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「厚労省発表『健康寿命』で判った“無理矢理長寿大国”な日本」(6月20日、週刊実話)
厚労省が6月1日、「健康寿命」なる新しい指標を算出して発表したが、此れにより“長寿大国日本”の現実が浮き彫りになった。
健康寿命とは、「介護を受けたり病気で寝た切りにならず、自立して健康に生活出来る年齢。」の事。発表された数字は、2010年は男性が70.42歳で、女性は73.62歳だった。
「此れに対し、同年の平均寿命は男性79.55歳、女性が86.3歳。詰まり、男性は9年余り、女性は約13年間、健康では無くても“生かされている”事が判ったのです。」(健康雑誌記者)
厚労省では、2022年度の平均寿命を男性81.15歳、女性87.87歳と推計し、健康寿命の延び幅が平均寿命の延び幅を上回る様目標にしたいとしている。此の現状に付いて、世田谷井上病院の井上毅一理事長が言う。
「平均寿命が此処迄延びた原因は、食生活の向上と医療技術の飛躍的な進歩です。唯、食べる物が良くなった結果、糖尿病等の生活習慣病が増え、高度な医療が其れを治療するという悪循環も在るのです。」
対策として厚労省は、健康寿命の延び幅上昇の為、癌や脳卒中、心臓病等の生活習慣病による死亡率低減に向けた数値目標の設定や、成人の喫煙率も下げたいとしているが・・・。
「WHOは昨年、アルコールの摂取による癌、心臓疾患、肝臓病等で320万人の人が亡くなっている事を明らかにした。何れは煙草に次いで、アルコールも撲滅したいとしている。日本では仮令「公務」で在っても、終わるとアルコールが出て来る。対してフランスでは、閣僚全員が酒を飲まない事を公言する程。酒のCMを大っぴらに遣っているのは世界で日本だけですよ。」(厚労省関係者)
結局、飽食の末に病気になっても、病院の手厚い看護で無理矢理生かされて平均寿命だけが延びているというのが現状なのだ。
「病院としては患者さんが仮令ナチュラルな死を望んだとしても、延命の為最善を尽くすのが当然です。結果、責任を問われるのは、我々病院の側ですからね。」(井上理事長)
健康と寿命のギャップは今後も広がりそうだ。
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3年前の記事「我が国の平均寿命」の中で、自分は次の様に記した。
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「我が国の平均寿命が、今後もずっと上がり続けて行くだろうか?」と考えた時、自分は「或る時期から、徐々に下がり始めるのではないだろうか。」という気がしている。
(中略)
上記した様に「医療の進歩が、平均寿命を押し上げて来た大きな要因。」と思っているのだが、医療の進歩に伴い医療費が増大している現実も在る。詰まり「より長く生きる為の対価として、より多くの医療費を支払って来た。」という面は否定出来ないだろう。増え続ける医療費を、我々国民が何処迄負担し続けられるか?其れを考えた時、或る程度の所で“妥協点”を見出ださなければいけない様に思う。「より長く生きたい。でも、此れ以上の医療費の負担は嫌。」という思考では、或る時点で破綻を生じると考えるからだ。
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医療の進歩により平均寿命は大幅に延びたものの、多くの人間は「生きている」のでは無く、「生かされている」という現実が在るとは考えていたが、「(我が国では)男性は9年余り、女性は約13年間、健康では無くても“生かされている”。」という数字は、想像していたよりも大きかった。
心身共に健康な上での長生きなら素晴らしいが、健康では無い状態で単に「生かされている」だけというのは、“我が身の事で在れば”甘受し難い。けれど、では「身内の人間が当事者だったならば?」となると、「当人が苦しくないので在れば病で在っても、そして“生かされている”ので在っても、長生きして欲しい。」という気持ちも在り、非常に複雑だ。