「代打、川藤！」

昨年に引き続き、今年もモルツ球団の試合を生観戦して来た。昨夜の東京ドームで開催されたこの試合、ジャイアンツのグダグダさに疲弊させられて来た我が身には、勝敗に一喜一憂する事も無く、純粋にプレーを楽しめるという意味で、精神衛生上最高のものだった。

「佐野慈紀投手の”ピカリン投法”」や、「達川光男選手が体に当たってもいないボールを『デッドボールだ。』とアピールする姿」、「パンチ佐藤選手が”新庄ベルト”のパクリを披露」等、”御約束”を見せてくれたのも場内を盛り上げたが、何と言っても盛り上がったのは「村田兆治投手の凄い投げっぷり」に「江夏豊投手＆田淵幸一選手のゴールデン・バッテリーの再現」、そして「川藤幸三選手の代打シーン」だったと思う。憧れのアイドルが登場したかの様に大盛り上がりを見せる観客。公式戦では贔屓チームを応援するファンの一体化は在っても、球場全体が一体化する事は先ず無い。でもモルツ球団の試合の場合は球場全体が一体化し、老若男女を問わず弾けんばかりの笑顔で満ち溢れているのが何とも心地良い。

選手個々で言えば、野村謙二郎選手＆初芝清選手のバット・スイングの鋭さが際立っていた。「昨年引退したばかりの選手だから当然。」と言う事勿れ。同じく昨年に引退し、今回から参加した我がジャイアンツの元木大介選手のバット・スイングは、御世辞にも鋭いとは言えなかったからだ。この辺は、普段からの節制の差から生じたものなのかもしれない。

ジョン・シピン選手にレロン・リー選手、ブーマー・ウェルズ選手、ランディ・バース選手、ラルフ・ブライアント選手、オレステス・デストラーデ選手、郭源治投手と、懐かしの外国人選手も７人参加。４５歳のブライアント選手と４４歳のデストラーデ選手の打撃も良かったが、何よりも自分を唸らせてくれたのはシピン選手。今年で還暦を迎えるとは思えない軽やかな動きと、現役時代と変わらない体型を維持してくれているのは感動モノ。引退後には、現役時代を思い描けない程体型が変貌してしまうプロ野球ＯＢに失望させられてしまうケースがまま在るが、ファンの憧れの思いを壊さないというのも、プロ野球ＯＢの責務と自覚して貰いたいもの。

それにしても、今年も楽しい時間を過ごさせて貰った。こんな楽しい試合が無料で観られるのだから、未経験の方には是非とも来年の観戦を御薦めしたい。