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「フィリピン国名、マハルリカに? 大統領、植民地由来に嫌悪」(3月9日、共同通信)
フィリピンの国名が「マハルリカ」になるかも。ドゥテルテ大統領が演説で、植民地由来の国名を変更する考えに言及し、国内で論議を呼んでいる。
「マルコスは正しかった。彼は『マハルリカ共和国』に変えたかったのだ。」。ドゥテルテ氏は2月11日の演説で、長期独裁政権を敷いた故マルコス元大統領を持ち出し、改名に前向きな意向を明らかにした。
フィリピンという国名は、16世紀に宗主国だったスペインのフェリペ皇太子(後の国王・フェリペ2世)に因んでいる。
マハルリカの意味は、マレー語の「自由」の派生語やサンスクリット語の「気高く誕生した」等、複数の説が在る。
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元記事に書かれている様に、「フィリピン」という国名は「1542年、スペイン皇太子フェリペの名から、スペイン人の征服者ルイ・ロペス・デ・ヴィリャロボスによって『ラス・フィリピナス諸島』と名付けられた事に由来する。」とか。 「征服者によって“押し付けられた国名”は変えるべきだ!」というのが、ドゥテルテ大統領の考えなのだろう。
此の考え方、「日本国憲法は、占領していたGHQによって押し付けられた物なので変えるべきだ!」という主張と凄く似ている。個人的には「日本国憲法=押し付け」という考え方には異論を持っているけれど、仮に“押し付け”で在ったとしても、だから「全て駄目!」というのはどうかと思う。
以前書いた事だけれど、自民党の重鎮で、立ち位置的には“右”の渡辺美智雄元副総理が34年程前、日本国憲法に関連して、次の様な事を言っている。
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「気が進まない女房を、親や周りに押し付けられた。『何時か代え様、何時か変え様。』と思っている内に、40年も経ってしまった。見直してみると、こんな女房でも良い所は在る。第一、40年大過無く遣って来たし、良い子も作ってくれた。何よりも40年間に、自分も馴染んでしまった。昔、代え様と思っていた気持も、段々変わって来る。
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“自分達だけで作った物”でも、中には“悪い物”も在る。“押し付けられた物”で在っても、中には“良い物”だって在る。「フィリピン」という国名も、どういう経緯が在ったにせよ、国内外ですっかり馴染んでいるのではないか?なのに、400年以上も前の事を持ち出して、「変えるべきだ!」と主張するのは、非常に違和感を覚える。金銭面等、国名を変える事のデメリットは小さく無いだろう。
「バラク・オバマ大統領時に決められた事柄を、無闇矢鱈に変え様としているドナルド・トランプ大統領。」、「改憲に前のめりになっている安倍晋三首相。」、そして「国名変更に言及したドゥテルテ大統領。」と、知性の欠片も感じられない3つの国のトップだが、「大きな変更を行う事で、自分の名を歴史に刻みたい。」という思いを持っている(で在ろう)点でも似た者同士の様に感じる。
侵略国に押し付けられた国名を、元に戻したいということなら理解できます。
国名は歴史や文化の象徴でもあるので、国民の大多数がそれを望んでいるというなら。
でもフィリピンの歴史を見ると、スペインに侵略される以前に、統一国家があったわけではないということのようですね。
例えば北海道、本州、四国、九州などがそれぞれ別々に主権を持っていたのが、連合国の支配下で統一国家として新たに国名を押し付けられた、というようなものなので、元に戻すということでもないのですね。
“虐め”の問題で言えば、「虐めた側は虐めた事実を直ぐに忘れられても、虐められた側はずっと忘れない。」と言います。侵略した側と侵略された側に関しても、仰る様に同様の事が言えるでしょうね。
唯、悠々遊様も書かれている様に、侵略される前の状態を考えると、どうも腑に落ちない所が在る。フィリピン国民の間から、過去に「国名を変えるべきだ!」という声が大きくなったという話を、少なくとも自分は知らないし、そうなるとドゥテルテ大統領の思惑が別の所に在る様な気がしてなりません。