幼少期、「ウルトラ・シリーズ」も大好きだったが、「仮面ライダー・シリーズ」はもっと大好きだった。だから良い歳のおっさんになっても、「ライダー大集合」なるイヴェントに足を運んだりした訳だ。
第5弾に当たる「仮面ライダーストロンガー」(曲)はリアル・タイムで見てはいたものの、途中位迄しか見ていない。でも、仮面ライダー・シリーズに対する思い入れが半端じゃない者として、「同番組で主役の『城茂』を演じていた荒木しげる(旧芸名:荒木茂)氏が今春、肺炎にて63歳で亡くなられた。」際は、凄くショックだった。げっそりと痩せられた姿を大分前に目にしてはいたけれど、「正義のヒーローだから、病にだって打ち勝つ!」という希望めいた思いが、心の何処かに在ったから。
悲報から3ヶ月が過ぎ去ったが、「『仮面ライダーX』(曲)で主役の『神敬介』を演じた速水亮氏に胆管癌の疑いが在り、現在治療されている。」事を此方の記事で知り、大きな衝撃を受けている。
速水氏が運営されているブログ「速水亮アクターズ日記」では現在、経過報告が順を追ってされている。6月20日付けの「アリャリャ!!困った! 最終章」から始まり、「アリャリャ!!こりゃ困った(最終章2)」 、「アリャラァ!!!困った(最終章3)」、「アリャリャ!!こら困った(最終章4)」、「アリャリャ!!困った(最終章5)」、「アリャリャ!!困った(最終章6)」、「アリャリャ!困った(最終章7)」、「アリャリャ!!困った(最終章8)」、「アリャリャ!!困った(最終章9)」、「アリャリャ!!困った(最終章10)」、そして昨日の時点では「アリャリャ!!困った(最終章11)」という記事迄がアップされている。
ユーモアを交え乍ら、「癌の可能性が高まって行く中での心の動き」や「医者への不信感及び信頼感」、「家族への思い」等を真摯に書かれているのが印象的。
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「アリャリャ!!困った! 最終章」より抜粋
私は鏡の中の自分を観ながら・・・「これはどこかで見た顔色だな~~」と思った。
そう、若くして癌でこの世を去ったかしらこと高橋一俊の顔がそうだった。
久しぶりに会ったかしらの顔色と激痩せに、私はかしらに声を掛けられたのだが、一瞬誰だか判らなかった。
ストロンガーもそうだった。30キロ痩せたというストロンガーの姿は、まさしく永くはないんじゃないかと思わせる姿だった。
今、鏡に映る私の姿は、どう贔屓目にみても、先の二人と変わりない。
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「アリャリャ!!困った(最終章9)」では、「10キロ近く体重の落ちてしまった重病人の容姿」と、御自身の事を書かれている。健康なイメージしか無い速水氏だけに、俄には信じられないのだが、其れだけ厳しい病と闘っておられるという事なのだろう。胆管癌の可能性が可成り高い様だが、僅かの可能性で在るとしても、「癌じゃなかった。」という結果で在って欲しい。又、万が一癌で在ったとしても、必ずや再び健康体に戻られる事を信じている。
速水氏の記事、そして記事に対して寄せられた書き込みの中には、色々考えさせられる物が少なくない。「アリャリャ!!困った(最終章10)」という記事に対し、Ren様が寄せられた書き込みも、そんな1つ。一部を抜粋させて貰う。
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私には、兄・弟がいます。なのに・・・父が“パパに何かあったら、H君(夫)とRen”で頑張るんだぞって言われまして、“その時がきたら頑張るよ”って軽く返しましたが、その時が来るとは、あの時は思いもしませんでした・・・けど来ちゃいました。
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父が病気で急死した時、「人って本当に、呆気無く亡くなってしまうのだなあ。」と痛感させられた。病とは無縁の父だったし、医者の診断を信じ、「風邪で体調を崩している。」と思っていただけに、一層「人の命の儚さ」を思い知らされたのだ。
「アリャリャ!!困った(最終章11)」では、速水氏が御子息と交わした会話が紹介されている。普段ならば気恥ずかしくて話せないで在ろう「親子の会話」、否、「男と男の会話」に胸を打たれてしまったのだが、中でこんな話が記されている。
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「アリャリャ!!困った(最終章11)」より抜粋
私「○田さん(和製ドラゴン)がな、四十代半ば差し掛かった頃、ゴルフに行っても食事に行っても、しきりに死への恐怖を口のするようになったんだ。そのときパパは四十歳をすぎたばかりで、○田さんはどうしちゃったんだろうと思っていたが、パパも四十五歳ぐらいで来た。どんな感覚かといえば、今ここに存在し、動き、考え、泣き、笑いする自分というものが、全く無になってしまうという感覚だ・・・存在しているものが全く消滅してしまう・・・考える事さえも・・・そんな恐怖だ」
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速水氏御自身が仮名にされているので実名を記すのは控えるけれど、「和製ドラゴンの○田さん」と言えば、大好きだったドラマ「Gメン’75」(動画)で草野泰明刑事役を演じられていた方に違い無い。空手に柔道、合気道と様々な武道を極め、画面狭しと躍動していた彼が「死への恐怖をしばしば口にしていた。」、其れも「40代半ばという若さ」でというのは非常に意外だった。
唯、自分も父の死に際して「生と死」に付いて真剣に向き合い始めた様に、○田氏も近しい人の死によって「死への恐怖」というのがリアルに感じられる様になったのかもしれない。其れが彼の場合は、40代半ばだったという事なのだろう。
「今ここに存在し、動き、考え、泣き、笑いする自分というものが、全く無になってしまうという感覚だ・・・存在しているものが全く消滅してしまう・・・考える事さえも・・・そんな恐怖だ。」という速水氏の言葉、自分には痛い程判る。嘗て自分も、同様の事を考えたから。
速水氏の全快を願う。頑張れ、“神敬介”!