東野圭吾氏の「スキー場シリーズ」は、現在迄に4作品上梓されている。第1弾「白銀ジャック」(総合評価:星3つ)を最初に、そして次は第2弾「疾風ロンド」(総合評価:星1つ)と順番通り読んで来たが、此の2作品の評価が芳しく無かった事から、第3弾以降は購入した儘で放置して来た。先日、第4弾「雪煙チェイス」(総合評価:星2つ)を読み、今回、残りの第3弾「恋のゴンドラ」を読む事に。
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真冬、里沢温泉スキー場に集う8人の男女の恋の行方は、どんでん返しの連続だった!
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「恋のゴンドラ」は、7つの短編小説で構成されている。最初の2作品を読み終えた時点で、「全く関係性を持たない短編小説の集まりなんだな。」と思ったのだが、3作品目を読み始めると、2作品に登場した人物が出て来たではないか。そう、「恋のゴンドラ」は“8人の男女”を軸にし、恋模様を描いた作品なのだ。と言うか、第1弾、第2弾、そして第4弾と登場人物が重なっていたりして、通して読むと「此の人は、前にこういう役割で登場したな。」という“思い出し”が在る。
特に最初の方の作品に言えるのだが、ライトノヴェルっぽい雰囲気。「人物設定やストーリーに、非常に深みが在る。」という事で、自分は東野作品の大ファンなのだけれど、「スキー場シリーズ」はそういう部分が薄い。幾つか仕掛けられたどんでん返しも、正直そんなに驚きは無かったのだが・・・。
最後の作品「ゴンドラ リプレイ」の“最後の最後に仕掛けられたどんでん返し”は、非常に意外性が在った。「共に遠回りし続けて来た2人が、漸と結ばれるんだな。」と思っていたら、あんな最悪な結末が待っていたとは。楽しい時間を過ごしていた8人が、ゴンドラを降りた時点で味わったで在ろう修羅場を想像すると、ぞっとする。第4弾に彼等8人が登場しなかったのも当然・・・と言うか、登場させられないだろう。
総合評価は、星3つとする。