ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「あなたはここにいなくとも」

2023年03月15日 | 書籍関連

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恋人に紹介出来ない家族、会社での虐めによる対人恐怖人間関係リセットしたくなる衝動弁えていただった不倫、ずっと居ると思っていた幼馴染みとの別れ・・・今は人生の迷子になってしまったけれど、貴方道標は、ほら、此処に。
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小説52ヘルツのクジラたち」で、第18回(2021年)本屋大賞を受賞した町田そのこさん。今回読んだ「あなたはここにいなくとも」は、先月上梓された彼女の新作。現状に悩み、「どう生きれば良いのか?」を模索している人を主人公にした、5つの短編小説から構成されている。

以前にも書いた事だが、自分は「不倫」という行為が大嫌い。どんなに高い評価を受けていても、不倫を題材とし、其れを“前面に押し出した”作品は見たり、読んだりしたく無い程。「どんな理由が在るにせよ、“人の物”を盗るという行為は“泥棒のする事”。」というのも在るが、何よりも「自分がされてな行為は、絶対に他者にすべきでは無い。」と考えが在り、不倫が大嫌いなのだ。

「あなたはここにいなくとも」には、何故か不倫をしている人が多く登場する。本来ならば読み進める気にならないのだけれど、「不倫という行為を、前面に押し出した作品では無い。」し、内容が魅力的なので、一気に読み終えてしまった。

読んでいて感じたのは、独特な表現を好む作家だなあ。という事。「持ち重り」、「“みちみち”と墓石が並んでいるのだ。」、「蜆目」、「幼馴染が好きなひとってのは、太古の世から“擦られすぎてる”くらい、当然のことじゃないのか!」、「てっそん(姪孫)」(「“ ”」は、其の部分を強調する意味で自分(giants-55)が付けた物で在り、本文には無い。)等々、数多の本を読み漁って来た自分でも、「こういう表現在るんだ。」と思う物だった。独特な表現が、文章に深みを与えているし、又、魅力的にもしている

「おつやのよる」、「くろい穴」、そして「先を生く人」が強く印象に残った作品。特に「渋皮煮を作る工程を、主人公の女性が置かれている状況と重ね合わせて描いている『くろい穴』。」には、ぐいぐいと引き込まれて行った。こういう発想着眼点)を持つ作家って、本当に凄い!!

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菜摘(なつみ)も、覚えておきなさい。あなたたちは、可能性に溢れているのよ。恋も、友情も、夢も、何もかもがこれからなの。そして、どんなことだってできる。最初から諦めなければいけないことなんてない。絶望しないといけない障害なんてない。だから何ひとつ、憂うことはない。後悔しないように、それだけを忘れなければいい。もちろん、大変なことがたくさんあるでしょう。頑張ったからって成果がでないこともある。でも、どんなに辛いことや哀しいことがあったとしても、大丈夫。やっぱり憂うことはないの。だって、きっといつか、何もかもを穏やか眺められる日が来る。ありのままを受け止めて、自分なりに頑張ったんだからいいじゃないって言える自分が、遠い未来にきっといる。私は後悔をたくさん残してしまったけど、たらればに思い悩んできたけれど、いまは、ここまで生き抜いてきた自分のことを褒めたい。あんたなりにやったじゃない、って思ってる。だから大丈夫よ。この私が、保証する。
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“心の弱っている人”程、読んで欲しい作品。総合評価は、星4.5個とする。


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