物語に隠された“本当の真相”が浮かび上がる超絶技巧。更に終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、此れ迄の物語全てが絡み合い、更なる“真実”に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。
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道尾秀介氏の小説「いけない」の広告には、「本書の御使用法」というのが記されている。
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「本書の御使用法」
・先ずは、各章の物語に集中します。
・章末の写真を御覧下さい。
・隠された真相に気付きましたか?
・「そういう事だったのか!!」
騙される快感を御楽しみ下さい。(再読では、更なる驚きを味わえます。)
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他の3つの章と比べると、第2章の「その話を聞かせてはいけない」は“別物”の様な感じ。“全く無関係の話”(全てを通して読むと、無関係では無いのだけれど。)が入り込んでいて、「どういう事?」と当惑させられるので。又、“ホラー色”が際立っているのも、ホラー系が苦手な自分からすると、好きな作品では無い。
「本書の御使用法」に記されている様に、各章の最後の頁を捲ると、「絵」や「写真」が配置されている。ストーリーを読んで「こういう事だな。」と“思い込んでいた事”が、其れ等を見て“騙されていた事”に気付かされるという趣向。
・・・と書いたが、実は自分、第3章は「“何と無く”判った。」ものの、他の章に関しては「何を、どう騙されているのか?」が判らなかった。「若い頃と比べると、理解力が少し落ちている。」というのも在るのだろうが、「絵」や「写真」を見ても、“真相”に辿り着けない。モヤモヤとした思いを持ちつつ、ネットで調べてみた所、此方に“解説”されていた。読んで、「そういう事か!!」と理解出来た(特に第2章の写真に付いての解説は、「そんな所迄確認していなかったなあ。」という驚きが。)し、“騙された感”を楽しめはしたが、こういう解説を読まないと、「何だか判らないなあ・・・。」とモヤモヤ感を引き摺る人も少なく無さそう。
“解説”を読んだ後ならば、総合評価は星3.5個という感じだが、読まないと星3つという感じか。