本年度の「週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」(発行元:文藝春秋)が発表されたので、本題に入る前に其れを紹介したい。
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≪2012週刊文春ミステリーベスト10【国内編】≫
8位: 「禁断の魔術 ガリレオ8」(著者:東野圭吾氏)
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横山秀夫氏は好きなミステリー作家の1人だが、2005年の「震度0」以降、ずっと新作が刊行されていなかった。「どうやら病気療養中らしい。」という話は小耳に挟んでいたけれど、断筆期間の余りの長さから、「もう新作は読めないかも・・・。」という思いが。
7年振りの新作「64(ロクヨン)」の刊行を受け、横山氏は夕刊紙のインタヴューに応じていた。数年前に突如、(作品の)主人公の名前や前の頁に書いた事すら思い出せなくなる等、記憶力が低下し、1行も書けなくなってしまったと言う。体調が悪化した事も在り、ずっと断筆状態が続いていたが、体調が回復した事で、新作刊行と相成った。
概して高い評価を得ている「64(ロクヨン)」、実は昨日から読み始めた所。読後、レヴューを記す予定。又、宮部みゆきさんの作品は正直不得手なのだけれど、2位に入ったという事で、「ソロモンの偽証」も追い追い読んでみたいと思っている。
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「医師の7割が『延命治療、自分なら控えて欲しい。』」(12月5日、Business Media 誠)
根本的な回復が見込めない患者に対して、人工呼吸や輸血、輸液等によって生き長らえさせる事を目的とした延命治療。治療を行う医師は自分が患者となった場合、行って欲しいと考えているのだろうか。
ケアネットの調査によると、医師に自分自身の延命治療に付いての考え方を尋ねた所、「延命治療は控えて欲しい。」が70.8%と断トツ。以下、「家族の判断に任せたい。」が22.3%、「医師の判断に任せたい。」が3.4%、「判らない。」が1.7%で、「積極的治療をして欲しい。」は僅か1.3%だった。
個別の意見では「自分で思考出来て初めて、『生きている。』と考えている。」、「段々状態が悪くなる姿を晒したく無い。」といった自らの生き方に関する考えの他、「家族の精神的・経済的負担が大き過ぎるのを普段から見ている為。」、「(回復が見込めないなら)御金と医療資源は、必要な人の為に使わなければいけない。」等、現場に立つ医師ならではの声も在った。
「自分自身の延命治療に付いて、意思表明しているか?」と聞くと、「希望は在るが、表明していない。」(43.4%)と「家族に、口頭で伝えている。」(40.0%)が上位。「書面に残している。」は6.4%に留まり、「考えた事が無い。」も10.2%居た。年代別に見ると、上の年代になる程「家族に、口頭で伝えている。」、「書面に残している。」の割合が高くなる傾向に在った。
インターネットによる調査で、対象は医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」医師会員1,000人。調査期間は11月15日と16日。
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此方の情報によると、3年前に内閣府が55歳以上の人を対象に行った「健康に関する意識調査」では、「延命の為の治療を受ける事」に付いて、「延命目的のみの医療は行わず、自然に任せて欲しい。」とする人が87.7%だったのに対し、「少しでも延命出来る様、あらゆる治療を行って欲しい。」とする人は7.4%に留まったとか。其れからすると今回の結果は、延命治療否定派の割合が少ないけれど、でも延命否定派の割合が極めて高い事には変わり無い。
7年前に「安楽死」という記事を書いた。今は「尊厳死」という呼称が一般的なのかもしれないけれど、「癌に罹患して以降、其の殆どを病院のベッドで過ごし、長期間に亘って激痛の中で“生かされ続けた”祖母の姿。」を知っている自分としては、根本的な回復が見込めない患者に対する延命治療には否定的な考えを持っている。少なくとも自分がそういった患者の立場だったならば、延命治療は断固拒否。「自分で思考出来て初めて、『生きている。』と考えている。」という意見には同感だし、何よりも「家族の精神的・経済的負担の大きさ」を懸念するので。
唯、其の一方で、仮令「根本的な回復が見込めない。」場合で在っても、患者本人が苦しんでいないのならば、最愛の家族には延命治療を施し、1日でも長く生き続けて欲しいという気持ちも在る。