フランスで”禁じられた遊び”が流行

さまぁ～ずが司会のバラエティー番組「クイズプレゼンバラエティーＱさま！！」の１コーナーとしても取り上げられているので知らない人は少ないと思うが、「チキンレース」という言葉が在る。度胸試しの為のゲームという事だが、自分がこの言葉を知ったのは”永遠の青春スター”ジェームズ・ディーン氏主演の名作「理由なき反抗」を見た時が最初だった。悩み多く無軌道な若者達が、崖の端に向かって全速力で車を走らせ、「己こそが最も勇敢だ！」とばかりにギリギリの所で止めるのを競い合う姿には、若さ故の強靭さと脆さを感じた。

「週刊新潮（６月３０日号）」に「フランスに蔓延する死を呼ぶ『禁じられた遊び』」という記事が載っている。何でもフランスの子供達の間に「仮死ごっこ」なるものが密かに流行しているという事で、この仮死ごっこが正にチキンレースそのものなのだ。

仮死ごっこがフランス社会に広く知られる様になったのは、この春に縊死した小学生のジュリアン・ビュブルイエ君（１２歳）の”事故”がきっかけだった。ガレージ内の梯子にマフラーを掛け、首を吊って死んでいる彼を発見したのは父親だった。父は息子に人工呼吸を施し、駆け付けた救急隊員も酸素ボンベを当てて救命に尽力したが、その甲斐もなく少年は天国に旅立った。哀しみに打ちひしがれる彼の両親だったが、息子の指に指輪や水道管の接続用金具等が８つはまっている事に気付いた。クラスの優等生で人気者でも在った彼には、自殺する理由も気配も見当たらなかったのだが、指にはまっていた８つの指輪類が仮死ごっこの存在を導き出したという。

仮死ごっこは「マフラー遊び」と子供達の間では呼ばれ、マフラー等を使って首を締め、意識不明に陥る際の感覚を繰り返し楽しむ遊びなのだとか。別名「青い夢」「インドの夢」「蛙」「宇宙ごっこ」「３０秒の幸福」とも呼ばれるこの”遊び”。仲間同士でする場合には、出来るだけ長く仮死状態を繰り返した者が勝ちというルールが在るという。又、独り遊びでは息を吹き返す度に証拠の指輪をはめていくのだとか。ジュリアン君は９度目のトライで生を終えた事になる。

この事故の直後にもパリの郊外で、１１歳の少年が友人の前でベルトで首を吊り、死亡すると事故が発生している。確認された範囲では、最年少の犠牲者は７歳の男児（５歳の男児が仮死ごっこを体験していたという報告も在るのだとか。）で、この遊びで亡くなる子供はフランスで年間に１０に程という事だが、実際の数字は遥かに多いという話も在るのだそうだ。フランスの児童心理学専門家に拠ると、子供の４０％が仮死ごっこの体験者だとか。フランスだけではなく、西欧諸国やアメリカでも流行しているというこの”遊び”。その起源は１９５０年代に迄遡れるとも。

凶悪な少年犯罪が続発している我が国。子供の心の闇は果てしなく深いと言われるが、これは国境を問わず世界的な兆候なのだろうか？それとも、単なる好奇心が引き起こした悲惨な結末という事なのだろうか？