去年の話になってしまって恐縮だが、12月30日の4時55分~5時50分に掛けてテレビ朝日系列で再放送された「仲村トオル・古田敦也が追う 維新の・ぼーる ~時代を生き抜く“野球”のチカラ~」という番組が面白かった。
俳人・正岡子規は、日本に野球が導入された初期の頃から選手(捕手)としてプレーしており、自身の幼名「升(のぼる)」に因んで「野球(のぼーる)」という雅号を用いていた事でも知られている。彼の故郷は愛媛県で在り、「野球王国愛媛の歴史」に子規がどう関わったのかを取り上げた番組だ。
「第78回全国高等学校野球選手権大会決勝にて、松山商業高校の矢野勝嗣選手が『奇跡のバックホーム』を行えた背景。」が紹介される等、濃密な内容だったが、子規がプレーしていた頃の野球というのは、今と可成り違っていたと言う。
此方に詳細が記されているけれど、審判者(アンパイア)は和装に帽子姿で、マスクやプロテクター、レガースといった防具は一切装着していない。球やバット、グラブといった野球道具もちゃちで、バットなんぞは擂り粉木に見えた程。
打席に入った打者は投手に対し「高め」、「真ん中」、そして「低め」の何れかのコースに投げる事を指示し、投手は其の指示通りに投げなければいけない。例えば打者が「高め」を指示し、投手が其の通りの(と審判者が見做す範囲の)高さに投じれば、打者はバットに当てない限り、今では絶対にストライクに取られない高さで在ってもストライクになってしまうのだ。
「だったら、『真ん中』許りを指示すれば、打者は断然有利になるのでは?」と思われる方も居られるだろうが、投手に有利と思えるルールも在る。打者が球を打ち上げ、其れを野手がフィールド内で捕球出来なければヒットとなるが、当時はダイレクト・キャッチのみならず、ワン・バウンド・キャッチでもアウトになるというルールだったとか。
野球に関する“トリヴィア”が幾つか紹介されていたが、「へーっ。」と思ったのは「応援スタイル」に付いて。「トランペットを吹いての応援」や「ジェット風船を飛ばす応援」、そして「スクワットをし乍らの応援」というのを初めて行ったのは、全て同じチームの応援団だったと言うのだ。
其のチームがカープというのは、個人的に驚き。諸説在る様だが、ジェット風船を飛ばす応援スタイルというのは、タイガースの応援団が最初と思い込んでいたので。
東京ドーム内の野球博物館に行き、黎明期から現在に至るまでのルールや用具の変遷を紹介する展示を見てきたことがあります。黎明期のグローブは手袋型鍋つかみを革製にしたような形状でした。また当時は、ショートの定位置は投手とセカンドとの間だったそうで、ショート・ストップを和訳して短遮(たんしょ)と呼ばれていたとか。
スクワットがカープ発祥であることは知っていましたが、ジェット風船は私もタイガース発祥だと思っていました。現在はどのチームの応援団も様々に趣向を凝らした応援スタイルをとっていますが、中には応援ダンスの振付が難しいために、ダンスをこなすことに注力してしまって、声による鼓舞がおろそかになってしまっている場合もあるようです
野球博物館の用具類、自分も見ましたが、言葉は悪いけど“ちゃっちい”という感じはしますよね。でも、決して見栄えは良くないけれど、其れ等を大事に使って在ろう事が感じられ、微笑ましさを感じたりも。
耐久性等を十二分に考慮されて作られているのは判っているものの、“稲葉ジャンプ”の凄さをTV画面で見ていると、「床が抜けたりしないのかなあ?」と余計な心配をしてしまいます。
又、外野は多くの客が「其れも在り。」と認識しているで在ろうから良いのでしょうが、内野で立ち上がった儘応援している客は、正直迷惑。肝心なプレーが見えなかったりしますし、其の辺は考慮して欲しい物です。