半年程前から「後ろ足が弱って来たなあ。」と感じていた我が家の飼い犬。「介護」という文字が脳裏に薄ぼんやりと浮かびはしたが、それでも「未だ未だ先の話。」という思いが在った。後ろ足の衰え以外に、高齢を感じさせる要素が無かったから。ところが半月程前より後ろ足を時折ガクガクと震わせ、ヘナヘナヘナと腰が抜ける様な感じで座り込む症状が出て来る様に。首や身体が傾く様になった辺りから「これはおかしいぞ。」と思い、インターネットで色々調べた所「前庭疾患」の可能性が疑われる。これは内耳に存在し、「身体の平衡感覚を司る器官」の前庭が何等かの異常を来たした疾患で、常に船酔いしている様な感覚とか。唯、症状として当て嵌まらない項目も在るし、「前庭疾患で在ったとしても、数週間程で自然回復するケースも少なくない。」との事なので、少し様子を見ていた。
ところが1週間程前より、深夜に半端じゃ無い夜鳴きをする様に。元々無駄吠えをそんなにする子では無かったし、仮にしたとしても抱っこして安心させれば直ぐに鳴き止んでいたのだが、今回はそれをしても一時的にしか鳴き止まない。午前2時辺りから明け方迄に何度も執拗に鳴き、その度に抱っこしていたけれど、このままでは流石にこちらも寝不足気味となってしまう。「もしかしたら認知症の可能性も。」と思い、動物病院へと連れて行った。
素人判断は当てにならないもので、前庭疾患では無いとの事。頭部に腫瘍が出来ている可能性もゼロでは無い(精密検査には結構な費用が掛かる。)が、これ迄の経験からするとその可能性は低そうで、一番可能性が高いのは認知症(恐らく初期段階。)との診断だった。食欲は相変わらず旺盛だし、散歩の意欲も衰えていないけれど、良く良く考えればこの犬種では平均寿命に到達している年齢。8年程前に不治の病に罹患して何度か死に掛かったけれど、幼少時から運動をたっぷりさせていた事で基礎体力が半端では無かったのだろうか、それからは元気さを回復したこの子も、そろそろ“犬生”の終わりに近付いているのを認めざるを得ない。
取り敢えずは暫く様子を見る事にしたが、「夜鳴きがもっと酷くなる様だったら、薬(鎮静剤)の投与も考えなければいけないかなあ。」とは思っている。室内飼いとはいえ近所迷惑になろうし、何よりも飼い主の側が精神的に疲労困憊してしまう可能性が在り、そうなると「人間の介護問題」と同じく“共倒れ”が懸念されるから。気持ち的には、薬を投与したくないのだけれど・・・。
認知症の可能性を疑い始めた頃より、インターネットで「高齢犬」に関する情報を収集していたのだが、某巨大掲示板の書き込みに目が留った。概して批判や中傷、罵詈雑言で埋め尽くされている感の在る某巨大掲示板だけれど、高齢犬を抱えて悩む飼い主が集うそのスレッドは、何とも言えない優しさで溢れており、中には読んでいて滂沱してしまう書き込みも少なくない。その幾つかを、文章そのままに下記させて貰う。
*************************************
・ 我が家には18歳になる老犬がいます。痴呆がすすんで半年程前から毎晩、毎晩暴れて吠えて抑制がきかなくなります。下半身が痙攣してうまく歩けないので人間の補助なしでは歩く(と言うか回る)こともできません。食事、排泄、運動とすべて誰かの介助が必要なので寝ている時だけ(1~2時間)が安心できる時間です。もちろん家族全員寝不足の毎日です。18年間、可愛がって共に生活してきた愛犬ですが、早く死んでほしいと思わずにはいられません。耳も聞こえず、目も見えず、まともに歩けず、食事も寝たまま、深夜には発作のように吠えまくり暴れる・・・。ずっと可愛がっていたからこそ、見ているほうもとても辛いです。寝顔を見ていると「このまま静かに苦しまずに死んでくれないかな」と思います。それとはうらはらに、一分でも長く生きてほしいとも思います。老犬を介護しているご家庭の方は多分、皆同じように思っているのではないでしょうか?介護している皆さん、頑張りましょうね。
・ お久し振りです。我が家の老犬は精神安定剤でやっと静かになったと思っていたら突然全く腰が立たなくなって、起き上がろうと一晩中騒ぐので、とうとう睡眠薬を飲ませはじめました。睡眠薬はかなり負担になっているようです。でも、暴れもがいて口や脚を自分で傷つけて、血だらけになっていたので仕方がないです・・・。これ以上良くなる事はもう期待していません。ただただ苦しまないでほしいと思っています。昨日ふと気付いたら睡眠薬で爆睡してたのにいつの間にか起きて、こっちをじーっと見てました。まん丸のビー玉みたいに澄んだ目がとっても可愛くて思わず抱きしめてしまいました。やっぱり可愛いですね、他人が見たらこんなヨレヨレでオムツ穿いた老犬のどこが可愛いの?って思うでしょうけど。
・ 正直な気持ち、ウチのアホ犬(雑種15歳♀)の寿命が1年延びるなら俺の寿命が10年縮まってもいいかなと最近思うようになった・・・変かな。
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「生き物を飼うというのは、半端じゃない『覚悟』が要ると思っている。」と書いた自分。実際に生半可な思いで飼い始めてはおらず、介護の問題も充分念頭に置いてはいたけれど、いざその現実に直面すると、初期段階にも拘わらず「未だ未だ覚悟は甘かったのだなあ。」と思わざるを得ない。でも大事な大事な“家族”なので、最期迄きちんと面倒看る気持ちは変わらないけれど。
ところが1週間程前より、深夜に半端じゃ無い夜鳴きをする様に。元々無駄吠えをそんなにする子では無かったし、仮にしたとしても抱っこして安心させれば直ぐに鳴き止んでいたのだが、今回はそれをしても一時的にしか鳴き止まない。午前2時辺りから明け方迄に何度も執拗に鳴き、その度に抱っこしていたけれど、このままでは流石にこちらも寝不足気味となってしまう。「もしかしたら認知症の可能性も。」と思い、動物病院へと連れて行った。
素人判断は当てにならないもので、前庭疾患では無いとの事。頭部に腫瘍が出来ている可能性もゼロでは無い(精密検査には結構な費用が掛かる。)が、これ迄の経験からするとその可能性は低そうで、一番可能性が高いのは認知症(恐らく初期段階。)との診断だった。食欲は相変わらず旺盛だし、散歩の意欲も衰えていないけれど、良く良く考えればこの犬種では平均寿命に到達している年齢。8年程前に不治の病に罹患して何度か死に掛かったけれど、幼少時から運動をたっぷりさせていた事で基礎体力が半端では無かったのだろうか、それからは元気さを回復したこの子も、そろそろ“犬生”の終わりに近付いているのを認めざるを得ない。
取り敢えずは暫く様子を見る事にしたが、「夜鳴きがもっと酷くなる様だったら、薬(鎮静剤)の投与も考えなければいけないかなあ。」とは思っている。室内飼いとはいえ近所迷惑になろうし、何よりも飼い主の側が精神的に疲労困憊してしまう可能性が在り、そうなると「人間の介護問題」と同じく“共倒れ”が懸念されるから。気持ち的には、薬を投与したくないのだけれど・・・。
認知症の可能性を疑い始めた頃より、インターネットで「高齢犬」に関する情報を収集していたのだが、某巨大掲示板の書き込みに目が留った。概して批判や中傷、罵詈雑言で埋め尽くされている感の在る某巨大掲示板だけれど、高齢犬を抱えて悩む飼い主が集うそのスレッドは、何とも言えない優しさで溢れており、中には読んでいて滂沱してしまう書き込みも少なくない。その幾つかを、文章そのままに下記させて貰う。
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・ 我が家には18歳になる老犬がいます。痴呆がすすんで半年程前から毎晩、毎晩暴れて吠えて抑制がきかなくなります。下半身が痙攣してうまく歩けないので人間の補助なしでは歩く(と言うか回る)こともできません。食事、排泄、運動とすべて誰かの介助が必要なので寝ている時だけ(1~2時間)が安心できる時間です。もちろん家族全員寝不足の毎日です。18年間、可愛がって共に生活してきた愛犬ですが、早く死んでほしいと思わずにはいられません。耳も聞こえず、目も見えず、まともに歩けず、食事も寝たまま、深夜には発作のように吠えまくり暴れる・・・。ずっと可愛がっていたからこそ、見ているほうもとても辛いです。寝顔を見ていると「このまま静かに苦しまずに死んでくれないかな」と思います。それとはうらはらに、一分でも長く生きてほしいとも思います。老犬を介護しているご家庭の方は多分、皆同じように思っているのではないでしょうか?介護している皆さん、頑張りましょうね。
・ お久し振りです。我が家の老犬は精神安定剤でやっと静かになったと思っていたら突然全く腰が立たなくなって、起き上がろうと一晩中騒ぐので、とうとう睡眠薬を飲ませはじめました。睡眠薬はかなり負担になっているようです。でも、暴れもがいて口や脚を自分で傷つけて、血だらけになっていたので仕方がないです・・・。これ以上良くなる事はもう期待していません。ただただ苦しまないでほしいと思っています。昨日ふと気付いたら睡眠薬で爆睡してたのにいつの間にか起きて、こっちをじーっと見てました。まん丸のビー玉みたいに澄んだ目がとっても可愛くて思わず抱きしめてしまいました。やっぱり可愛いですね、他人が見たらこんなヨレヨレでオムツ穿いた老犬のどこが可愛いの?って思うでしょうけど。
・ 正直な気持ち、ウチのアホ犬(雑種15歳♀)の寿命が1年延びるなら俺の寿命が10年縮まってもいいかなと最近思うようになった・・・変かな。
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「生き物を飼うというのは、半端じゃない『覚悟』が要ると思っている。」と書いた自分。実際に生半可な思いで飼い始めてはおらず、介護の問題も充分念頭に置いてはいたけれど、いざその現実に直面すると、初期段階にも拘わらず「未だ未だ覚悟は甘かったのだなあ。」と思わざるを得ない。でも大事な大事な“家族”なので、最期迄きちんと面倒看る気持ちは変わらないけれど。
そしてウサもそうだなぁってつくづく思います。
「犬を飼う」「星を守る犬」などの漫画を読むとおりがみもまだまだ「覚悟」が足らないと思います・・。
「大変だろうなあ。」とは思っていても、実際に身内の人間を介護している状況に無いと、本当の大変さは判らないもの。それはそれで仕方無い事ですし、「全てを判れ!」という物でも無い。斯く言う自分も所謂「動物」の生き死にには堪らない思いがしてしまうけれど、では「爬虫類や昆虫に同じだけの思いが生まれるか?」と問われたら、正直言って其処迄の思いは湧かないと言わざるを得ず、やはり何事も当事者になってみないと、奥深く迄は判らないものなんですよね。
様々な生き物に触れる事で、生命の貴重さ、そして儚さを知る。どんな生き物にも、等しく1つの命が与えられている。少なくとも「飼い主」という立場で在る以上は、「飼われている側」が充実した日々を最後迄送らせて欲しいものです。それがどれだけ大変で在っても・・・。
最後にはやはり認知症の症状が出ていたようでしたが、息を引き取る1日前まで食欲もありました。それが突然何も食べず水も飲もうとしなくなったので、ああいよいよだねと家族で言っていたら、その次の日、眠るような最期でした。
悲観したり絶望したりしてしまう人間と違って、動物は最後の最後までただ純粋に無心に生きようとしているんだな、と痛感したことです。
幼少時より犬を飼いたくて堪らなかったものの、家庭の事情から飼えないままで大人になりました。長年の念願叶って、十数年前に飼える様になった訳ですが、その時点で「犬が高齢になった際の諸々」を自分なりにじっくりシミュレーション&覚悟はしたのですが、いざ“その日”が訪れると正直当惑している自分が居ます。ですから“先輩”で在る青空百景様の経験談は非常に参考になりましたし、気持が楽になりました。
近所の犬仲間の話でも、犬の「死」は唐突に訪れる様ですね。青空百景様も書かれておられる様に、「食欲、そして次に水を摂らない様になり、息を引き取る。」というパターンが多いとか。診て戴いた獣医の話では「目が未だ元気なので、未だ大丈夫。」と。それを信じて、添い遂げて行きたいと思っております。