
コラムニストの堀井憲一郎氏が、週刊文春に連載しているコラム「ホリイのずんずん調査」。8月7日号は「『男女7人夏物語』の今、気になる部分」というテーマだった。今から22年前の1986年に放送されたドラマ「男女7人夏物語」(動画)を今の20代に見せ、「どういう部分が気になったか?」を挙げて貰うという調査。「男女が複数人出て来て、人生や仕事に悩まず、恋愛に悩むばかり。」という内容のこのドラマ、当時は爆発的に人気を得たものだが、堀井氏のスタッフ(早大4年の男子2人及び27歳の女性秘書官。)が“調査官”。
実はこのドラマ、自分は一切見ていない。前にも書いたと思うが、主演の明石家さんま氏の諄く覆い被せる様な笑い、何処と無く“欽ちゃんの笑い”*1に通じる様な部分が昔から好きでは無く、このドラマも全く見る気がしなかったからだ。だからドラマの詳細は一切判らない。でも調査官達の挙げている「気になる部分」にはジェネレーションの違いが感じられ、なかなか興味深かった。
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レノマ: 「明石家さんまの部屋のベッドとか枕に『レノマ』って書いてあるのは、これは当時の流行でしょうか?うちの御爺ちゃんがイトーヨーカドーで買って来たパジャマにも書いて在りましたが。」
御酒: 「普通に飲むのはウイスキーなのね。」
ATM: 「土曜2時でATMが終了して御金を引き出せないで騒動になるというのは、これは今では在り得ない位不便ですね。」
ラスト・シーン: 「空港で別れのキスをするのを明石家さんまが『格好悪い。』と言うのが、今と違うなと思った。」
千明: 「池上季実子の千明は、命令する様に上から視点での友人としての忠告が多い。凄くウザイ。それでも友達で居られるのが凄く鷹揚だ。」
合コン: 「女が性に対してがっつき過ぎ。安い。7人の遣り取りが中学生みたい。教室の隅で固まって異性同士、品定めしている思春期の男女みたい。とても30近い人々には見えない。」
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「レノマ」を知らない上に、「御爺ちゃんがイトーヨーカドーで買って来たパジャマにも書いて在りましたが。」というのにはガクッと来てしまった。嘗ておニャン子クラブの連中がやたらめったらと着込んでいた「SAILORS(セーラーズ)」の服なぞも、彼等からすると「これ何?」って感じになってしまうのだろうか。
一番面白かった指摘は、予想通りと言うべきか「電話」に関する物だった。
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電話: 「『賀来千香子や池上季実子は仕事中に男の会社に電話するけど、そんな事が昔は普通だったんだろうか?』とビックリした。」、「プライベートとパブリックの区分は、今の方が格段にきっちり付いていると思いますが、それが逆に息苦しい部分も在るでしょう。」、「携帯と違って、電話は音が消せないのね。ドラマの間中、電話のコール音が鳴り続けてる気がする。」
呼び出し: 「新幹線に電話を掛けて呼び出すのには驚いた。そういう事が出来たのか?」
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職場に電話、それも恋愛絡みの電話をバンバン掛けるという部分に、「会社勤めの男性に、女性が電話を掛けるなんて信じられません。デリカシーが無いです。」という指摘も在ったそうだ。メールが一般化した今では、会社にわざわざ電話しなくとも、ちょこちょこっとメールを書いて送信すれば済むのだから、かなり違和感を覚えるのだろう。(我が家では父親が「緊急事態を除いては、職場に電話をしてくるものじゃない。」と散々言っていたので、やはり当時のドラマのこの手の場面に違和感を覚えていたっけ。
)
又、「会社に限らず、登場人物の部屋ではずっと電話が鳴っていた。ドラマを見させている時、数分置きに電話が鳴って、その度に『おーい、何か鳴ってるぞ。』と立ち上がり掛けるが、『嗚呼、ドラマの中の電話か。』と座り直すという繰り返しだった。電話が、かなりけたたましい。携帯電話の世の中は、実は結構静かな世界になってんじゃないか。」という堀井氏の指摘には「なるほど。」と頷いてしまった。
携帯電話が普及した現在、連絡を取りたい相手の携帯電話に電話するかメールをするかで、事は全て済んでしまう。新幹線に乗っているからといって、わざわざ呼び出して貰う事も少なくなったのだろう。
子供の頃、大好きで良く見ていた刑事ドラマ「Gメン’75」。現在、ファミリー劇場で再放送されているのだが、時代を感じるシーンが多いのも一興。少し前に再放送された回では、張り込みを続けている刑事が上司に電話するシーンが在った。地方都市で張り込んでいたのだが、周りには公衆電話も無かった様で、「御店で電話を借りて来ます。」と現場を離れて行ったのが印象的。今だったら、携帯電話で連絡を取り合うのだろうけれど・・・。
*1 第3回「IBAF女子ワールドカップ」の実行委員長を務める“欽ちゃん”。同大会ではスタンドから応援するそうだが、「金メダルを獲らないと、もう女子野球を応援しない。勝たないと欽ちゃんを失う位の気持ちで遣って。」と言ったそうな。日本チームの本音は「ベタな応援されるの迷惑だなあ。負けて欽ちゃん失った方が良いかも。」と思っていたりして。
又、今季限りの引退を表明したバファローズの清原和博選手には「ゴールデンゴールズのユニホームも似合うんじゃない?」と自身が監督を務めるチームへの勧誘も口にしたとか。有名選手が引退を表明する度に同じ事を言っている気もするが、清原選手も本音では「あんな古臭い笑い、毎回見せられるのは迷惑やなあ。」と思っているのではなかろうか。
実はこのドラマ、自分は一切見ていない。前にも書いたと思うが、主演の明石家さんま氏の諄く覆い被せる様な笑い、何処と無く“欽ちゃんの笑い”*1に通じる様な部分が昔から好きでは無く、このドラマも全く見る気がしなかったからだ。だからドラマの詳細は一切判らない。でも調査官達の挙げている「気になる部分」にはジェネレーションの違いが感じられ、なかなか興味深かった。
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レノマ: 「明石家さんまの部屋のベッドとか枕に『レノマ』って書いてあるのは、これは当時の流行でしょうか?うちの御爺ちゃんがイトーヨーカドーで買って来たパジャマにも書いて在りましたが。」
御酒: 「普通に飲むのはウイスキーなのね。」
ATM: 「土曜2時でATMが終了して御金を引き出せないで騒動になるというのは、これは今では在り得ない位不便ですね。」
ラスト・シーン: 「空港で別れのキスをするのを明石家さんまが『格好悪い。』と言うのが、今と違うなと思った。」
千明: 「池上季実子の千明は、命令する様に上から視点での友人としての忠告が多い。凄くウザイ。それでも友達で居られるのが凄く鷹揚だ。」
合コン: 「女が性に対してがっつき過ぎ。安い。7人の遣り取りが中学生みたい。教室の隅で固まって異性同士、品定めしている思春期の男女みたい。とても30近い人々には見えない。」
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「レノマ」を知らない上に、「御爺ちゃんがイトーヨーカドーで買って来たパジャマにも書いて在りましたが。」というのにはガクッと来てしまった。嘗ておニャン子クラブの連中がやたらめったらと着込んでいた「SAILORS(セーラーズ)」の服なぞも、彼等からすると「これ何?」って感じになってしまうのだろうか。

一番面白かった指摘は、予想通りと言うべきか「電話」に関する物だった。
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電話: 「『賀来千香子や池上季実子は仕事中に男の会社に電話するけど、そんな事が昔は普通だったんだろうか?』とビックリした。」、「プライベートとパブリックの区分は、今の方が格段にきっちり付いていると思いますが、それが逆に息苦しい部分も在るでしょう。」、「携帯と違って、電話は音が消せないのね。ドラマの間中、電話のコール音が鳴り続けてる気がする。」
呼び出し: 「新幹線に電話を掛けて呼び出すのには驚いた。そういう事が出来たのか?」
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職場に電話、それも恋愛絡みの電話をバンバン掛けるという部分に、「会社勤めの男性に、女性が電話を掛けるなんて信じられません。デリカシーが無いです。」という指摘も在ったそうだ。メールが一般化した今では、会社にわざわざ電話しなくとも、ちょこちょこっとメールを書いて送信すれば済むのだから、かなり違和感を覚えるのだろう。(我が家では父親が「緊急事態を除いては、職場に電話をしてくるものじゃない。」と散々言っていたので、やはり当時のドラマのこの手の場面に違和感を覚えていたっけ。

又、「会社に限らず、登場人物の部屋ではずっと電話が鳴っていた。ドラマを見させている時、数分置きに電話が鳴って、その度に『おーい、何か鳴ってるぞ。』と立ち上がり掛けるが、『嗚呼、ドラマの中の電話か。』と座り直すという繰り返しだった。電話が、かなりけたたましい。携帯電話の世の中は、実は結構静かな世界になってんじゃないか。」という堀井氏の指摘には「なるほど。」と頷いてしまった。
携帯電話が普及した現在、連絡を取りたい相手の携帯電話に電話するかメールをするかで、事は全て済んでしまう。新幹線に乗っているからといって、わざわざ呼び出して貰う事も少なくなったのだろう。
子供の頃、大好きで良く見ていた刑事ドラマ「Gメン’75」。現在、ファミリー劇場で再放送されているのだが、時代を感じるシーンが多いのも一興。少し前に再放送された回では、張り込みを続けている刑事が上司に電話するシーンが在った。地方都市で張り込んでいたのだが、周りには公衆電話も無かった様で、「御店で電話を借りて来ます。」と現場を離れて行ったのが印象的。今だったら、携帯電話で連絡を取り合うのだろうけれど・・・。

*1 第3回「IBAF女子ワールドカップ」の実行委員長を務める“欽ちゃん”。同大会ではスタンドから応援するそうだが、「金メダルを獲らないと、もう女子野球を応援しない。勝たないと欽ちゃんを失う位の気持ちで遣って。」と言ったそうな。日本チームの本音は「ベタな応援されるの迷惑だなあ。負けて欽ちゃん失った方が良いかも。」と思っていたりして。

又、今季限りの引退を表明したバファローズの清原和博選手には「ゴールデンゴールズのユニホームも似合うんじゃない?」と自身が監督を務めるチームへの勧誘も口にしたとか。有名選手が引退を表明する度に同じ事を言っている気もするが、清原選手も本音では「あんな古臭い笑い、毎回見せられるのは迷惑やなあ。」と思っているのではなかろうか。

こういうのを、もっと他ジャンルの番組でも試してみたいですね。画面にテロップの出ないお笑い番組、アナウンサーの絶叫のないスポーツ中継、つまんないトークのない歌番組とか、若い人に見せたらどんな反応があるでしょうか。
なお、個人的には欽ちゃんを、吉本新喜劇と一緒にして欲しくないなと思います。(あくまでも趣味の問題ですが。)
人と待ち合わせをした際、「待ち合わせした場所が見当たらない。」とか「時間になっても待ち合わせた人間が来ない場合等は、相手の携帯電話に掛けて「待ち合わせ場所が判らないんだけど。」とか「今何処に居る?」と聞く。それに対して相手が「其処から○○が見えるだろ?○○を左に曲がって・・・。」とか「ゴメン。今XXなので10分位遅れる。」といった言葉を返す。今では当たり前の遣り取り(光景)になりましたが、1980年代には無かった事なんですよね。歴史の彼方と言う程昔では無いのに、当時どうやってそういったトラブルに対応していたのか、ハッキリ覚えていなかったりします。
時の流れと共に、“変化”をすんなり受け容れいる自分が居る。当初は違和感を覚えたりしていた筈なのに。そういった事柄が、こういった記事(元記事)での若い人の指摘で「そう言えば、そうだったなあ。」と思い出す。ATMの話なんかは正にそうで、なかなか面白かったです。
昨日、過去の野球中継の動画を見ましたら、画面にニュース速報が映し出されていたのですが、今の様に画面上部では無く下部に表示されていました。意外とこういった点って気付かない物ですね。
吉本新喜劇の件、大変失礼しました。
コント55号の笑いは面白かったし、“嘗て”は凄いコメディアンだったのは認めているものの、ピンになって以降の欽ちゃんは個人的に“過去の遺物”といった存在。今は彼の存在自体が嘲笑の対象になっている感じがして(ネガティヴ・キャンペーンというのは言い得て妙かと。
「千明」や「合コン」のくだりは、単にドラマの設定だからでしょう?
そういった宣伝効果を狙った物の他に、悪戯を意図した呼び出しも少なからず在った様ですね。
「男女7人夏物語」がその範疇に入るか判りませんが、所謂トレンディードラマって、今見ると「そんなアホな。」って思ってしまう非現実的なシチュエーションがまま在りましたね。
セルジュ・ゲンズブールと娘のシャルロットがCMに出たのが話題だったような。
ピエール・カルダンやセリーヌもその手のブランドですよね。
http://park7.wakwak.com/~kevin/omake/actrss.htm
>ウィスキー
今でも70前後の人は外国旅行(特に欧州)に行くと誇らしげにウィスキー等を土産に持ってきますね。
>電話
あの手のドラマに影響された人で、特にあまり忙しくない職業の人は、やっている傾向があります。昔、職場に電話しないことを咎められたことがありました。またその手の人は手作りチョコや手作りマフラー信仰も強いので大変でした(汗)
ところで「サザエさん」のマンガでもしょっちゅうそういう電話のやり取りがあったりしますよね。あれは道徳教科書のような内容なのでそっちの刷り込みもあるかも。
元記事でも触れましたが、レノマを知らないばかりか、「御爺さんが買って来たパジャマ」っていうのが、イコール「超ダサい服」って捉え方の“様で”、個人的にはガックリ来ました。
携帯電話が出始めた頃、そうあの馬鹿デカイ箱状の携帯を、此れ見よがしに持ち歩いていた成金風のオヤジがチラホラ居ましたね。呼び出し音が鳴ると、周りをキョロキョロ見回して、「俺、携帯電話持ってるんだもんね~。」って感じで受話器を取っているのが何とも間抜けだったっけ。
「サザエさん」、アニメに関しては流行のグッズをなるべく登場させない様にしているそうです。特定の時代を感じさせない様にという理由とか。
原作だと流行に敏感な結構軽い一家なんだが…。
サザエやアナゴ君の奥さんはよく会社に電話しますよね(笑)。アナゴ君の奥さんは怖いという設定ですが、確かに会社に夕方必ず電話をかけてくる怖い奥さんというのは一人か二人必ずいます。
>80年代のファッション
最近またリバイバルしているということですが、信じられない!絶対キョンキョンやおニャン子、吉川晃司、チェッカーズは手本にされていないのでしょう。昔はもっとモッサーとしていました(笑)。
修学旅行で原宿のセーラーズに行くのが夢だったあの頃(大汗)!