小手先の対策では駄目

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「国民年金『納付４５年に延長』案でＳＮＳに集まるブーイング『本当にどう生きて良いのか判らん。』」（１０月１６日、ライブドアニュース編集部）

１０月１５日、「政府は国民年金の保険料納付期間を、６５歳迄の４５年間とする検討に入った。」事が報じられた。実施されれば、現行の２０歳以上６０歳未満の４０年間から、５年間の延長となる為、世間では厳しい声が相次いでいる。

負担が増えるのは、主に自営業者や、６０歳以降は働かない元会社員達だ。少子高齢化社会に伴い、現在は社会保障制度を支える現役世代が減少し、財源の確保が儘ならない状況だ。政府は２０２４年迄に結論を出し、２０２５年の通常国会での改正法案提出を目指していると言う。

国民年金の保険料は未納率が高い事も在り、政府の財政は追い詰められつつ在る様だ。だが、相次ぐ物価高騰や、増え続ける税金で疲弊する人々に、納付期間延長は更なる打撃となる。ＳＮＳでは、今回の報道に絶句する人が続出した。

「『インフレ凄い上に、金融所得も更に税率上がるかも？』みたいな話も在り、厚生年金は国民年金の補填に使いますとか、国民年金の支払い６５迄伸ばしますとか、消費税増やしたいなとか、老後は貯金額に応じて介護保険料や医療費上げますとかも言われてるの、本当にどう生きて良いのか判らん。」、「こうやって、取れ易い所から取って行くんですね。岸田政権って、資産所得半減プランを掲げてたんでしたっけ。」、「年金４５年払わないといけないとか無理。抑、年金と保険であんだけ取られてるのに、おかしくない？其れなら、金額下げてよ・・・年金貰う前に死んじゃうよ・・・。」。

「現在の国民年金の制度では、２０歳からの４０年間、月１万６，５９０円の保険料を納めた場合、６５歳から月６万４，８１６円の年金が貰えます。然し、国民年金の保険料は年々、増額され続け、支給額は減額される一方です。９月末には、国民年金の減額を抑えるべく、会社員が払う厚生年金の保険料や、国庫で埋め合わせるという方策を、厚生労働省が検討し始めたとも報じられています。現役世代の不公平感は大きく、好い加減に抜本的な制度改革を検討すべき時期に入っています。」。（経済誌記者）

其の場凌ぎの補填を繰り返した程度では、どうにもならない段階迄来ているのではないか。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

此方の情報によると、「我が国で政府管掌の国民年金が制度化されたのは１９６１年の事で、制度導入時の定年は約５５歳（６０歳定年制が導入されたのは、１９８５年３月から。）で、又、当時の平均寿命は『男性：６５．３２歳、女性：７０．１９歳』だった。」そうだ。詰まり、「当時の厚生年金は５５歳から支給されていたので、会社員の男性は約１０年間、そして当時も６５歳から支給されていた国民年金では、主に扶養されている妻達が約５年間受給するといった制度だった。」と。

昨年時点での我が国の平均寿命は「男性：８１．４７歳、女性：８７．５７歳」なので、国民年金が６５歳から貰えるという事で在れば、「男性の受給期間は約１６年間、女性は約２２年間。」で、１９６１年時点よりは遥かに長期間貰える計算だ。単純比較は出来ないけれど、平均寿命がこんなにも伸び、又、少子高齢化が進んだ状況では、国民年金制度の小手先の対策では駄目だろう。

先日の記事「５３％が赤字」では“健康保険制度”に付いて触れたが、同様に「無駄な形で使われる事を厳しく封じ、老後の生活の心配が無い事を政府が担保した上で、血税アップ（国民個々、身の丈に合った増額で在る必要は在るが。）し、国民年金制度を維持する。」しか無いのではないか。元記事にも在る様に、抜本的な制度改革をする必要が在ると思う。

因みに此方の情報によると、国民年金保険料の額が一律になったのは１９７０年７月からで、其の額は「４５０円／月」だったとか。（其れ迄は「３５歳未満」と「３５歳以上」で、保険料額は違っていた。）１９７０年の大卒初任給は「３９，９００円」という事なので、其の「約１．１２％」に当たる。今年の大卒初任給は「２１万８５４円」なので、１９７０年の「約５．２８倍」。そうなると、１９７０年の国民年金保険料「４５０円／月」は、今だと「２，３７６円／月」の価値となるので、現在の「１万６，５９０円／月」は滅茶苦茶高い。高齢者の割合が非常に高くなっている等、日本の環境が大きく変わっているので、仕方無い面も在るのだろうが・・・。