ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「殺人犯はそこにいる ~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件~」

2014年05月24日 | 書籍関連

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栃木県足利市」と「群馬県太田市」。隣接する此の2市で、4歳から8歳の5人の少女が誘拐、又は殺害されているという重大事件。其の中の1つが、彼の足利事件」で在る。一連の事件を同一犯による連続事件だと喝破した著者は、「足利事件」冤罪の可能性を報じ、菅家利和氏を釈放へ導くと共に、徹底した取材によって、遂に「真犯人」を炙り出した。

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写真週刊誌FOCUS」の記者時代、「桶川ストーカー殺人事件」の容疑者警察先んじ割り出し上尾警察署による被害者の告訴揉み消しスクープして報道被害にも遭った被害者の名誉回復寄与する等、“社会の闇”を暴き続けて来たジャーナリスト清水潔氏。そんな彼が昨年末に上梓した本「殺人犯はそこにいる ~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件~」を、今日は取り上げる。

 

2005年に日本テレビに転職した彼は、記者として様々な事件を追う。2007年には、世間の関心が薄かった「足利事件」に疑問を持ち、「犯人として逮捕無期懲役が確定し、千葉刑務所服役中の菅家氏は無実。」と信じ、「冤罪事件で在る。」との報道を開始した。

 

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1979年:栃木県足利市、福島万弥ちゃん(5歳)、殺害。

1984年:栃木県足利市、長谷部有美ちゃん(5歳)、殺害。

1987年:群馬県尾島町、大沢朋子ちゃん(8歳)、殺害。

1990年:栃木県足利市、松田真美ちゃん(4歳)、殺害。

1996年:群馬県太田市、横山ゆかりちゃん(4歳)、行方不明。

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1990年に松田真美ちゃんが殺害されたのが、所謂「足利事件」と呼ばれていた物だ。警察は当初、1979年の福島万弥ちゃん殺害事件、1984年の長谷部有美ちゃん殺害事件、そして1990年の松田真美ちゃん殺害事件の3件を、“連続殺害事件”と見做して捜査していたが、最終的には「関連性無し。」と判断し、菅家氏の逮捕によって「足利事件」を“単独事件”として処理したのだった。

 

しかし清水氏は、様々な証言や警察の杜撰な捜査方法等から、菅家氏が犯人で在るという事に疑問を感じる。上記の5つの事件に共通項の多さを見出だした彼は、「此れ等の5つは単独事件では無く、連続事件だ。」と確信

 

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=5つの事件の共通項=

 

・5件の幼女殺害・誘拐事件は、半径10km圏内で発生。

幼女を狙った犯罪で在る。

・3件の誘拐現場はパチンコ店。

・3件の遺体発見現場は、河川敷の中。

・事件の殆どは、週末等の休日に発生。

何の現場でも、泣く子供の姿等は目撃されていない。

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清水氏の報道も在り、「足利事件」は2009年に再審開始が決定。そして翌年、菅家氏の無罪が確定。17年半もの間、刑務所生活を送らされていた彼が、“無実”を掴み取った瞬間だった。

 

桶川ストーカー殺人事件」もそうだが、「足利事件」でも警察による“事実の捏造”の数々に唖然としてしまう。警察にとって都合の良い“脚本”を書き、其の脚本に沿った形で証言や証拠を捨て去ったり、捏造したりしているのだから、実に恐ろしい話だ。警察が一致団結すれば、無実の人間を犯罪者に仕立て上げるのは容易な事。

 

菅家氏の場合は無期懲役、若し他の殺人事件とも関連させていたならば、死刑の可能性だって在った訳だ。なのに、彼の無罪が確定して以降も、当時の捜査関係者等の言動は、丸で他人事の様に“軽い”。

 

「死刑判決に対する再審&無罪が確定した、初めての冤罪事件。」として知られる「免田事件」。死刑囚の身から、無実を勝ち取った免田栄氏に付いても記されている。彼の無実が確定した1983年の話だ。

 

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83年に免田さんを取材した時の事が、忘れられない。脳裏に、今も焼き付いている其の表情。熊本市内で夕食を一緒に取り、帰路タクシーを拾った。後部座席を車窓目を遣っていた免田さんが、ふと思い出した様に前方に顔を向けるとこう言った。「あんた、免田って人、どう思うね?」。尋ねた相手は運転手だった。当時熊本で「免田事件」を知らない人はない。免田さんは続けた。「彼の人は、本当は殺ってるかね、それとも無実かね?」。ハンドルを握る運転手は、暗い後部座席の顔が見えない。まさか本人が自分の車に乗っているとは微塵も思わなかったのだろう。あぁ、免田さんね。あん人は、本当は犯人でしょう。何も無い人が、逮捕なんかされんとですよ。まさか、死刑判決なんか出んとでしょう。今回は一応、無罪になったけど・・・知り合いの御巡りさんも言ってたと。、笑ってハンドルを廻した。「そうね・・・。」。免田さんは、目線に落とした。人は、此処寂しい表情をするものなのか。車の移動に合わせて街灯灯りが横顔を照らし出す。掛ける言葉を懸命に探してみたが、未だ若かった私は、何一つ口に出来なかった。車を降りてから、免田さんはぽつりと言葉を吐いた。が、皆の本心とですよ。

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自分(giants-55)も憶測で物事を言ってしまう事も在るので、偉そうな事を言えた義理では無いけれど、未だにネット上では、菅家氏や免田氏を誹謗中傷する書き込みが少なく無い事に心が痛む。


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2 コメント

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Unknown (マヌケ)
2014-05-25 17:38:39
警察とか役所とかそういうところは、過ちを認めない体質で、過ちを認めないので、教訓が生かされないし、大きな組織で動いていれば、一人一人は罪の意識も小さくなり、ましてや上のほうに君臨する人間は経歴に傷がつくことを非常に嫌いますから、隠ぺい体質なままなのです。 というのも警察小説で仕入れた知識に過ぎませんので、事実かどうかはわかりません。 けれども、どんな組織もだいたいそんなところがあるから、コンプライアンスとか内部統制監査とかが行われているのではないのだろうか。 正義の程度も怪しいものですね。 特に昨今は無責任な情報がSNSですぐに拡散してあたかも真実であるかのように作られてしまいます。 いや、むしろ真実であるかはどうでもよくて、興味がそそられるかどうかで情報は膨らんでいるとも言えます。
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>マヌケ様 (giants-55)
2014-05-26 00:45:51
書き込み有難う御座いました。

「40代の無職男。自宅を家宅捜索したら、ロリコン物のAVがどっさり見付かった。」、幼女殺害事件の容疑者として逮捕された男性に関し、こんな情報が警察サイドからリークされたら、一般人はどう思うでしょうか?此れは実際、「足利事件」で容疑者として逮捕された菅家さんに関して、警察サイドからリークされた情報との事ですが、「無職というのは、警察が内偵している事を知った勤務先が先走って解雇したからで、其れ迄はきちんと働いていた。」、「当時押収された全てのAVが保管されていたが、其の中にロリコン物のAVは皆無で、普通の成人男性が見る様なAVしか存在しなかった。」等、明らかに警察サイドが「特定のイメージ」を作り上げる為の捏造だったそうです。

「桶川ストーカー殺人事件」でも、被害女性の告訴揉み消しを図った警察が、彼女のイメージを悪くする事で「警察は悪くなかった。」とアピールする為、「被害者に関するイメージの捏造」を図っていましたし、こうなると一個人が警察という大組織に潰される事なんて、いとも簡単で、本当に怖さを感じました。

仰る様に、ネットが普及した現代では、警察の様な大きな組織で無くても、個人で「情報の捏造」を大々的&急スピードで拡散出来てしまう。そういう悪辣な行為に対する厳罰化を図ると共に、受け取り手で在る我々も情報を鵜呑みにするのでは無く、様々な情報に触れ、そして自らの頭で十二分に考える事で、正しい情報を取捨選択する努力を、よりしないといけないでしょうね。
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