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「星空ってね、タイムマシンなんだよ。」。「タイムマシン?どういうこと?」。「例えば・・・冬の大三角形ってあるでしょ?プロキオン、シリウス、ベテルギウス。三つは同じ空、同じ平面にあるように見えるけれど、それぞれ地球からの距離が全然違う。シリウスは8.6光年離れてるから、あの光は八年前、私たちが小学校に入る前くらいに生まれたものがいま届いている。プロキオンは11.46光年だから、二歳か三歳のころの光。」。真夜(まや)はオリオン座のほうを指差す。「でも、ベテルギウスだけは642光年も離れてる。あれは、室町時代がはじまったころの光だよ。全然違う時代に生まれた光が、ひとつの夜空にフラットに並んでる。」。白く濁った空の中、明るい星が点々と存在している。全然違う場所の、全然違う時間に生まれた光たちが、地球の上に集結してひとつの夜空を形成している。数え切れないほどの時間が空に溶け込んで、混ざり合っている感じがした。いままで何気なく見ていた夜空が、ものすごく複雑に、多層的に見える。「ね、タイムマシンみたいでしょ。」。
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現在読んでいる小説「空想クラブ」(著者:逸木裕氏)の中で書かれている文章で在る。「全然違う時代に生まれた光が、ひとつの夜空にフラットに並んでる。」というのは、壮大な浪漫を感じてしまう。
子供の頃、宇宙にはそんなに興味を持っていなかった。でも、年を重ねる毎に、宇宙への興味が強くなっている。「子供の頃は“自分の周りの事”だけしか見えなかったけれど、年を重ねる毎に“視野”が広がり、自分だけでは無く、人類の小ささを感じてしまった。」というのが、大きな理由だろう。
だから、宇宙の話を多く取り上げておられる「悠々遊きまぐれ写真館」を、毎日の様に覗かせて貰っている。どんなに気分が落ち込んでいても、宇宙の事を考えれば、「そんな小さな事で落ち込んでいて、どうするんだ。」と前向きな気持ちになれるので。
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「国際宇宙協力の『アルテミス協定』、日本等署名 NASA」(10月14日、AFPBB News)
米航空宇宙局(NASA)は13日、月等、将来の宇宙探査の指針を示した国際合意「アルテミス協定(Artemis Accord)」に8ヶ国が署名したと発表した。
此の協定の締結により、原加盟国の、、イタリア、日本、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、そして米国がNASAの「アルテミス計画」に参加する道筋が整った。同計画では、2024年迄に月面への有人着陸を実現する事を目指している。
NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、「アルテミスは史上最も幅広く、多様な国際的有人宇宙探査計画で在り、アルテミス協定は、此の唯一のグローバル連合の設立手段となる。」と表明。
「今日の署名で、我々は月の探査の為に、パートナー各国と団結し、全人類が享受する事が出来る安全で平和、且つ豊かな宇宙の未来を築く事に繋がる、非常に重要な基本方針が確立される。」と説明した。
「アルテミス計画はNASAが主導するものの、月面で持続的に活動する体制を構築するには国際的なパートナーシップが必要だ。」と、NASAは強調している。NASAは更に、此の様なパートナーシップは、将来の有人火星探査ミッションに向けて重要だと見ている。
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1957年~1975年迄、大国のアメリカとソ連は自国の威信を賭けて、激烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。特に“最初の月面着陸国の座”を獲得する争いはとても激しく、結果として「1969年7月20日、アポロ11号で月面着力に成功したアメリカ。」が勝者となったのは、多くが知る話だろう。
其れから51年経ち、「月面で持続的に活動する体制を構築する。」という内容の違いは在るにせよ、「2024年迄に月面への有人着陸を実現させる。」というのは、進歩しているのだか進歩していないのだか、良く判らなかったりする。
又、何よりも今回の協定の締結は、「宇宙開発競争に力を入れる中国への牽制。」という意味合いが強く、「結局は『アメリカ対ソ連』という図式から、『アメリカ対中国』という図式に変わっただけではないか。」と感じられ、そういう意味でも「人類は、進歩していないなあ。」と思ってしまう。
とは言え、宇宙の未知なる部分が明らかになって行くというのは、心浮き立つ物が在る。
国際宇宙ステーションISSでの国際協力の次はアルテミス協定ですか。
宇宙開発の方面にはあまり詳しくないのですが、宇宙ステーションでも月への有人飛行の件でも、中国は単独で行うつもりのようで、中国に月の領有権を主張されるのでは、という危機感がアメリカにはあるのでしょう。
米ソの宇宙開発はプライドの激突でしたが、今は国際協力を呼び掛ける、その1点だけは前進とみていいのかもしれませんね。
宇宙大好き人間としては、地上の紛争を宇宙にまで持ち出さないで欲しいと願うばかりです。
大国のエゴというのは古今東西存在して来ましたが、今の中国の其れは、相当なレヴェルに在ると思います。「他者在っての自分」というのを、もう少し考えて欲しい。
大昔、「宇宙人が存在し、地球に攻め込んで来たら、各国が真に纏まれるのではないか。」という主張が在りましたが、宇宙人を“他国の人”と置き換えると、必ずしも纏まれない様な気がします。