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「元彼に掛けられた殺人の疑いを、晴らして欲しい。」。長閑な田舎町「月影市」で探偵事務所を営む俺の元に、そんな調査依頼が舞い込んだ。しかも依頼人の美女は亡き恋人・江上沙英(えがみ さえ)の妹・友梨(ゆり)だった。気合い充分、いざ殺人事件に付いて調査を始めると・・・。
暢気な月影市の住人達を相手に、孤高のハードボイルドを貫く探偵・十村(とむら)が事件の真相に迫る時、驚愕の結末が待ち受ける。
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貫井徳郎氏の小説「ドミノ倒し」。「山中で美女の全裸死体が見付かり、其の犯人として警察から目を付けられた元彼の疑いを晴らして欲しい。」という依頼を受けた探偵・十村だが、調査を進めて行く中で、次々に別の殺人事件との関係が出て来る。其れは正に、ドミノ倒しの如く。
コミカルなタッチで描かれているし、現実味の薄い話では在るけれど、全ての事件の真相にはゾッとする物が在る。ネタバレになってしまうが、「集団」で「個」を追い詰めるという意味では、森村誠一氏の小説「野生の証明」と似た感じの怖さ。又、正義」とか「愛国」とかいう概念の曖昧さ、そして危うさを再認識。
「余りにも非現実的な展開」や「中途半端な終わり方」等、貫井作品としては哀しい程に駄作の部類だと思う。ハッキリ言って、読む事を御勧め出来ない。総合評価は、星2つ。