************************************************
マル暴なのに弱腰な刑事・甘糟達男(あまかす たつお))は、強面の上司・郡原虎蔵(ぐんばら とらぞう)と、麻薬売買の場と噂されるジャズ・クラブに潜入する。ステージで美しい歌声を披露する歌手・星野アイ(ほしの あい)に魅了される2人だが、彼女の正体を知って・・・。
************************************************
警察小説を十八番とする今野敏氏は、幾つもの人気シリーズを手掛けている。今回読んだ「マル暴ディーヴァ」は、そんな1つの「マル暴シリーズ」の第3弾。共にマル暴に所属するも、上司の郡原と部下の甘糟は見た目も性格も対照的。そんな2人がコンビを組んで事件を解決して行くのだが、其処に前作(第2弾)「マル暴総監」で登場した栄田光弘(さかえだ みつひろ)が加わる。彼の正体は警視総監で、「身分を隠して街中に現れ、悪を成敗する。という、“水戸黄門”や“暴れん坊将軍”、“大岡越前”、“浅見光彦”等と同じ存在。
そして、今回は更に「美しい歌声を披露するディーヴァ(歌姫)の星野アイ。」や「彼女が歌うジャズ・・」クラブのオーナー・谷村雅彦(たにむら まさひこ)。」が関係してくるのだが、彼等も驚くべき正体なのだ。
「自分よりも同程度以下の立場の人間には横柄な態度だが、物凄く立場が植えな人間には怖気付いてしまう強面の郡原。」と、「常に弱腰で、上司との対応に振り回されている甘糟。」との関係性が実に良いし、又、時折漏れ出す甘糟の“心の声”が何とも笑える。
今野氏の人気シリーズの1つ「任侠シリーズ」の“常連”も”顔を出しているし、他にも個性的過ぎるキャラクターが天こ盛りでストーリーの中に引き込まれてしまった。ストーリー的には単純さを感じるけれど、水戸黄門的“勧善懲悪物”が好きな方なら、好む作風だろう。
総合評価は、星3つとする。