民放の中で一番思い入れが強いのはTBSだ。今でこそ“後退”した感が在るけれど、昔のTBSは本当に凄かった。色んな分野で魅力的な番組が放送されていて、“報道のTBS”とか“歌番組のTBS”等と呼ばれていたが、個人的には“ドラマのTBS”という印象が強い。
今日は、「自分が“リアル・タイム”で見て来たTBSドラマの中から、“連続物”に限ってのベスト10。」を選んでみた。“連続物”と限定したのは、「熱い嵐」や「関ヶ原」等、単発ドラマでもTBSには名作が多く、ベスト10選びがより難しくなると考えたから。
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TBSの刑事ドラマと言えば、「キイハンター」【動画】や「アイフル大作戦」【動画】、「バーディー大作戦」【動画】、「夜明けの刑事」【動画】、「噂の刑事トミーとマツ」【動画】等も好きだったが、一番好きだったのが「Gメン’75」。
「キイハンター」、「アイフル大作戦」、「バーディ大作戦」、そして「Gメン’75」に全て出演されている丹波哲郎氏だが、彼の“渋い存在感”が最も際立っていたのは、「Gメン’75」での“黒木哲也警視(正)役”だったと思っている。
社会性の強い題材がストーリーに盛り込まれていたのも然る事乍ら、「Gメン’75のテーマ」【曲】や「面影」【歌】、「追想」【歌】等、忘れられない名曲が多く使われていた事も、此のドラマを忘れ難い物にしている。
一般庶民にとって海外旅行が“夢”だった時代、一定間隔で海外ロケの作品が放送されるのが魅力で、特に好きだったのは「香港空手シリーズ」。又、好きな脇役の1人・蟹江敬三氏が“猟奇的でエキセントリックな悪役”を演じていた「望月源治シリーズ」も忘れられない。
2位: 「3年B組金八先生シリーズ」【動画】
第1シリーズが放送されていた頃、多感な時期を迎えていた自分は、登場する生徒達と同世代という事も在り、どっぷりと感情移入して見ていた。
「Gメン’75」同様、此のシリーズも名曲が多く使われており、「“名ドラマ”と“名曲”の相乗効果」というのを強く感じる。
全8シリーズ在る「3年B組金八先生シリーズ」だが、8年前の記事「さようなら、金八先生!」で詳しく書いた様に、一番印象に残っているのは第2シリーズ。此のシリーズでは、何度泣かされた事か。
全4シリーズ在る「ありがとうシリーズ」だが、自分は第1シリーズ~第3シリーズ迄しか見た事が無い。詰まり「山岡久乃さんと水前寺清子さんが、母娘役を演じていたシリーズ。」だけを見ていた訳だが、2人の威勢の良い遣り取りや、ほろっとさせる母娘の愛がとても良かった。
一番好きなのは第3シリーズ(魚屋編)で、園佳也子さん等、他のシリーズ以上に、個性的な脇役が配されていたので。
第2シリーズ(看護婦編)では、「56.3%」という空前絶後の視聴率を叩き出した。「此のドラマによって、ホームドラマは確立された。」と言っても良いだろう。
「様々な試練や困難に立ち向かい乍、前向きに歩む男女の姿を描く。」という、“大映テレビの作風”が色濃く出ているシリーズ。「愛し合った2人が、実は血の繋がった兄妹だった。」とか、「愛する女性が難病に罹り、最後は死んでしまう。」といった“御決りの展開”だが、判っていても泣けた。
山口百恵さんが出演していた作品が好きで、特に印象深いのは第3弾の「赤い運命」【動画】。三國連太郎氏や秋野暢子さんが、“百恵ちゃん”に辛く当たる演技が実に見事で、「百恵ちゃん頑張れ!」と祈り乍ら見ていたっけ。
5位: 「ふぞろいの林檎たちシリーズ」【動画】
山田太一作品の中で一番好き。閉塞感を抱えた若者達の姿が“等身大”で描かれていて、とても見応えが在った。
サザンオールスターズの歌が効果的に使われていたし、何よりもキャスティングが完璧。
全4シリーズ作られたが、一番好きなのは第1シリーズ。「此処から全てが始まった。」という意味で、最も印象に残っているから。
13年前の記事「足袋屋『うさぎや』」で触れた様に、兎に角面白いドラマだった。由利徹氏や伊東四朗氏等、好きな芸人達が個性的な演技を見せてくれていたし、「55分間全て、生放送で演技する。」等、斬新な取り組みが在ったのも印象的。
「ムー・シリーズ」は「ムー」と「ムー一族」【動画】の2つだが、「ムー一族の方がより好きだ。
「同じ高校の男性教師と女生徒が実は夫婦で、其の事実を知っている学校関係者は学園長だけ。周りに夫婦という事を知られる事無く、2人は生活しなければならない。」という設定のドラマ。
12年前の記事「“大谷二郎”死す」でも触れた様に、石立鉄男氏や冨士眞奈美さん、うつみ宮土理さんといった個性的な俳優が顔を揃えていた。富士さんのエキセントリックな女教師役、そしてうつみさんの「悔しいわ、悔しいわ、何だかとっても悔しいわ。」という台詞が堪らなく好き。
8位: 「寺内貫太郎一家シリーズ」【動画】
此のドラマの魅力に付いては、13年前の記事「寺内貫太郎一家」の中で熱く記しているので、其方を読んで欲しい。「ムー・シリーズ」もそうだが、“昭和の東京・下町の職人の家庭”を描いているというのが、自分を含めた多くの視聴者に、目新しさを感じさせたのではなかろうか。
連続物としては「寺内貫太郎一家2」という物も在るが、自分の中では“別物”という思いが在る。好きなのは、「寺内貫太郎一家」だけだ。
出演者の少なからずが鬼籍に入ってしまっている事に、何とも言えない寂しさを覚える。
9位: 「渡る世間は鬼ばかりシリーズ」【動画】
「死語が多用されている。」、「説明口調の長台詞。」、「重要な設定が、何時の間にか変わっている。」、「ワンパターンな展開。」等、批判も少なく無いドラマだけれど、ついつい見てしまう面白さが在る。“嫁と姑の対立”という永遠の課題に、我が身を投影させて見ている人も多いのだろう。
連続物としては全10シリーズ作られているが、「ふぞろいの林檎たちシリーズ同様、「此処から全てが始まった。」という意味で、第1シリーズが一番印象に残っている。
初代ケンちゃんで言えば、第3シリーズの「すし屋のケンちゃん」【動画】以降、ケンちゃんの家は“店”という設定。「自分の家が店って、何か良いなあ。」という思いが、当時は在った。
ケンちゃんの母親役としては岸久美子さん、そして父親役では牟田悌三氏のイメージが強い。
初代ケンちゃんが主役のシリーズに関しては全8シリーズが作られたそうだが、一番好きだったのは第4シリーズの「ケーキ屋ケンちゃん」。
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彼は、製作の野添和子と共に、全体の構成、企画を考え、パイロット版を作り、他の監督たちに作らせ、途中でだれてくると自分も参加して監督しました。
このように仕事のし過ぎで、62歳で死んでしまうのです。
TBSのドラマには、「大映ドラマ」の影響が今もあるように私は思います。
増村は、東大法学部で三島由紀夫の同級生でしたが、三島が出た映画『からっ風野郎』では、徹底的にしごいたそうです。
“野添和子”の“野添”というのが気になり、調べてみましたら、矢張り野添ひとみさんの近親者だったのですね。川口浩氏の奥様で在る彼女に双子の実姉が居られるのも、又、其の姉がTVプロデューサーで在り、後に大映テレビの顧問を務める様になった事も、今回初めて知りました。
TBSのドラマ、仰る様に“大映ドラマの遺伝子”が脈々と受け継がれている感じがしますね。“独特な起伏感”とでも申しましょうか、他のTV局のドラマとは一寸違った匂いを感じますので。