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・第1話「動物裁判」
礼和4年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」。
・第2話「自家醸造の女」
麗和6年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」。
・第3話「シレーナの大冒険」
冷和25年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」。
・第4話「健康なまま死んでくれ」
隷和5年「労働者保護法」或いは「アンバーシップ・コード」。
・第5話「最後のYUKICHI」
零和10年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」。
・第6話「接待麻雀士」
例和3年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」。
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小説「元彼の遺言状」で、第19回(2020年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞した新川帆立さん。現役の弁護士で在り、元プロ雀士という経歴を有する方だ。今回読んだのは、彼女にとって7冊目として上梓された「令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法」。非常に変わったタイトルだが、「6つのパラレル・レイワに於ける6つの架空法律」を題材にしている。詰まり、“架空の世界での架空の六法”が軸になっているのだ。
「動物達に対し、法律によって“過度な権利”が与えられた世界」、「自家醸造が法律で認められた世界」、「現金使用が法律で禁止された世界」等、とても風変わりな設定許り。法律を取り上げている点では同じだが、従来の新川作品とは趣が可成り変わっている。「表面的には現実社会と変わり無い様に見えるが、荒唐無稽で理不尽な社会設定となっている。」というのが作家・三崎亜記氏の作風だけれど、其れと似た感じが在る。(三崎作品、そういうテーストが面白くて初期の頃は読んでいたが、次第に飽きてしまい、今は読んでいない。)最も作風が似ているのは第3話「シレーナの大冒険」で、はっきり言って全く面白く無かった。
第5話迄読み終えた段階で、「新川作品とは思えない、とても詰らない内容だ。」と思った。此の時点で総合評価を付けるなら、「星2.5個」という感じか。でも、最後の第6話「接待麻雀士」は面白かった。「合法的に賄賂を渡す方法として『賭け麻雀』が法律によって認められ、『接待麻雀士』による高額な賭け麻雀が日常的に行われている世界。」という設定、そして“不思議な状況が続いた理由”が明らかになって行く過程が、実に読ませる。麻雀のルールを知らない人でもサクサク読み進める内容。元プロ雀士だからこそ生まれた着眼点だろう。此の作品だけだったら、総合評価は「星3.5個」を付けられる。
総合評価は、星3つとしたい。