12日に放送された「BS1スペシャル 2030未来への分岐点『特別編 持続可能な未来のために』」の中で、「不耕起栽培」なる物を知った。不耕起栽培とは、「農地を耕さないで作物を栽培する、作物の栽培方法の1つ。」で在る。
2050年には、世界の人口が100億人に到達すると言われている。現在の世界の人口は約78億人という事なので、29年後には約1.28倍になる計算だ。世界では今、約8.2億人が栄養不足に在る。「世界の植生が在る土地の略半分が、既に農業に使われている。」という現状で、世界の人口が100億人に到達すれば、危機的な食糧不足に世界が見舞われる可能性は高い。そんな事情も在り、「田畑を耕し、整地する工程を省略する事が出来る上、作物を刈った後の株や藁等を廃棄せず、其の儘、田畑の表面に残して利用する事が出来る。」という不耕起栽培は、“効率的に収穫量を上げられる可能性が在る栽培法”として注目を集めていると言う。
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「不耕起栽培のメリット&デメリット」
[メリット]
① 20世紀前半や半ばに、耕起栽培の所為で進行してしまった「土地劣化(土地を耕す事によって表面の草類が失われ、表土が風や雨等で流出し失われ、荒れ地になってしまう現象。)を食い止める事が出来る。
② 土中に根穴構造が残り、根圏が酸化的に残る。畑では排水性も保水性も良くなり、旱魃にも長雨にも強くなる。
③ 未耕起の土を根が突き破り、稲に生じる植物ホルモン的な作用が、活力高くて太い根を作り、茎を太くする。
④ 前作の作物残渣を地表に放置出来る事になり、其の結果、其れ等が表土の土壌の覆いとなって、風雨による土壌流出を緩和出来る。
⑤ 土壌生物の多様性が増え、害虫や病原体の極端な増加を防げる。
⑥ 耕さない事により、省力化が図れる。
[デメリット]
① 病気によっては、耕さない事で蔓延し易い物も在る。
② 前作の残渣を地中に漉き込む事により、土壌養分が表層に集中し易く、其の為に根が表層に集中し易い。但し、作物の根系によって影響の度合いは異なり、主根型根系を持つ物は、ひげ根型根系を持つ物よりも影響を受け易いと言う。此れにより、旱魃に弱い面も在るとされる。
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「全ての農作物に、不耕起栽培が良い訳では無い」と言う。「土壌は常に変化し、農地の状態や栽培作物によって、最適な栽培方法は異なる。」からだ。
メリットも在れば、デメリットも在る不耕起栽培。素人には難しい選択だが、「世界的な食糧不足を回避する一助になれば良いな。」と思う。