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「地震保険 過小判定相次ぐ」(3月15日付け東京新聞[朝刊])
政府と民間の保険会社が、地震保険法に基づき共同運営する地震保険で、家屋の損傷に対する過小判定が全国で相次いでいる事が9日、河北新報社の取材で判った。「保険会社側が、支払いを抑制した為。」と見られる。保険金の支払額が本来額の10分の1や20分の1になっており、裁判を起こした被災者の勝訴が相次ぐ。「保険業界の判定基準が公になっていない事。」が背景に在り、専門家は「全員に正確な判定をすれば、未払い額は数百億~数千億円単位に成り得る。」と見積もる。
東京地裁は1月26日、「東京海上日動火災保険に、地震保険の保険金1,000万円を支払う様。」命じた。訴訟は、同社から「一部損」(保険金50万円)とされた2021年2月の福島県沖地震での判定を不服として、仙台市泉区の会社員男性(47歳)が提訴していた。
古庄研裁判長は、証拠採用された日本損害保険協会(損保協会)の基準を挙げて、「査定指針基準表に従って計算すると、『全損』と認められる。」と過小判定を指摘した。東京海上は控訴せず、判決は確定した。
2016年4月の熊本地震で被災した大分県別府市のマンションのケースでは、東京地裁が2020年11月、損保ジャパンが「一部損」(保険金1,050万円)とした判定を覆して「半損」と認定、1億500万円支払う様命じた。
民間の全国建物損害調査協会によると、同協会が2018年から2022年5月に被災者から再調査の依頼を受けた一般住宅やマンション計311件の内、118件で保険会社の過小判定が判明し、保険金額は計4億5,690万円増額になった。
同協会は熊本地震や、2018年の北海道胆振東部地震、大阪北部地震、2021年の「首都圏地震」等、全国の被災地で再調査をしており、「略全都道府県で、保険会社の過小判定が覆っている。全ての物件に正確な判定をすれば、保険金額は膨大になる。」と語る。
地震保険は、被災者の請求に応じて保険会社の鑑定人が現地調査し、保険額を支払う仕組み。保険会社が契約者に交付する「契約の栞」等の重要事項説明書に、認定基準や査定指針が全文明記されていない為、被災者にとって保険会社の「言い値」に反論する材料が無い。
大手保険会社で作る損保協会は、判定が覆った件数、金額を把握していない。
同協会の広報担当は、「過小判定が頻発しているとは認識していない。基準通りに適切に判断している。悪質な業者に利用される恐れが在る為、基準や指針は公に出来ない。」と話した。
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阪神・淡路大震災発生で、「地震保険に加入した方が良いかなあ。」と考え出したものの、加入に踏み切れないでいた。詳しくは後述するが、「火災保険と比べると、保険料と保険金額のバランスが悪い。」というのが理由だ。でも、東日本大震災が発生し、余りの被害を改めて見せ付けられた事で、我が家は地震保険に加入した。
保険対象の家屋が建っている地域や家屋の構造等の違いによって、地震保険の保険料は大きく異なる。昨年10月に地震保険の保険料が大幅に上げられたが、参考迄に我が家の場合だと、「家屋に対する火災保険の年間保険料と、家屋に対する地震保険の年間保険料とでは、地震保険の方が6千円程安い。」設定となっている。僅か6千円程の違いなのに、保険金額はMax.で「地震保険は、火災保険の3分の1にも及ばない。」のだ。此れじゃあ地震によって家屋が全壊しても、建て直すなんて無理。「日本は地震大国なので、保険料はどうしても高くせざるを得ない。」という事なのだろうが、其れにしても高過ぎる。
「地震保険で、家屋の損傷に対する過小判定が、全国で相次いでいる。」という今回の報道、「矢張りなあ。」という思いが在る。以前より、そういう“疑惑”を見聞していたので。「全国建物損害調査協会によると、同協会が2018年から2022年5月に被災者から再調査の依頼を受けた一般住宅やマンション計311件の内、118件で保険会社の過小判定が判明し、保険金額は計4億5,690万円増額になった。」という事だが、再調査を受けた分“だけ”でも、過小判定率は「約37.9%」。即ち、3分の1強に当たる。過小判定により支払われずにいた保険金額の平均は「約3,872,033円/件」だ。
地震保険に限らず、保険の支払い請求を求めると、「『契約の栞』等の重要事項説明書に“虫眼鏡で見ないと読めない位の小さな文字”で細々と記された文章を盾に、『此処にこう記されていますので、御支払い出来ません。」と杓子定規な対応で支払いを拒むのが保険会社。なのに、「重要事項説明書にて契約者に対し、認定基準や査定指針を全文明記されていない。」事を盾にして、過小評定の言い値を押し付けるというのは、“詐欺行為”と言っても良い。
だが、全文明記する事で保険金の支払いが増大すれば、其れを理由にして、保険会社は保険料を更に大幅値上げする事だろう。会社は潤い、社員の給料が概して高額でもだ。