池上彰氏の本「知らないと恥をかく世界の大問題13 現代史の大転換点」を読了。此の本が上梓されたのは6月10日。「ロシアのウクライナ侵攻」は既に勃発していたけれど、「安倍晋三元首相銃撃事件」が発生する前だし、「第26回参議院議員通常選挙」は公示すらもされていない。又、「エリザベス2世の逝去」は、3ヶ月近く後の出来事。そんな時期に上梓された本だ。
「“其の時点”で世界の大問題となっている事柄に関し、歴史を遡って、『何が、大問題の“根っこ”に在るのか?』を詳しく解説する。」のが、「『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズ」で在る。過去の12冊も全て読んでいるが、「へー、そうだったんだ。」と目から鱗が落ちる内容許りだったが、今回の13弾も同様。「世界の大問題の殆どが、大国のエゴに起因している。」という構図は相変わらずだ。
非常に勉強になる内容なので、実際に読んで貰いたいが、今日は此の本の中に書かれていた“本筋”では無い部分から、興味を惹かれた部分を取り上げてみる。
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・総評(日本労働組合総評議会):嘗て日本に存在した労働組合のナショナル・センター。
・同盟(全日本労働総同盟):反共・反社会主義の民社党支持・社民主義・民主的労働運動・左翼的労働運動克服を掲げ、日本社会党・マルクス主義を支持する左派労組且つ日本最大労組の“総評”と対抗した右派労組ナショナル・センター。
総評は自治労や日教組といった官公庁の労組が中心で、同盟は自動車、電力、繊維など、民間労組が中心でした。総評は社会党を支持し、同盟が支持したのが社会党から右に分裂した民社党です。
そのころは、「右に自民党があり、左に社会党があり、その真ん中が民社党。」といわれていました。我々の学生時代は、就職試験で必ず支持政党を聞かれました。いまだったらあり得ませんね。そのとき「自民党です。」と答えると、「若いのに保守的だ。」といわれ、「社会党。」あるいは「共産党です。」と答えると、「左翼は困る。」と煙たがられる。民社党と言っておけばOKだろう。そういう雰囲気がありました。
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「就職時の面接試験で、旧態依然とした質問をする企業を揶揄するCM。」が現在流れているが、「昔は普通に聞かれていたのに、今ではNGな質問。」というのも在る。思想や信条に関する質問もそうで、「支持政党を聞く。」なんていうのは、今じゃあ絶対に在り得ない事だ。
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私も民放のクイズ番組から、「特番で、有識者が選んだニュースを出題したいので協力してもらえませんか。」と協力を求められることがあります。そのときは「出題者のタレント一人ひとりの出身校が明記されて、有名大学をアピールするような番組には協力できません。」とお断りしています。
東大生がいかに物知りかを強調するような番組が人気のようですが、「頭がいい」ことと「物知り」とは違うのです。
マスコミも学歴信仰を助長しているのではないか。「学歴社会は過去のもの。」といっているテレビが、東大や特定の私立大学を持ち上げたりするなんて、「恥ずかしくないですか?」と言いたいのです。
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マス・メディアの矛盾を感じる事は多い。「学歴社会を批判している癖に、合格発表がされると、東大合格者の情報を、毎年載せる某週刊誌。」なんていうのには呆れ果ててしまうが、購入者が少なく無いからこそ成り立っているのだろう。
「多様性を認める社会が重要。」と、マス・メディアは訴える。でも、一昔のヴァラエティー番組では「日本(人)が如何に優れているかを執拗にアピールし、スタジオを集められた外国人達が大袈裟に『日本(人)って凄い!!』と賛美し捲る。」という物が非常に多かった。(某有名外国人タレントが、「スタッフから『大袈裟に賛美して欲しい。』と何度も言われた。」事を証言していた。)こんなのは単なる“自画自賛”で在り、“ナルシシズム”の様で、自分なんぞは気持ち悪くて仕方無かった。
又、ノーベル賞受賞者が発表される時期になると、「日本人が何人受賞したか?」を報じる事に夢中になる日本のマス・メディア。日本人が受賞した事を喜ぶ気持ちは判らないでも無いけれど、「元日本人(現在は他国籍人)を、無理無理に日本人としてカウントした。」り、「他国籍だけれど、日本で研究した過去が在る人を、恰も日本人受賞者で在るかの様に報じた。」りするに到っては、「みっともないなあ。」と感じてしまう。
こういう報道姿勢の根底に在るのは、「日本(人)は全てに関して素晴らしく、日本(人)を賛美する事こそが重要なのだ。」というマス・メディアの考えだと思う。多様性の重要さを訴えているのに、こういう考えが根底に在る。全く矛盾している。