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平成29年7月、千葉県船橋市の休耕地で、ブルー・シートが掛けられた幼女の遺体が発見された。捜査に乗り出した船橋署の香山亮介(こうやま りょうすけ)は、7年前に起きた「田宮事件」と遺体の状況が酷似している事に気付く。「田宮事件」では不可解な経緯から証拠が見付かり、犯人とされた男は冤罪を主張した儘、刑務所内で自殺していた。軈て、捜査を進める香山の前で、2つの事件を繋ぐ新たな証拠が見付かって・・・。
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翔田寛氏の小説「冤罪犯」は、7年前と酷似した幼女殺人事件が発生した事から始まる。7年前の「田宮事件」で容疑者として逮捕された田宮龍司(たみや りゅうじ)は冤罪を主張し続けるも、一審に続いて二審でも死刑判決が出されると、其の2日後に刑務所内で自殺。若しも今回と7年前の殺人事件の犯人が同一ならば、田宮は冤罪だった事になる。
7年前の事件との酷似性、「根拠が弱い。」という感じがした。「其の程度の根拠で、冤罪の可能性を考え、捜査するというのは厳しい。どういう結末に持って行くのだろうか?」という好奇心で読み進めたのだが、「消化不良な結末だなあ。」というのが、読み終えた時の感想。
香山が“或る事実”に目を付けるのは、”或る出来事”が切っ掛けだったのだけれど、其の“或る出来事”が余りにも御都合主義な感じだし、「其の出来事が発生しなくても、“普通の捜査”で思い到るんじゃないかなあ?」という疑問が。“現実離れした設定”が感じられ、鼻白んでしまった。
総合評価は、星2.5個とする。