不思議な政治家だった。「元内務省官僚で、自衛隊の前身である警察予備隊の創設を起案。」、「警察庁長官時代には、よど号ハイジャック事件やあさま山荘事件解決の為に指揮を執る。」、「法務大臣時代には、3年4ヶ月に亘り執行が停止されていた死刑を再開させた。」、「田中角栄氏の懐刀として辣腕を揮う。」等々。これ等の経歴を見ると、バリバリのタカ派を想像させるが、実際には憲法改正には慎重なハト派として知られた人だった。
1987年のイラン・イラク戦争の際には中曽根内閣の官房長官という立場に在りながら、アメリカの要請を受けて海上自衛隊の護衛艦派遣に積極的だった首相に対し、「交戦海域に入る以上武力行使に当たる。自衛という言い訳は通じない。」として断固反対の意志を貫き、派遣を断念させた。又、小泉政権下でなし崩し的にイラクへの自衛隊派遣がされている事にも一貫して反対の姿勢を示していた。「日本は領域外に出ての武力行使は絶対に許されない。それが鉄則。自衛隊が一度も外国人を殺さず、一人の自衛隊員も外国で殺されずに来た事を大事にすべきだ。」というのがその理由だった。一昨日亡くなった後藤田正晴氏の事だ。
海外の武力行使に対して厳しい目を向ける原点には、自身の戦争体験に在ったという。軍人として赴いたフィリピンで目にした、日本兵の残虐行為の数々。「中国から転進して来た兵隊が悪かった。日本人ちゅうのはね・・・。集団になったら、あかん。」という彼の言葉が新聞に載っていた。又、法務大臣として死刑を再開させた理由は、「法務大臣には死刑執行命令書に判を押す義務が在る。」というものだった。
情報収集能力や危機管理能力に長け、その切れ味の鋭さから「カミソリ後藤田」と呼ばれていた。金権体質の田中派の中枢に居た事や、オウム真理教への破防法適用が論議されていた際に反対の意思を表明(破防法が内包する危険性を懸念して。)する等、マイナスイメージも無い訳ではないが、一徹した信条を持つ政治家として高く評価していた。
郵政民営化に反対しながらも、選挙で自民党が大勝すると自民党への居座り(復党)を図る反対派議員。特に「初の女性首相になるのではないか。」と言われていた女性議員は、自民党への愛情を切々と訴え、首班指名では小泉首相に票を投じていたが、結局は「寄らば大樹の陰」というさもしい気持ちしかないのがあからさま。或るコメンテーターが「自民党への愛情ではなく、国民に愛情を向けるべきではないか?自身の信念に基づき反対を表明したので在れば、離党して反対を貫くべき。」語っていたが、全くその通りだと思う。同じ反対派の議員でも、未だに郵政民営化に反対し、小泉首相に票を投じなかった連中の方が、余程人間的(政策的には反対だが。)には信頼が置ける。
又、記者に囲まれて「派閥は良いと思います。早く入りたいです。」と口にしたものの、記者から「小泉首相は、新人議員の派閥入り禁止を言っていますが。」と言われた途端、「え、そうなんですか?じゃあ、派閥入りはしません。僕は小泉チルドレンですから。」と露骨に態度を豹変させた棚ボタ議員。自分の頭で熟慮した結果、派閥の必要性を”国会議員として”表明したのではないのだろうか?この人物が国会議員として為したい事は、国益云々に関わる事柄よりも、単に小泉チルドレンになりたいだけなのか?
ポリシーも糞も無く、権力の亡者と化した政治”屋”の群れ。方向性はどうで在れ、後藤田氏の様に一徹した信条を持つ政治家が見当たらない現状に、憂国の念が募る。
最後に、後藤田氏が官房長官時代に部下に与えた、所謂「後藤田五訓」を下記する。
********************************
1. 省益を忘れ、国益を想え。
2. 悪い本当の事実を報告せよ。
3. 勇気を以って意見具申せよ。
4. 自分の仕事でないと言うなかれ。
5. 決定が下ったら従い、命令は実行せよ。
********************************
巨星堕つ。黙祷。
1987年のイラン・イラク戦争の際には中曽根内閣の官房長官という立場に在りながら、アメリカの要請を受けて海上自衛隊の護衛艦派遣に積極的だった首相に対し、「交戦海域に入る以上武力行使に当たる。自衛という言い訳は通じない。」として断固反対の意志を貫き、派遣を断念させた。又、小泉政権下でなし崩し的にイラクへの自衛隊派遣がされている事にも一貫して反対の姿勢を示していた。「日本は領域外に出ての武力行使は絶対に許されない。それが鉄則。自衛隊が一度も外国人を殺さず、一人の自衛隊員も外国で殺されずに来た事を大事にすべきだ。」というのがその理由だった。一昨日亡くなった後藤田正晴氏の事だ。
海外の武力行使に対して厳しい目を向ける原点には、自身の戦争体験に在ったという。軍人として赴いたフィリピンで目にした、日本兵の残虐行為の数々。「中国から転進して来た兵隊が悪かった。日本人ちゅうのはね・・・。集団になったら、あかん。」という彼の言葉が新聞に載っていた。又、法務大臣として死刑を再開させた理由は、「法務大臣には死刑執行命令書に判を押す義務が在る。」というものだった。
情報収集能力や危機管理能力に長け、その切れ味の鋭さから「カミソリ後藤田」と呼ばれていた。金権体質の田中派の中枢に居た事や、オウム真理教への破防法適用が論議されていた際に反対の意思を表明(破防法が内包する危険性を懸念して。)する等、マイナスイメージも無い訳ではないが、一徹した信条を持つ政治家として高く評価していた。
郵政民営化に反対しながらも、選挙で自民党が大勝すると自民党への居座り(復党)を図る反対派議員。特に「初の女性首相になるのではないか。」と言われていた女性議員は、自民党への愛情を切々と訴え、首班指名では小泉首相に票を投じていたが、結局は「寄らば大樹の陰」というさもしい気持ちしかないのがあからさま。或るコメンテーターが「自民党への愛情ではなく、国民に愛情を向けるべきではないか?自身の信念に基づき反対を表明したので在れば、離党して反対を貫くべき。」語っていたが、全くその通りだと思う。同じ反対派の議員でも、未だに郵政民営化に反対し、小泉首相に票を投じなかった連中の方が、余程人間的(政策的には反対だが。)には信頼が置ける。
又、記者に囲まれて「派閥は良いと思います。早く入りたいです。」と口にしたものの、記者から「小泉首相は、新人議員の派閥入り禁止を言っていますが。」と言われた途端、「え、そうなんですか?じゃあ、派閥入りはしません。僕は小泉チルドレンですから。」と露骨に態度を豹変させた棚ボタ議員。自分の頭で熟慮した結果、派閥の必要性を”国会議員として”表明したのではないのだろうか?この人物が国会議員として為したい事は、国益云々に関わる事柄よりも、単に小泉チルドレンになりたいだけなのか?
ポリシーも糞も無く、権力の亡者と化した政治”屋”の群れ。方向性はどうで在れ、後藤田氏の様に一徹した信条を持つ政治家が見当たらない現状に、憂国の念が募る。
最後に、後藤田氏が官房長官時代に部下に与えた、所謂「後藤田五訓」を下記する。
********************************
1. 省益を忘れ、国益を想え。
2. 悪い本当の事実を報告せよ。
3. 勇気を以って意見具申せよ。
4. 自分の仕事でないと言うなかれ。
5. 決定が下ったら従い、命令は実行せよ。
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巨星堕つ。黙祷。
仰る様に、「訓1~4を他の法律とすると、訓5は憲法と言っても良く、訓5が全てに優先される。」という所は在りますね。唯、後藤田氏は以前、インタビューだったと思いますが、「国家在っての個人で在り、個人在っての国家では無い。」といった趣旨の発言をされていたと記憶しています。それ故に、それ迄”停止状態”に在った死刑執行を再開させたという面も在るのではないかと。つまり、国家の決定に関しては原則的に従うというスタンスは在ったのかもしれません。
そういうスタンスに在りながらも、どうしても譲れない部分に関しては反意を示す事も在り、その辺が凡庸な何も考えていない様な政治家連中とは一寸毛色が違った様に感じます。
これからも宜しく御願い致します。
これが剃刀後藤田の両刃を表していることに
気付く人は少ない。
すなわち、訓1~4も、すべて訓5によって
反故にできる、ということだ。
記事でも触れました様に、後藤田氏の為して来た事柄に賛意を示せない点も確かに存在しています。でも、総合的に見れば重要な政治家の一人で在ったと自分も思いますし、候補者の元に駆け付けて妙なパフォーマンスをする事が政務だと思っている様なアホ馬鹿センセや、確証を取らないで偽メールを掴まされてしまった幼児的なセンセ等が幅を利かしている今の政界に在っては、彼の死は大きな損失でしょうね。
どうにも社会全体が、「議論なんてダサイ事。派手にパフォーマンスを繰り広げられる人が格好良い。」という風潮が強くなっている事に懸念を覚えます。
派手さは無くても、愚直と言われ様とも、日本という国の事を真剣に考え、熟考した上にベストと思われる決断を下せる人物。そんな政治家が本当に少ない(居ない?)ですね・・・。
これからも宜しく御願い致します。
26歳だった自分が、ある日突然国会議員になってしまったら、あんなんだったかもしれません。
ただ、国民にとって国会議員の年齢は関係ありません。
また、国会議員は定年まで会社員というものではありません。
遅くても4年後には選挙があるのです。
その時また同じ比例順位で且つ小選挙区を与えられなければ、間違いなく落選ですね。
それまでに、党内で自分の存在感を見せ付け、比例順位を少しでも上げてもらうような努力が必要だと思います。
今のままでは、足引っ張ってますよね。
数年後、「あの人は今」にでている兄ちゃんの姿が目に浮かびます。
いまのままではね・・・
~とgiants-55さんのコメントをよんでそう思いました。
中国寄りの姿勢や、金権体質の田中派の中心に居た事等、その政治姿勢には賛否在る所でしょうが、o_sole_mio様も書かれておられる様に自身の権力維持には無頓着だった様に思える点や、何と言っても確固とした政治的信条を持ち続けた点が、政治家として評価出来る人だったと思っています。個人攻撃はしたくないのですが(笑)、当選した途端に「わー、年間2,500万円も給料貰えるんです。これで念願のBMWが買える!」と大騒ぎして、ディーラーに電話をかけていた棚ボタ議員の姿を見た後に、後藤田氏の逝去の報に触れると、「これで本当に良いんだろうか?」という思いが強くなります。
以前にも書いた事ですが、真に国益に適う仕事をしてくれるので在れば、国会議員の歳費は今以上で在っても構わないと思っています。その反面、私利私欲を優先したり、何をしたいのかが全く判らない国会議員は辞めて欲しいですね。
「日本人は集団になると~」の絡みですが、後藤田氏はずっと日本人の付和雷同性を懸念されていました。自分もこのブログを始めて以降何度か書いていますが、マスメディアの煽りで世論が一気に一つの方向に流れる事に不安を覚えています。個々人が自身の頭でしっかり考えた上での判断が、”たまたま”同じ方向に向かった結果というので在れば良いのですが・・・。(某棚ボタ議員をマスメディアがやたら取り上げるのは、自民党へのネガティブ・キャンペーンの色合いも確かに在るのかもしれませんが、それ以前にあの彼は”社会人として”御粗末過ぎるというのが在るかと(笑)。)
二大政党化への流れに付いて、個人的には賛成の気持ちを持っています。唯、これも以前書いた事ですが、民主党には旧社会党の人間も居るものの、多くは自民党から”分派”した人間が多い事から、厳密な意味での二大政党と言い切ってしまうのもどうかなと。小泉首相が「自民党をぶっ潰す!」と公言し続け、最近では「ほら、自民党はぶっ潰れたでしょ?」と言っていますが、「結局は橋本派(旧田中派)がぶっ潰れただけで、森派(旧福田派)がその分勢力を伸ばしたという、自民党内のパワーバランスが移行しただけ。」と感じてしまうのと何処か似た思いが在ります。
「日本反対党」の様な政党も、其処に確固たる信念が在ればそれはそれで評価に値するのかもしれませんが、何でもかんでも与党に反対というのでは国民の支持を集めるのは難しいかと。でも、「何でも反対。」というのが確固たる信念と言われてしまえば、反論出来ませんが(笑)。
P.S. 先日亡くなられた中内功氏の経営哲学の根底には、自身の戦争体験が強く反映されていたと聞きます。兵士として赴いたフィリピンで、猛暑と猛烈な飢えと闘いながら(以前、インタビューで「戦地で最も怖かったのは日本兵だった。眠りこけてしまうと、隣の男に殺されて食われてしまうという恐怖が常に在った。」と答えておられました。)、数少ない生存者として帰還した彼は、その強烈な飢餓体験から多くの人に安く&広く食料を供給したいという使命感が在ったと。そして、同時に時の政府に打ち捨てられた”棄民感”も持っておられた様で、国家への不信感というものも持ち続けておられた様に感じました。
後藤田氏といい、中内氏といい、戦争体験が大きくその後の人生に影響を及ぼした方は多いんですね・・・。
私にとっては後藤田さんは中曽根内閣の官房長官の頃の辣腕ぶりが印象深いです。
後藤田さんは、中曽根、宮沢の両内閣で実質的なNo.2を務めた方だと思いますが、権力を手にしながら権力への執着心がなかったという点で、トップの補佐役としては理想的な人物だったと思います。
後藤田さんの人物評はまさに同感です。天寿を全うされたとはいえ、この変革期にまだまだ日本の政治を見守って頂きたかった方でした。
「自衛隊がは違憲だとか、違法解釈だという人がいる。
しかし、自衛隊が一度も外国人を殺さず、一人の自衛隊員も外国で殺されずに来た事実をよ~く考えるべきだ。
こんな国家なんて他に存在しない。
これは、憲法9条が有効に作用している証拠とみるべきだ。」
これを聞いた時、
「なるほど!」
って正直思いました。
もちろん、いや違うという人もいるとおもいますが。
この知人の言葉、彼の考えた言葉だと思ってたんですが、昨日の報道で、そのルーツは後藤田氏だったと言う事をしりました。
無知な僕は、昨日まで知りませんでした。
若いころは、自民というだけでアレルギーを持っていて、知っておいた方がいいことも知ろうとしなかったことをすこし反省した、昨日でした。
昨日の新聞、テレビで選挙結果による新しい衆議院議席配分を見ましたがここ迄自民が議席を獲得したのはちょっと記憶にないです。中曽根氏以来というのもその凄さを語ってますね。
民主の減少も目に付きますが今回は踏みとどまったものの共産、社民の所謂“護憲勢力”の衰退は時代の流れを感じます。後藤田氏はハト派でしたが今、国会でハト派は殆ど消滅したと言っても良い程。
中央ではなんだかんだ言って基本的には自民を評価(他に変わりもないので)し、逆に共産等は“なんでもかんでも反対”のイメージから余り好きではないのですが地方政治ではその評価は変わります。
数年前滋賀県でびわこ空港計画がありました(今でも計画事体はあると思います)。計画地は琵琶湖上でも付近でもなく遥かに東の内陸、鉄道もJRではなく地方私鉄が走っている地域。
新幹線も高速もある県なのに空港建設。しかも羽田便がない空港。「誰が使うの?」という話です。
この“無謀無意味な計画”に県政与党の自民はあまり反対しませんでした。反対したのは“日本反対党”位。しかし最終的には(今のところ)建設しなくなったのですから反対で正しかったと思います。
二大政党になるのが望ましいとは思いますが“完全な”二大政党制は弊害もあるのではないかとも思います。
支持はできませんが“日本反対党”みたいな「個性的」な政党もいても良いのではないか。
びわこ空港問題を経験した私の考えです。
後藤田さん、その貫徹ぶりがいいですね。まさしく、「No」と言える日本人ですね。今の議員の中で、間違いをきちんと「間違い」と言える人が何人いるのでしょうか。そんな大人たちよりも、小さい子供達の方が、しっかり「No」と言えますね。
最後の「後藤田五訓」、とても好きです。普通の生活でも活用できるところは多々ありますよね。見習いたいです。