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・芥川賞:芸術性を踏まえた一篇の短編、或いは中編作品に与えられる文学賞。
・直木賞:大衆性を押さえた長編小説作品、或いは短編集に与えられる文学賞。
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日本で有名な文学賞で在る「芥川賞」と「直木賞」。ざっくりと言ってしまえば、「芥川賞は純文学が、そして直木賞は大衆小説が対象。」という感じ。個人的には「純文学は難解、大衆文学はサクサク読み易い。」という印象が強く、実際に「又吉直樹氏の『火花』(総合評価:星4つ)の様な例外も在るが、芥川賞受賞作品は概して『何処が良いんだか、さっぱり判らない。』という物が殆ど。(黒田夏子さんの『abさんご』なんぞは全く意味不明な内容で、自分は総合評価を『星1.5個』とした程。)」というのが在る。
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・娘達が幼い頃、良く一緒に過ごした近所のショッピング・センター。其の喪服売り場で働く「あなた」は、フード・コートの常連の少女と知り合う。(「この世の喜びよ」」
・ハウス・メーカーの建売住宅に、「彼女」は“1人体験宿泊”する事になり・・・。(「マイホーム」)
・父子連れのキャンプに、叔父と参加する事となった「少年」は・・・。(「キャンプ」)
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今回読んだ「この世の喜びよ」(著者:井戸川射子さん)は、上記3つの短編小説で構成されており、表題作の「この世の喜びよ」は第168回(2022年下半期)芥川賞を受賞。
「この世の喜びよ」の主人公「あなた」は、ショッピング・センターの喪服売り場で働いている女性で、「ショッピング・センターの喪服売り場、其れも目の前には“ゲーセン”が在る。」という設定に面白さを感じた。決して無い訳では無いだろうけれど、「ショッピングセンターの中に喪服売り場というのは余りイメージが湧かないし、『“静かなイメージ”が在る喪服売り場の目の前に、“賑やかなイメージ”のゲーセンが在るという対比が、何とも不思議な感じが自分にはした。」ので。
3作品共に、「主人公(「あなた」、「彼女」、「少年」)の目で見た物を“第三者”が表現し、又、彼女等が思った事を第三者が説明する。」という、こういうのを何と呼ぶのか判らないが、そういう表現スタイルで貫かれている。「彼女等が見た物を次々と羅列し、ダラダラと思った事を説明しているだけ。」という感じがして、自分にはかったるさしか無かった。(純文学を好む読者は、こういうのが好きなのだろうか?)
読み終えて残ったのは、「矢張り、芥川賞受賞作品は判らない。」という思いだけ。申し訳無いが、読む事に費やした時間が無駄な感じがした。
総合評価は、星2つとする。